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119.タコパ

「次はたこ焼きを焼きます! 今回のために新しい調理器具を作りました!」


 俺はマジックバックからタコ焼き機を取り出した。


「なんかたくさん凹んでいて変なやつだな」


 ポッパーさんがタコ焼き器を見て不思議そうにしている。


 でも、俺からしたら不思議仕様はこのあとなのだ。

 さらにマジックバックから取っ手のついた平べったい鉄板を取り出した。


「今日はポッパーさんに新しい修行を用意しました。お風呂を沸かすのも慣れてきたでしょうし、そろそろ次のステップでしょう。ぜひマスターしてくださいね」


 俺はポッパーさんに取っ手のついた鉄板を手渡した。


「…………これは?」


「シンケイツー……いや、鉄板剣と名付けました」


 いかんいかん、どうも乗りで「これはなんですか?」とか「これは?」とか言われると、「神経痛に米沢の漢方」とか「ママの病気に!」とか言ってしまいそうになる。何気にこれが俺と同年代には受ける鉄板ネタなのだ、


 いかんいかん、違う鉄板になってしまった。俺が開発した、鉄板剣はタコ焼き器を温めるために異世界仕様にした、ナイスアイディアの画期的な剣なのだ! 地球でいうとホットプレートが近い。ただ、動力が電気じゃなくて魔力? オーラ? そんなところだ。


「まさかこれに炎を纏わせるのか……」


「ちがいます、今までの轟々と出る炎ではタコ焼きが焦げてしまいます! ここの鉄板に炎を薄ーく纏わせて熱だけタコ焼き機に伝わるようにします」


 そうしないとホットプレートみたいにできないじゃないか!


「それは……できるのか?」


「できるできないじゃなくて、やれるように頑張るのです。ポッパーさんができないとタコ焼きが焼けません。頑張ってください!」


 ポッパーさんは、うんうんうなりながら鉄板剣に炎を纏わせだした。


「もしかしたら、トレーラさんが魔力に強弱を付けるテクニックを持っているかもしれませんね」


 それを聞いたポッパーさんは、トレーラさんに駆け寄り二人で何やらやりだした。


「厨房で見ていましたが、海の掃除屋を『タコ』っていうんですか?」


 シャッドさんはタコを知っていたらしい。


「そうですよ、王都で食べられていたんですか?」


「いえ、でもたまに市に並んでいたことがあったんですよ。誰が買っていたかはわかりません」


 王都でタコを食べる人がいるんだろうか? それとも、海から遠いから珍しい生き物として売られていたのかな? タコの生命力はなかなかだから王都まで生きたまま運べそうだし、食べれるのが浸透したら売れそうだな。


「クラーケンはなかなかうまかったな」


 シェンさん、カニがなくなったからって急に爆弾発言投下するのやめてもらえませんかね?


 しばらく待ってみたが、ポッパーさんはなかなかうまくいかないようだ。ちょっと難易度が高かったかな? というか、思い付きで言っただけで、できるかわかんないんだけどね。だんだんポッパーさんの顔がタコのように真っ赤になってきた……


「ちなみにシェンさんはやれます? 火力は強くなくていいんです、鉄板でタコが焼ける程度の熱さでおねがいします」


 全力でやられると、タコ焼き機が溶けそうだからちゃんと言っておかないといけない。リスクはあらかじめ回避だ!


「どれ、貸してみよ」


 ポッパーさんから鉄板剣を借りたシェンさんは、すっと鉄板剣を前に出しちょっと目をしかめた。

 あ、これ思ったよりも難易度高いのかもしれない……直後、鉄板剣が赤く光りだした。


「これはなかなかいい練習法だな。今日はポッパーさんができないようだから……我が鉄板剣の役目を務めよう」


 シェンさんが悪い笑みを浮かべている……ポッパーさんを煽るのはやめとこうか? あなたエンシェントドラゴンでしょう?


 よし! 準備は整った。俺は鉄板剣の上にタコ焼き器を置いて準備を始める。タコ焼き機が乗った鉄板剣は結構重いと思うんだけど、さすがエンシェントドラゴンのシェンさん! 余裕そうだ。

 タコ焼き機に油を入れ、布で薄く延ばす。さっき一度油をなじませておいたから新品だけど大丈夫だろう。その後、生地を入れてタコと天かすをパラパラと入れていった。


 しばらく待つと焼けてきたので、串でクルクルクルと回転させていく。


「わぁ、マスターすごい上手ですね」


 スピナさんが褒めてくれた。タコ焼きをクルクル回すのは何回かやっているとできるようになるが、俺は褒められて伸びるタイプなのだ、特に鼻が伸びる。実際は日本人なのですっごく鼻は低いが……


 これだけだと味気なさそうだったので、最後に醤油をじゅぅ~っとかけて出来上がり。


「シェンさんが手伝ってくれたので、最初はシェンさんから食べてください。熱いですよ、気を付けてくださいね」


 シェンさんは鉄板剣を持っていたので、俺が串で食べさせてあげた。


「おぉ、うまい! 中がトロっとしていて、タコがコリコリなのがいいな! もっとくれ!」


「しょうがないですねー、マルねぎを乗せてみてもおいしいかと思って用意しました。こっちもどうぞ」


 シャッドさんにマルねぎをスライスしてもらい水につけておいたのだ。これで食べやすくなっているだろう。本当は長ネギがいいのだが、今のところ見かけていない。


「おぉぉ! マルねぎの、ほんのりツンと来る辛さもいいじゃないか! きにいったぞ!」


 結局、最初の一回目はシェンさんが全部食べてしまった。


 その後もどんどんタコ焼きを焼きまくった。後半はスピナさんや、シャッドさんがタコ焼きを焼く係になってくれたので俺はゆっくりとタコ焼きを堪能した。


 異世界のタコ焼きはまぁまぁおいしかったが、やはりいろんな具材があった方が楽しいよなぁ。まだまだあったらうれしい食材はいっぱいある、もしかしたら食べられてないだけであるかもしれないからアンテナを伸ばして探していこうと考えた。

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