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103.ピアスを作ろう

 俺は今、粘土に向かっている。


 俺の絵心は壊滅している……それは俺自身が十分にわかっている。

 だから出来るだけ簡単に、簡単に、簡単に……10回ほど描き直して、なんとか満足できる猫の顔が出来上がった!

 俺が書いたのは、二本の耳が立った猫の輪郭に左右三本づつのヒゲ、そして目と口は点だ。目の点は爪楊枝の後ろ側を使ったので、口よりも点が大きい。うん、俺にしては上出来だ!


 俺は猫の絵を綺麗に粘土から取り外した。そしてクラフトをするのだ!

 ピアスの素材は18金がいいと妻が言っていた。18金だと肌が弱い人でも身につけることができるのだそうだ。ピアスは付けたことがないからわからないが、妻がそう言うんだから間違いない。


 金属については知識がある。18金は金が75%で残りが銅だったか銀だったはずだ。

 なんでか知らないが金は24分割で表記される。24/24なら純金、18/24なら18金になるのだ、決して約分をしてはいけない、1金とか3金とは言わないのだ! この印象が大きくて18金の割合は覚えていた。今回は金に銀を混ぜることにする。


 俺は金貨3枚と銀貨1枚を取り出してクラフトし、金属の棒を作り出した。金貨は硬いので純金ではなさそうだが、そこら辺は誤差ということで……お肌に合わない人が出てきたらそこで考えよう。銀を混ぜるわけだし多分大丈夫だろう。

 あとは俺が作った猫の顔を18金の金属にクラフトで作り替えるのだ! そして後ろに短くした爪楊枝を18金にクラフトして猫の顔の後ろにくっつけた。キャッチはどうなっているのか俺にはわからないからクラフトで強制的に塞ごう、そこら辺は改善点だ。


「できました、これを耳たぶに刺すんです。誰かつけまてみますか?」


「「「……刺す」」」


 そうだよね、俺も穴をあけるのが怖くてピアスつけてなかったもん。ちなみに妻は両耳合計で10個くらい穴が開いていた、妻が言うにはは「むしゃくしゃした時にやった」と言っていたので、昔やべーやつだったのかもしれない。


「大丈夫、痛くないですよ。終わったらポーションで直しますし安全です。稀に目が見えなくなるとかって話も聞いたことがありますが……ポカリエスがありますし……安全です!」


「「「……」」」


 余計なことを言ってしまったか。でも、リスクはちゃんと言っておかないとな。ポカリエスもあるしなにが起こっても大丈夫だ! つまり安全なのだ!


「わたくしが付けますわ!」


 手を挙げたのはサラさんだった。


「大丈夫ですか? 心配ならケガになれているベティさんの所に行ってきますけど?」


 ベティさんなら元冒険者だっただろうし、痛いのに慣れているだろう。あとであけてもらうつもりだし、後でも先でも問題ない。


「大丈夫ですわ。新商品を最初に身につけられるのは商人として光栄なことですわ!」


 そかそか、それなら準備を始めないとな。

 俺は爪楊枝を18金爪楊枝へとクラフト、じいちゃんのコンロを取り出し18金爪楊枝を熱した。ちょっと、いやかなり熱いな……手袋とか作ろう。


「なにしてるんですの? まさか拷問!」


「いやいや、こうやって殺菌してるんですよ。傷口からばい菌が入ったら大変ですからね。それじゃ行きますよ!」


 俺はサラさんの左の耳たぶに爪楊枝を刺……せなかった。

 そういえば高校時代の友人は耳たぶの後ろに消しゴムを当ててたな。消しゴムはさすがにこの世界にはない、粘土でいいか……マジックバックに一回入れれば菌は消えるでしょ……


「すみません、初めてだったんで失敗しました。行きますよ!」


「初めてでしたの? ちょっとまって……」


 そう話している間にサラさんの耳たぶを18金爪楊枝が貫通した。


「よし、空きました。目は見えますか? 言葉は発せられますか?」


「……」


 サラさんから返事はなかった……でもここでポカリエスを飲んじゃうと穴もふさがりそうだ。仕上げをしよう。


「ちょっと仕上げしますねー」


 猫の顔型ピアスを耳たぶに通し、ピアスの針先端部に丸いアイを作った。これなら外れてこないだろう。せっかくアイも作ったし、猫のしっぽでもつけるか……俺は粘土をちょっとだけちぎり、長く伸ばして軽くアールを付けた、尻尾の出来上がりだ。クラフトで18金を付け、尻尾の付け根にもアールを付けピアスにくっつけた。これで歩くたびに尻尾が揺れる可愛いピアスになっただろう。


「できました、ポカリエス……飲みます? まずくてもおかわりはできませんよ?」


「ちょっと待ってください! ポカリエスって王の許可がないと使えないポーションですよね? どうして持っているかわかりませんがダメですわ! というか、あまり痛くありませんでしたし必要ありませんわ!」


 サラさんは目も見えて言葉も話せるようだった、よかったよかった。


「よかったです。どうですか? あ、サラさんから見えませんね。皆さんどう思います?」


 俺は満足げにエメさんとエヴァさんの方を向いた。

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