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124.アタルさんのお料理クッキング

「それにしても立派なブリですねぇ」


「こいつはブリっていうのか? あんまり見たことないな」


 ブラスさんはブリに興味津々だ。まぁ、自分で釣った魚だ、興味が出ないわけがない。


「こちらではどう呼ばれているのかはわかりませんが、私が知っているブリにそっくりです」


 大きさ以外はだけどね……明らかにでかすぎる。


「本来は血抜きをしたいところですが、船上でこの大きさは厳しいのでマジックバックに保管しておきますね。ところで、そろそろ戻らないとカイリさんたちとの約束に間に合わなくなりませんか?」


 そうなのだ、後ろに用事があるのにもかかわらず船釣りがしたくてやってきちゃったのだ。


「そうだな、クランクさんの家に集合するように連絡してある。そろそろ行こうか」


 ポッパーさんは忘れずに準備していてくれたらしい。エメさんあたりが連絡しに行ってくれたのかな?


「そうしましょう。段取りありがとうございました」




 俺が作った船はとても快適だった。

 何が快適かというとスクリューで減速やバックができるので、船着き場につけるのがらくちんだったのだ。思い付きでスクリューを付けてみたが、これはよいものを作ってしまったようだ。

 問題は、力がある人がいないと俺だけでは回せないことだろう。

 ちょうど漁港に帰るとフロートさんがいたので、船を停留させる許可をもらい、ロープで固定しておいてきた。


 フロートさんからは、身体強化が強力になった3人組が戻ってきて、漁がはかどっていると喜びの声をいただいた。今まで食べられてなかった海の幸は、優先的にクランに卸してくれるということになり、俺もホクホクだ。




 山道はまたしてもポッパーさんに背負われ、平地はママチャリでブイブイいわしてクランクさんの家に到着した。どうやらまだ約束の時間ではなかったらしく、カイリさんはいなかった。


「ちょうどお昼時ですし、さっき釣ったブリを食べましょうか」


 俺はクランクさんの家の庭の方にブリを取り出した。もちろんクランクさんからの許可はもらった。


「俺は上手にさばけないのでスキル使いますけど、誰かさばいてみたい人がいたりします?」


 一応確認してみる、今回は俺一人で釣った魚じゃないしな。


「はい! やってみたいです!」


 ブラスさんが乗り気だ。やはり自分で釣った魚というのは特別なものなのだろう。


「わかりました、じゃあお願いしますね。クランクさん、ちょっと魚の血が出ますけどここで解体して大丈夫ですか?」


「大丈夫ですよ。それにしても立派な魚ですね」


「そうでしょう! ちょっと船で遠海まで出て釣ったんです。みんなで一緒に食べましょうね」




「それではアタルのお料理クッキングを始めます~」


 脳内では天使がくるくる回っている。絶対に3分では終わらないがそんな気分だ。


「まずは魚の肛門から頭に向かって腹をさいていきます」


「お、おう」


 ブラスさんは最初は戸惑っていたが、なかなか良い手さばきでブリのお腹をさいている」


「ブラスさん、上手ですね」


「あぁ、狩った動物の解体はやってたからな」


 なるほど、経験者なのね。どおりで慣れているはずだ。


「お腹が切れたら内臓を取り出します。内臓は食べれる部位もあるようですが、詳しくないので食べません。内臓を取ったら水できれいに魚の内側を洗います」


 こっからはバケツリレーだ、このでかさのブリを洗うのは容易なことじゃない。もしかしたら、ここまでは海でやってきた方がいいのかもしれない。それか川でやるかだが……下流の人の迷惑になりそうだからやめとこう。


「なかなか、洗うのは大変ですね。次回は海でここまでやってきましょう」


 みんなも頷いている。何気に大変だったのだろう。


「次は、頭を落とします。ヒレの後ろを通るように斜めに切るのですが……この大きさだとナイフじゃつらくないですか?」


 明らかにこのブリの頭がでかい。マグロ並なのだから専用の道具が必要かもしれない。


「なら任せてくれ」


 ポッパーさんが、大剣を取り出してスパッと切った。剣で切っちゃうのかー、さすが異世界だな。


「ありがとうございます、それじゃここから三枚におろします。ただ、地面でやると土だらけになりそうなのでテーブルに乗せましょう」


 俺はマジックバックからテーブルを取り出した。このテーブルは解体専用になりそうだな……みんな力もちなのでテーブルにはすんなり乗せられた。


「背中から中骨に沿って剝いでいきます。その後お腹の方も同様に剥いでいくといいですよ」


「承知した!」


 ブラスさんは迷うことなくやっていく、もうすでに俺よりも上手だ。もし、船釣りのたびに紅のナイフが付いてきてくれるのなら、解体はブラスさんにお任せしよう。


「両面同じ感じでお願いします。それがおわったら皮を剝ぎます。大きくてやりにくい時は数等分に切り分けてからやってみてくださいね」


 とまぁ、こんな感じで俺がアドバイスを言うまでもなく、すんないとお料理クッキングの時間は終了した。

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