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100.商会の娘を紹介

「ただいま戻りました! 見てください! こんなに希望者が集まりました!」


 シャッドさんは元気に帰ってきた。

 元気なのは良かった、でも想像以上にお土産が多い。人も多いが、なんだか家畜も多い。馬や牛や……豚っぽいのもいるな。馬車の中からは鳥の鳴き声もするような気がする。幻聴かな?


「おかえりなさい。なんだか……たくさんですね」


 シャッドさんには資金をあまり渡していない。今回の主なお仕事はうまい汁をギルドに運び、使用方法の説明と、人材確保だ。それなのに、この大名行列を思わせるような列はどういうことだ?


「実は商家の娘さんからクランに入りたいと要望がありまして、お土産で家畜を預かったんですよ」


 お土産に家畜? なんだかすごいとこのお嬢さんだったりしない? 大丈夫?


「初めまして、クランマスターのアタルさんとお見受けします。わたくしカーボロッド商会のリサと申しますわ。是非クランディールの末席に加えていただきたく参上いたしました。お父様より家畜を預かってきましたの、献上致しますわ」


 まさか……まさかだが……思う所があり、クランクさんの方を見る。


「カーボロッド商会のグラッツさんは私の知り合いです。前にアタルさんが家畜を欲しいと言っていた時に相談していたんです。今回贈ってくれたんですね」


 欲しいと言った、言ったけれどもお土産に娘さんまでついてきたぞ? これでトラからダメって言われたらどう断ればいいんだ?


「……ようこそ皆さん、旅でお疲れでしょう。食事を食べてから面接会を開きましょう」


 面接はするよ? するからな? ちゃんとシャッドさん説明してるよね? 




 俺は今、食堂で面接官をしている。今回の面接はなんと一体五だ!

 正直言ってトラが居れば問題がないのだが、いろいろ考えた結果こうなってしまった。


「ベティさんは最初から参加ですか?」


「メンバーを増やすときは呼べ! なんでこっちが察知して向かわなければならない!」


 なんか怒られてしまった。というか、呼ぶ気がないから呼んでないのだ、察知するのは勝手だが、勝手に参加しないで欲しい。


 ちなみにメンバーはベティさん、ゴンさん、シャッドさん、トラと俺だ。シャッドさんが人選したメンバーだ、シャッドさんに同席してもらわないとわからないこともあるだろう。ゴンさんも街の長として参加は必須だろう。トラは……いないと決めれないから絶対だ。ベティさんは別にいらないけど、なんか怖いから居てもらおう。俺はトラの通訳として絶対にいる!




「それでは面接を始めますね、私こういうものです」


 俺はお約束通りギルドカードをリサさんに手渡した。


「丁寧にありがとうございます。先ほど申し上げた通り、カーボロッド商会長女のリサですわ。この度は面接の機会をご用意していただき、ありがとうございますわ」


 そう言ってリサさんはギルドカードを手渡してきた。商人ギルドのカードで俺のとはちょっと違った。ちなみに色は金だった……まいった。というか、俺の面接の流れはシャッドさんからでも聞いたのかな? それとも商人だと普通にやってるのかな? シャッドさんをチラッと見てもいい笑顔で頷いている。アイコンタクトは失敗した様だ。


「それで、やれそうですか?」


 あ、しまった。何も考えてなかったからいきなりやってしまった……


「はい! シャッドさんからクラン活動について伺い、アタルさんの考えに感銘いたししましたわ! 是非、国の流行の最先端に関わらせていただきたいですわ! まだまだ勉強不足な点もあるかと思いますが、王都でもそれなりの教育を受けてきました。是非お役に立ちますわ!」


「え? じゃあ採用で!」


 なんかわからないけど勢いに押されて採用にしてしまった。トラもダメって言ってないし問題ないだろう。サクサクいかないと釣りの時間が無くなるからな! どんどん行こう!


「ありがとうございますわ! 実は私が目をかけている者も一緒にきましたの。是非面接していただきたいですわ」


「じゃあ連れてきてください。ただし、向かなそうならお断りするけど大丈夫ですか?」


「もちろんですわ! 公平にお願いしますわ!」


 そういってサラさんは食堂を出ていき、女性を連れてきた。俺と同じ歳くらいかな? 侍女さんとか連れてきちゃった感じ?


「紹介しますわ、こちらはエヴァさんですわ! すごく綺麗な絵をかきますの。私は彼女の才能を評価しているのですが、絵に値が付かなくて生活が困っていたので私が援助していましたの。ベイツの街は最先端を発信し続けると聞きましたわ。エヴァさんの才能もきっと役立ちますわ!」


 絵が上手はいいね、俺には絵心がない! 綺麗な絵には正直あんまり興味がないんだけど……可愛い絵とか書いてくれるかな? トラの絵も欲しいな……


「芸術家ですね! どんな絵が描けるか見てみたいですね」


「……芸術家ですか?」


 エヴァさんがようやく話し出した。

 サラさんが推しまくっていたから話すタイミングを測っていたのだろう。

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