表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
105/157

104.本職にはかなわない

「このネコのピアスは特徴を捉えられていて、すごく可愛らしいですね」


 エヴァさんが、サラさんのピアスを見て何やら考えている。


「可愛いですよね。精巧に書くだけではなく、このように特徴をとらえつつ、可愛らしくすれば女性に人気が出ると思うんですよね。確か、頭が全体の三分の一で、目を大きく、全体的に丸みを持たせると可愛らしくなるとかって聞いた覚えがあります」


 国民的に大人気なアンパンマンやドラえもん辺りがその例に当てはまるらしい、ちびまる子ちゃんもそうなるかな?


 ちなみにリンリンランランソーセージはソーセージではない。昔、リンリンランランという双子ソーセージのアイドルだったか歌手が居たのだ。俺が産まれる前の話なのでよく分からないが、『恋のパッコン№1』という歌を歌い、パッコンパッコン言っていたらしい。今では信じられない、でも本当に合ったんだと職場の先輩が話していた。


「なるほど……」


 エヴァさんは粘土に向かって猫の絵を描き始めた。どうやら最初は俺が作った猫をマネしているようだ。手際もいいし、なんだかすでに俺よりも上手にできている気がする。


 エヴァさんの手によって、2つのピアスが出来上がった。


「上手にできましたね、このピアスどうしますか?」


「「付けてください!!」」


 どうやら自分たちも付けたくて作ったようだ。


「このピアス、現状俺しかつけることができないのは不便ですね。自分で外すことも出来なさそうですし、改良が必要そうです」


 そういいながらエヴァさんが作ったピアスをクラフト、エヴァさんとエメさんに付けてあげた。

 二人とも穴を開けるときは表情がこわばっていたけど、なんともないことがわかるとすごくうれしそうにしていた。


「みなさん似合ってますよ。サラさんは俺が作ったピアスですけど、エヴァさんに作り直してもらいますか?」


「いえ、マスターの手作りなのですからこのまま付けていますわ。きっと皆さんにうらやましがられるでしょう」


 そんなもんかな? エヴァさんと比べると不格好で恥ずかしいんだけど……本人がいいならいいか。




 三人がみんなに見せてくると食堂を出てから、俺はピアスのキャッチ部分について考えた。

 異世界に来てしまったので前の世界の物の構造を知る手段はない。できそうなことと言えば、クラフトの異世界仕様で無理くり作ってしまうことだが……キャッチくらいなら作れそうな気がしてきた。


 要は金属の特性を利用すればいいようなきがする。金属は曲げられても元に戻ろうとする力が発生する。スプリングバックという現象なのだが、キーホルダーを付ける輪っかはキーを通すときにグッと開いて通すが通った後は元に戻る。あんな感じなことが起こるのだ。


 ということはだ、ピアスの針の部分を軽くテーパーを付けて、キャッチのアイ部分に切り込みを入れてテーパーが大きくなると輪が開くように……それだけだと落ちてきそうだから、針のちょうどよさげな部分に浅い溝でも入れればいけるんじゃないか?


 ちょっと試してみよう、しかし試せる人がいない……


「トラの耳にもピアスつけていい?」


『ダメニャ』


 トラには断られてしまった。猫の耳も貸してくれないのか……しかたないサラさんを探そう。


 サラさんのピアスは俺が作っている、実験をするならそこからだろう。エヴァさんのは出来が良いので俺が余計なことをして形が崩れたとかあっては困る。俺のなら俺がもう一回作れば大丈夫だ! 同じものを作ることはできないが、世界でオンリーワンの物を作るのには自信がある。




 クランハウスの外には人だかりができていた。これではサラさんの居所がわからない、どうしたものかなと思っているとベティさんがやってきた。


「クランマスター! あれはなんだ?」


「あれ? 何言ってるかわかんないですね……」


 あれとかそれとか言われてもわからないのだ。


「耳に付けている装飾品だ!」


 なんだかベティさんが機嫌が悪い。というか、ここクランハウスだよね? なんでギルドマスターがここ居るの?


「あ、ピアスですね。そういえば皆さん初めて聞いたと言ってましたし、名前がないんですか?」


「そうだ! 始めて見た」


 名前がわからなければ確かにあれとかそれとかって言っちゃうよね。納得だ!


「さっき作ったんですよ。頼もしいことに芸術に長けた人材が入ってきました。これでお金を稼ごうかなと思いまして……あ! ベティさん王都へ行きますよね? 採用できなかった方々の護衛してくれると聞きました。お礼と言っては何ですがプレゼントしますから付けていってください。それでみんなに見せびらかしてください」


「おぉ!」


 なんだか喜んでいるようだ。ベティさんも女性だからな、装飾品に興味があるのだろう。


「ピアスを自分で脱着できるように考えてきたんですよ、サラさんので改良の実験をしたいのですがサラさんをどこかで見ませんでしたか?」


「ちょっとまってろ! そこから動くなよ!」


 そう言ってベティさんはどこかに行ってしまった。

 動かないのは別にいいんだけど……長時間待たされたりしないよね?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ