126.アタルさんの戦闘講習会➁
「さて、ここからは各魔力の特性を生かした戦い方を説明します。現在、武器に魔力を纏わせられるのが火と水なので今回はふたつの考察したいと思います」
俺は周りをぐるっと見回しメンバーを見た。今日集まったメンバーはクランクさん以外、赤と青のオーラ持ちだ。なにげにこの2色のオーラを持つ人は多い。俺の考えた戦闘方法が広がれば世界に影響が出るかもしれない。
しかし、できることを知らないままだと、相手が万が一この方法を思いついた場合の対処ができなくなるだろう。だから先手を打ち、先に方法を確立、対処法まで考えておこうという考えだ。
「まずは赤のオーラです。このオーラは武器に炎を纏わせることができる特性があります」
「おい! 武器に炎ってどういうことだ?」
シンカーさんが慌てているが、訓練とかで見なかったの? もしかして最近は、あの水蒸気もくもく訓練やってないの? あぁ、素振りだったり、魔力をギュッとする訓練をドラッシェン様とやってるからな。見るタイミングがなかったのかもしれない。
「こんな感じだ」
ポッパーさんが持っていた大剣に炎を纏わせている。となりにいたカイリさんも剣に水を纏わせている。
「「「「……」」」」
紅のナイフメンバーが目をがっと開けて驚いているのを見ると、やはり一般的には知られてないのか。
「こんな感じになるんですけど、魔力で作られた炎の特性上、炎に触れなければ熱さを感じることができないのです。なので、お風呂を沸かすのには便利なのですが、いまいち役立つ機会がありませんでした」
あ、あと野宿するとき火を付けたりバーベキューするとき便利だね。なんかこれだけだと、ずいぶん家庭的な特性だ。
「そこで私はもっと実用的に、特性を利用しようと訓練を取り入れました。それが、昨日の鉄板剣です」
「ま、まさかタコ焼き屋でも開くのか……」
いや、違うから! ポッパーさんそんなに真っ青な顔をしないで!
「タコ焼きってなんだ? 食い物か?」
カイリさん、あとで食べさせてあげるからちょっと待っててね……
「タコ焼きは私が食べたかっただけで……昨日シェンさんが見せてくれましたよね? 鉄板剣と同様に剣にも炎ではなく、熱をコーティング出来たらどうなると思いますか?」
「む、それは……熱い以外どうなるんだ?」
ポッパーさんが困っている。周りのみんなもよくわかっていないようだ。
「昨日はタコ焼き機が溶けないように出力を控えてもらいましたが、金属が溶けるような高温にできたら……」
「そうか、鎧が溶ければあとは引くか押すかで切れる……」
ブラスさん正解!
「そうです、熱で溶かしながら切れば、金属の鎧や盾も切ることが可能になります」
「「「「「……」」」」」
みんなが無言になる……まぁ、敵にこれをやられたらパニックになってしまうだろう。だから対処法も考えなければならない。俺は今のところ思いつかないけど……案外同じオーラ同士なら相殺して切れないかもしれない。
「あ、ちなみにこの状態で人を切ると、肉が焼けて血が出ません。どうしても切断したくて、出血量を抑えたいときに便利ですね。狩りだと血が抜けなくて困るかもですね」
「……試したのか?」
シンカーさんが真っ青な顔で聞いてくるけど、なにか経験があるのだろうか?
「いえ、知識があるだけで試したことはありません。でも、毒を受けてどうしてもという場面がないことはないと思いますよ」
「毒ですか、言われてみれば解毒の技術はあまり進んでませんね。ポーションも効かないのが多く、大変危険です」
クランクさんがいうには毒にポーションが効きにくいらしい、そうなのかー。
「なので戦闘を行う赤いオーラの方にはこの技術をぜひマスターしてもらいたいです。防具も武具も無効化できる最強の戦士になってもらいたいですね」
俺はポッパーさんをまっすぐ見て、自分の意見を伝えた。この技術はポッパーさんにぜひマスターしてもらいたい。どうしてかといわれるとよくわからないのだが、彼にはマスターしてもらいたいなとなんとなく思ったから、昨日最初に鉄板剣を渡したのだ。
「ところで、クランクさんは毒を作れますか?」
「「「「「え?」」」」」
みんなから驚きの声が上がった……何か変なこと言いました?




