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111.お揃いですよ?

 夜が明けた、今日は面接で残念ながら不採用だった方たちが、ベティさんと一緒に王都へ旅立つ日だ。


 それにしても昨夜はひどかった。

 ドラッシェン様がピアスをしたいと言い出したのでエヴァさんと共にピアスを作った。本人(本龍?)の希望でカッコいいのがいいと言われたのでエヴァさんやスピナさんを巻き込んで考えたが、カッコいいがわからずポッパーさんやカイリさんも招集し、みんなで考えた。


 なかなかいい案が出てこない俺達にしびれを切らしたのか、ドラッシェン様はどこかから剣やら盾やらを取り出して、「これでいいアイディアは浮かばないか?」とか言い出した。

 ちょ、これ、ここにあっていいやつなんか? あきらかにヤバそうな剣とか盾なんだが……


 これにはその場にいた全員が固まっていた。

 スピナさんなんてずっと「マスターのお父さんだから……マスターのお父さんだから……」をブツブツ言っていて、キズが付いた状態で再生されたCDみたいな感じになってしまった。


 物騒だから武具はしまってもらい、俺はあっちの世界の知識をフル全開して構図を練り、エヴァさんに形を修正してもらい、いろいろ作った!


 今のドラッシェン様はすっごいギラギラしている。

 両耳には五芒星のフック型ピアス、チェーンで五芒星が垂れ下がっているので歩くとゆらゆら揺れる。

 胸元には十字架のネックレス、十字架は教会で使われてないのかとスピナさんに確認したけど、そんなものはないらしい、採用!


 右腕にはバングル、これはシンプルに作った、シンプルの方がカッコいいですよと推しておいたのだ。

 そんでもって両足にもバングル、長いチェーンを作りグルグル巻きにして固定している。

 そう! 昨晩異世界に突如チェーンと言うものが爆誕したのだ! いや、もしかしたら既に存在しているのかもしれないがチェーンをオシャレに利用したのは俺達が初めてだろう。


 そして恐ろしいことに、ドラッシェン様はこのすべての装飾品を金色がいいと言ったのだ! なので現在ドラッシェン様はハーパンアロハシャツのキンキラ金の装飾品を身に纏ったイケメンになっている。イケメンが更にイケメンになり、本当の私、デビュー状態だ!

 イケメンの最上位の言葉が思いつかない、このキャッチコピーが適切だろう。


 ドラゴンが光るものを集めるのが好きだというのは知識にはあったが、身に纏いたいと考えていたのは初めて知った。イケメンだからかギンギラ金でも浮いて見えない、普通に似合っているのが恐ろしい。




 話が長くなってしまった……

 俺は今、街の南門でベティさんにお願いごとをしている。なにをお願いするか……そう! ネコ型のピアスはクランの印だから返してってお願いしているのだ! でも、ベティさんが納得してくれない。


「今回の報酬でくれると言ったじゃないか!」


 と、全否定なのだ。もう、ギルドマスターなんだから、そこに所属しているクランのお願いを聞いてちょうだいよー。


「すみません、クランで猫型だけは売らないでという意見が出てるんです。俺はその意見をお金稼ぎの為に否定するわけにはいきません。だからこちらと交換でお願いします」


 俺はベティさんに十字架が付いたネックレスを手渡した。


「これは……」


「新しく考えたネックレスです。首に付けるんですよ、あ、別に手首に巻いてもいいですけど……まずは首がいいんじゃないですか? ちょっと付けてみてください」


 ベティさんが戸惑いながらもネックレスと付ける。

 ちなみにネックレスの留め金がよくわからなかったので片方は大き目の丸カン、もう片方はT型にしている。Tの横棒部分をまるかんに通せば固定できる仕組みだ。


「そうそう、そこの大きな輪に棒の部分を通すんですよ」


 なんとか自分でつけれたようだ。


「おぉ! 似合っているじゃありませんか! これは金でできてるんですけど、ちょっと手法を変えて赤身が出ているんです。俺はピンクゴールドって呼んでいるんですけど、カッコいい中に可愛らしさがあって良くないですか? ちなみにシェンさんと色違いのお揃いですよ!」


 最後に本命をぶつける……シェンさんとお揃いだって言ったら喜ぶだろう。喜ぶよな?


「そ、それは本当か! シェン殿の了承はもらったのか?」


「大丈夫ですよ! 息子の俺が保証します」


 もうこの際息子でも何でもいいや! ピアス返して!


「……わかった。このピアスは返却しよう。別の方はどうする?」


 別の方とは杖型のピアスのことだろう。


「そっちは是非付けていって見せびらかしてください。あ、ネックレスも見せびらかしてきていいですよ。お願いしますね。あ、お願いされたと思うけど、カーボロッド商会の方もお願いしますね」


「わかった、じゃあ行ってくる。皆、出発しよう!」


 ベティさんは王都へ旅立って行った。




「あ! 待ってー! 王様への手紙もついでにお願いします!」


「……承知した」

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