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106.素晴らしいです!

 昼過ぎにもかかわらずクランの食堂は人がたくさん居た。


 原因はピアスだ。

 ピアスの制作に関わりたいという人がたくさんいたのだ。


「スピナさん、なんだかすごい人がいますね……」


「はい! トラさんのピアス素晴らしいです!」


 そういえばまだスピナさんにピアスを作ってあげてないな……最近、スピナさんの中でトラの評価がうなぎのぼりなんだよな。


「スピナさんから見ても、あのピアスはよくできているように思いますか?」


「はい! トラさんのピアスすばらしいです!」


 これはアカン! 直球で欲しいと言ってこないけど絶対に作って欲しいと絶対に思っている。ずっと素晴らしいしか言わないもん。


「ところで……猫型のピアスは売れると思いますか?」


「……トラさんはクランの象徴です! クラン員以外に売るのはダメだと思います。でも、トラさんのピアスは素晴らしいです!」


 うんうん、そうだね……猫はこの世界にはいないらしいもんね……クランの象徴にしよう。

 ベティさんから後で回収しようかな……うちのクランに取り込まれたギルドマスターのイメージができたら大変だもんね。


「スピナさんには後でピアス作りますので待ってくださいね」


「はい、ありがとうございます! マスター手作りのトラさんのピアス素晴らしいです!」


 なんか注文が増えた気がする。

 今日のスピナさんは集中力が欠けている、今日はサラさんを頼ることにしよう。


「サラさん、ここに集まった方々は装飾品作成希望者ですか?」


「そうですわ、あと自分の好きなイメージのピアスを作って欲しい方々もいますわ」


 あぁ、さっそく依頼人も連れてきたのね? それはちょっと早いんじゃないかなぁ。


「じゃあ、生産職人希望者を集めてください。デザインを考えたい人もいたらそちらも別に集めてください。ピアスが欲しいだけの人は今日のところは帰ってもらってください。後日いろんな種類のピアスを用意するので、その時に選んでもらうように説明してもらえますか?」


「わかりましたわ!」




 ようやくクランの食堂が落ち着いた。

 残ったのは約30人。デザイン希望が4人、残りは生産希望者だ。


「それではまずピアスの作成方法を見てください。現在は俺のスキルで仕上げるのですが将来は皆さん方で製造していただきたいと思っています。では、エヴァさんお願いします!」


 俺は軽い説明をし、エヴァさんに丸投げした。

 エヴァさんは慣れた手つきで猫の顔を描き切り取り、軸と尻尾を作ってくれた。


「エヴァさんありがとうございます、じゃあこれを仕上げますね。先ほど改善策を思いついたんでそっちで作成します。エメさんとエヴァさんのピアスも後で修正しますね。


 俺はクラフトで粘土でできたピアスを、18金のピアスにクラフトし直した。


「エヴァさん、猫型じゃなくてまっすぐのタイプも作ってもらえますか?」


 エヴァさんに小さい杖型のピアスも作ってもらった。


「この先端の宝石、いろんな種類を用意したいのですがサラさんの伝手で何とかできますか?」


「大丈夫ですわ! ギルドマスターが王都へ行くようですし、手紙をお願いしておきますわ」


 さすが大きな商会なだけある。なんでもそろっちゃうんじゃないか?


「お願いします、ついでに使えそうなものがあれば一緒に買っていいですよ。お金は言ってもらえれば用意しますから」




 一通り説明が終わり、みんなでワイワイしながら粘土で工作をしている。

 金属を加工しているわけでもないので、粘土は何回もやり直しできるので、好きなようにやってもらっている。これがいきなり金を使った材料だったらソワソワしてしまっていただろう。粘土で何回も作り直せるのはこの生産方法の強みだな。仕上げは全部俺がしないといけないのが弱みだけど……


「エヴァさん、本来は絵が専業なのに違うことに突き合わせてしまってすみません。他の方が作れるようになったらデザインだったり絵画を描いて大丈夫ですよ」


 そう、エヴァさんが思いのほか上手にできるので忘れていたが、エヴァさんは絵が専門なのだ。危うく忘れかけていた。


「ありがとうございます、ピアスに興味が出てきたのでしばらくこちらに専念してみます」


 エヴァさんも嫌々やっていたわけではなかったらしい。


「それならよかったです。いろんなピアスを作ってみると楽しいかもしれませんね。手作業で難しい物は、絵を描いてもらえれば俺のスキルで作れるかもしれません。俺は無器用なので上手にできるかはわかりませんが……あ、そうだ」


 ふと思い出したピアスの形があったので紙に絵を描いた。

 思い出したのはフック型のピアス、これならキャッチがなくても大丈夫。そして線を引くだけで形を説明できるので俺に優しいピアスだ。


「こんな形で、こちら側に宝石や細工したものをぶら下げるとオシャレになると思いませんか?」


「……こんな形のピアスもあるのですか? これはピアスだけでかなりのバリエーションが作れますね」


 エヴァさんは俺のフック型のピアスの絵を見ながら粘土を捏ねた。

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