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15日目~ 平和な日々

15日目は鬼ノ城ミヤ様よりツイッターにて、触手ランドセル幼女のイラストをいただきました!

ありがとうごさいます!!

《さて、皆で狩りをしようか!》

「はーい、パパ!!」

「任せてください」


 俺の声に、仁葉と真が元気よく返事する。

 お出かけ前に、意思疎通できるようにしておいた。


《狩りとかいっといて、結局俺が全部やるんだろうが。めんどくせぇ》

 そんなことを言いながらも、竜は付き合ってくれる。

 実際、俺達にほとんどやることはなく、竜が倒したモンスターのキューブを集めるだけだった。



 これでしばらく分の俺のご飯はOKだ。

 ただ、キューブを今まで通り通貨のように使いたくても、ぶつぶつ交換してくれる相手がいないんだけどな。


 食料を集めて、それから竜の巣にもどる。

 皆でご飯を食べて談話して、それから眠った。



 次の日は、魚つりをすることにした。

 舟なら倉庫の近くにいっぱいあって、竜が海に浮かべてくれた。


 釣り具は近くの釣り具屋から。

 真も仁葉も、魚釣りははじめてだったらしい。

 1匹釣れただけでも大騒ぎだった。


 あやうく俺が魚の餌になりそうになったり、釣り上げたタコが俺に絡んでくるハプニングも途中あった。

 でも、最終的には8匹もの魚が釣れた。


 アヤメは壊滅的に料理が下手なので、俺が魚をさばくことにした。

 鱗を取って、頭と体の継ぎ目に包丁を入れ、三枚に下ろす。

 身は刺身にして、あらは出汁をとって味噌汁に。

 小さな魚は揚げてから、塩をふった。


 やっぱり、自分達で採ったものはとても美味しい。

 仁葉も真もご満悦で、アヤメは何故か自分の手柄のように俺の料理を褒めていた。

 今回のはただ切ったり、揚げたりしただけなんだけどな。



 別の日には、皆で山へ出かけた。

 竜がこの近くに温泉があると言ったからだ。


 投影機を動かすための発電機はあるが、流石に風呂はない。

 俺や竜、アヤメはモンスターだから風呂に入る必要もそんなにないんだがな。

 仁葉や真は人間だから、風呂に入る必要がある。


 竜の案内してくれた場所には、旅館があった。

 近くには温泉があって、男湯と女湯に別れている。

 露天風呂で、近くに脱衣所も設置されていた。


 真に抱きかかえてもらいながら、脱衣所に入る。

 中は当然のように無人だ。

 少しほこりが被っているけれど、荒れた形跡もない。


「お待たせしました。それでは行きましょうか」

 服を脱いだ真が声をかけてくる。

 桶に入れてもらい、いざ露天のほうへ赴く。


 真が俺の入った木桶を、湯に浮かべる。

 ちょんちょんと水面をつつけば、温かった。


 温泉に浸かりたいけど、この体大丈夫かな。

 仁葉と風呂に入るときは洗面器に水を入れてもらって、軽く浴びるだけだ。


 なんか俺の体、水と混ざりそうで嫌なんだよな。

 いやでも、気を強くもっていればいけるか。


 悩んでいたら、桶がくるりとひっくり返る。

 バランスが悪かったらしい。


 熱い! いや、触手は痛覚ないから、熱いっていうほど熱くは感じないけど!!

 っていうか、苦しくないのが変な感じだな!!

 息する必要ないからか!


 この体は一応、水より重いらしい。

 ゆっくりと底に、俺の底面がついた。


 浮上しようとジタバタしてみる。

 意識して触手をスプーン型にすれば、うまく浮かび上がることができた。


 そうだ。体に空気を取り込めばいいんじゃないか?

 気づいて一部に空気を入れれば、浮き輪のごとく浮かんだ。

 これなら、温泉をたのしめそうだ。


「あっ、桶が……」

 体を洗い終わったらしい。

 真が俺に気づいた。

 いい感じに浮かぶことができたので、嬉しくて手を振ってみる。

 

《真も早くこい。気持ちいいぞ!!》

 そう呼びかけたつもりだったんだが、真は俺がおぼれていると思ったらしい。

 血相を変えて、湯に入ってきた。


「大丈夫ですか!? って、うわっ!?」

《わっ、真!!》

 慌てた真が足を滑らせる。


 驚いて触手を伸ばしたけれど、そもそも支える力がなかった。

 でも、もともと浅い湯なので、大事にはならない。

 真が咳き込みながら、顔をあげた。


《大丈夫? 湯、飲んじゃったか?》

「はい、少し……」

 背中をさすってやる。

 落ち着いた真が、ふと驚いたように目を見開いて俺を見た。


「今……しゃべりませんでしたか?」

《あれ、もしかして俺の声聞こえてるの?》


 はいと真が頷く。

 どうやら俺のエキスが、湯に溶け出してしまっているらしい。


 俺の体の一部を取り込ませることで、意識に語りかける事ができる【分裂通信】のスキル。

 それが、真に働いているようだ。 


「直接会話するの、はじめてですね」

《そうだな。いつも文字で会話してるものな》


 スキルについて説明すれば、真は興味津々だった。

 俺の触手をつまんで、指で押しつぶしている。


「ちぎれても痛くないんですか?」

《痛覚ないみたいなんだよね。竜は元々モンスターなんだけど、俺の一部食べてるから、離れてても会話ができるようになってる》


「へぇ、そうなんですか……」

 気のせいかな。

 真の声に羨ましそうなニュアンスを感じる。


 さっきまで片手で俺の触手をいじっていたのに、触手を両手で掴んでいる。

 どうみても俺の触手をちぎる気満々だ。


「一度食べると、どれくらいお話できるんですか?」

《たぶん、かなり長い間……って、ちぎるのはダメだからな?》

 先に言えば、真は不満そうだ。


「しゃべれた方が便利だと思うんですが」

《それでもダメ! 人間に害があったらどうするんだよ!》


「でも、ときおり仁葉さんにはしゃぶらせてますよね。僕だけ仲間外れですか」

《あれは……仁葉が寝ぼけて》


 あまりよくないなって思ってるんだけど、仁葉がおねだりしてくるんだよな。

 俺だってやっぱり可愛い娘とは、おしゃべりしたいというか。


 しどろもどろになっていたら、温泉の仕切りを叩く音がした。

 助かったとそちらの方へ意識を向ける。


「湯加減はどうだ?」

 しきりのすぐ向こう側は女湯だ。

 アヤメの声が聞こえた。


《気持ちいいぞ!》

「いい感じです!」

「それはよかった!」


 俺と少年が答えれば、アヤメが上機嫌な声を出す。

 モンスターだから入る必要がないとは言っても、温泉はやっぱりいいものだ。


 ずっと気が張り詰めていたから、こういうのもいいよな。

 皆で釣りしたり、温泉につかってのんびりしたり。


 こういうのが幸せっていうのかもしれない。

 不思議と満たされたものを、俺は感じていた。


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