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102.俺の芸術は破綻している

 サラさんとエヴァさんのあとも面接会は続いた……もう面接はお腹いっぱいだ。


 今回もトラから『ダメ』と言われる人が数人いたのでお断りしておいた。今回のベティさんはなぜか動かなかった。ベティさんがお仕事をしてくれないので、シャッドさんが説明し納得してもらっている。いったいベティさんは何をしに来たのだろう?


 今回のメンバーには子供や高齢者、身体が不自由だったり身体に欠損があったり色々だった。そしてE~Cランクの冒険者まで居た。Eランクの冒険者はともかく、Cランクなら王都でもいい暮らしができたのではないだろうか? クランに入ると、非戦闘職の給料を払わないといけない分、手取りが減るかもしれないのにいいのだろうか? というか、それでもいいから入りたいと言われた。トラも反対してないからいいけど……


 それよりも、トラが子供や高齢者、身体に不自由をある人を拒否しなくてよかった。ほんとうによかった!




 今回採用にならなかった人たちはベティさんが送ってくれることになった。ベティさん、ギルドマスターのお仕事暇なのかな? なんだか王都に用事があるって言ってたからお仕事で行くんだろうけど、ベイツの街をほおっておいていいのか?

 いや、今までギルドマスターが居なくてもやっていけていた……そういうことなんだろう。


 それよりも今は重大な問題がある、移動してきたメンバー達の住居を用意しなければならないのだ。今回は100人強のメンバーが仲間になった。これでクラン員でいえば900人を超えただろう。その中には非戦闘員がかなりの割合を占めるので強いクランではないが、規模でいえばなかなかだと思う。他のクランを知らないからわかんないけど……


 まずは子供や高齢者の住処を作る。といっても、この方たちはスピナさんが行う孤児院に住んでもらうことになっている。孤児院と言っても教会みたいのではなく、宿のでかい版にする予定だ。小さな子は大部屋、ある程度大きくなって一人部屋を持ちたい子には小部屋。高齢者には子供たちの教育をお願いしている。そして、トップはもちろん我らのスピナさんなのだ。


 俺は流木を利用して宿と食堂を作った。建築場所はクランハウスとカイリさんの宿の中央辺りだ。もともとの土地を持っていた方(クラン員)には、お願いして違う所に新しく家をクラフトし直した。

 その他の働き盛りの人達にもアパートのような建物を建ててそこに住んでもらうことにした。

 ちょっとベイツの街の中だけでは狭いような気がしてきた。周りの村にもクラン員がたくさんいる、いっそのこと吸収合併できないものか? 今度王様に聞いてみよ……


 あ、あと家畜たちだが、シルバーの所の牧草地帯に突っこんだ。ニワトリ(?)も放し飼いだ。トラには柵からは出ないように注意してもらった。

 ここで俺は重大なことに気が付いたのだ。トラを通しているとはいえ、話が通じる家畜たちを食べることができるのだろうか? 多分できない……俺は家畜も殺せないし、人も殺せないだろう。ここら辺はあとでみんなに相談しよう。




 俺は今、クランハウスに帰ってきた。今日は釣りをしないで家を建てまくった。メンバーが流木を拾ってきてくれているので流木には困らない。それよりも、釣りができないのがつらい、こんなに天気がいいのに……海がすぐ近くにいるのに……つらい。はやくみんなに仕事を割り振って好きなことができるようになろう!




「エヴァさんいますか? 手伝ってもらいたいことがあります」


「どうしたんですか?」


 エヴァさんとサラさん、エメさんがやってきた。どうやらクランハウスの掃除をしてくれていたようだ。


「ピアスを作りたいので手伝ってください」


「ピアス?」


 あれ? もしかしてこの世界ではピアスはないのだろうか?


「ピアスってしている人いません? 耳に着けるアクセサリーなんですけど……」


「「「……」」」


 三人が黙った……こういう時は経験上ろくなことが起きない……


「「「作ります!」」」


 いや、エヴァさんだけでいいんだけど……まぁいいか。


「みなさん知らないようですし、最初なんで俺がデザインしますね。どんなものかわかったら、エヴァさんにもデザインを考えて欲しいのです。多分うちのクランで一番最初に経営の軌道に乗るのは芸術の部門です。資金集めの為に協力お願いします」


 そういって、例のごとく粘土を取り出した。粘土をテーブルにに置き、手のひらで薄く伸ばした。

 先のとがったものが欲しかったので薪をクラフトし、爪楊枝のような串をたくさん作った。なんかやりたい人が増えそうなのでたくさん作った。余ったら食堂で使ってもらおう……


 俺は皆にいいところを見せるべく、粘土に立ち向かった。

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