110.ドラゴンは光るものが好きっていうのは本当なんですかね?
クランハウスにある訓練場は多くの人でにぎわっている。
なにが起こっているかと言うと、ドラッシェン様 VS グランディール総力戦だ。
正確には、グランディール陣営の中になぜかベティさんが混じっている。だからどうしていつの間にかいるんだ? 敷地内に入るときは、誰かに挨拶しないとダメって教えられなかったのだろうか?
当り前だがドラッシェン様が圧倒している。なんか触れてないのに吹き飛ばされる人とか居るんだけど、どうなってんの? 見えないだけなんかな?
みんなはオーラ全開なのにドラッシェン様はオーラすら出していない。もしかしてオーラ出さない方法があるのかもしれない。 それとも俺みたいに透明なのかな? そこら辺がよくわかんない。ただ、圧倒的に強かった。
カイリさんとシャッドさんは数回戦いを挑んだ後、満足して厨房へ向かっていったようだ。俺が料理をお願いしてしまったのだが、宿の方は大丈夫なのかな? 今日はクランメンバーになれなかった人が泊っているはずなんだけど……ナミさんが見えないし大丈夫なんだよね?
そして喜々して戦っているのがポッパーさんとスピナさん。
スピナさんは本当に聖女のままでいいのだろうか? 間違いなく事件が起こったらポッパーさんと一緒に突撃していきそうなんだけど……
まぁ、そんなこんなでご飯の時間になり、模擬戦は終了した。
「おぉ、この肉はうまいな!」
ドラッシェン様がハンバーグを食べて喜んでいる。いつもシーサーペントをフレッシュな状態で食べているドラッシェン様だが、調理したものもお口に合うようだ。
べつに馬鹿にしているわけでなくて、人型になれるのに料理しないのかなーって思っただけだ。
「シェンさんの口に合って良かったぜ! 運動の後は肉だ! そうすると筋肉が強くなる。そしてハンバーグはうまい! 最高だよな!」
料理を褒められてカイリさんは上機嫌だ。
ちなみにハンバーグ用にミンサーを作ったのだ、素材は何がいいかわからなかったので銀貨で作った。銀なら衛生的に問題ないだろう……はやくカーボロッド商会から素材を調達しなくては……
内部構造はよくわからなかったがうまくひき肉になるようにできた。もしかしたら、じいちゃんに知識があったのかもしれない。それか単にクラフトが万能かどちらかだな。
「こちらは、まるネギの味噌汁です。どうぞ」
スピナさんがドラッシェン様の隣でいろいろ料理を勧めている。なんかお誕生日会みたいになっているな?
「さきほど模擬戦を行ったが、皆なかなか良い動きだったな。どんな指導しているのだ?」
ドラッシェン様の圧倒だったけど、皆の動きは良かったらしい。
「基本反復練習ですよ。基本をじっくりやってます」
「そうか、基本は大切だからな」
教え方が違うとか言われそうだったけど、普通に受け入れられた。よかった。
これでお説教になってしまったら、いい年のおじさんが若い親に怒られるというシュールな絵になってしまう所だった。
「シェンさん、良かったら明日も稽古お願いできるか?」
ポッパーさんはすでに稽古してもらう気満々である。まぁ、最近ダンジョンで肉をいっぱい持ってきているからストックあるし問題ないんだけどさ。
「私もお願いします!」
さすがスピナさん、そういうと思ってましたよ!
「シェンさんがこの街にいる間、稽古に付き合ってもらっていいですか?」
「うむ! 飯がうまいし、しばらく任されよう!」
お任せできちゃったけど、不老なドラゴンのしばらくってどれくらいなんだろうね? なんか不安になってきたぞ。
しばらくドラッシェン様が街に滞在することが決まり、和やかに夜ご飯の時間は過ぎて行った。
「ところで……あの者が耳につけているのはなんだ?」
ドラッシェン様がエメさんのピアスに気が付き聞いてきた。
「ピアスって言うんです。俺が考えたんですけど、なかなかいい出来じゃないですか?」
「我も付けたい」
え……




