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3日目・夕方&夜 世界を救う方法

 公園に着いて、仁葉ヒトハと一緒にブランコに乗る。

 本当は背中を押してやりたかったのに、俺は膝の上だ。


「パパ、楽しい?」

《楽しいぞ》


 公園に行く前に、仁葉には触手を少し舐めさせた。

 だから言葉は通じている。

 嬉しそうに笑って、ブランコをこいでいる。


 俺が楽しむんじゃなくて、仁葉を楽しませなきゃいけないのにな。

 でも、一緒に滑り台をすべったりするだけで、仁葉はご満悦だった。


「砂遊びしよ!」

 仁葉の誘いで、今度は砂場へと移動する。

 どうやら、山を作りたいようだ。


 体に意識を集中させ、少し固くなる。

 それから、砂場に足(というか底面)をつけた。


 よし、大丈夫。

 吸われて、砂場と合体なんてことにはならなさそうだ!


 仁葉と一緒に、砂を触手で集める。

 頑張って集めようとしたが、うまくいかない。


 細すぎるんだよな、触手。

 せめてスプーンみたいに先が丸ければなぁ。


 まてよ。

 変形自在の体だし、意識を集中すればいけるんじゃないか?


 ……。

 おっ、うまくいったぞ!!

 ティースプーン程度だけど、これでちょっとはマシになった!


「パパの手、形変わった!」

《かっこいいだろう?》


 もう大分時間が経ってるから、仁葉に俺の声は聞こえてない。

 それでも、得意げなのは伝わったみたいだ。


「それで穴ほってよ、パパ!」

《もちろん、いいぞ》


 ざくざくと掘り進めて、ドリルのほうがいいんじゃないかと思いつく。

 触手の先を三角錐の形にしたけど、回転が難しくて諦めた。


 触手の先は変形可能。

 思いがけない収穫を得ながら、俺は仁葉との楽しい時間を過ごした。



 ◆◇◆


 “よごれたから、おふろにはいろう”

 スマホを操作して伝えれば、仁葉は嫌そうな顔をした。

 

 あまりお風呂が好きじゃないようだ。

 乗り気じゃない仁葉を風呂に入れるため、俺も一緒に入ることになった。


 俺、水に溶けちゃわない?

 なんて、正直心配だったんだがな。

 固くなるの応用で集中すれば、水も大丈夫だった。


 そうは言っても、油断すると排水溝に体が持っていかれそうになる。

 排水溝にここまで恐怖を覚えたのは、はじめてだ。

 なので、洗面器に入れてもらった。


 触手の俺でも、娘の髪を洗うことくらいはできる。

 意外と俺、お父さんしてるな。

 少しそんなことを思った。


 服を着替えてから、先生の家に向かう。

 今日の夕食はスパゲッティーナポリタンのようで、俺の分も用意されていた。


「モンスターである私達は、人間の食べ物を食べてもお腹は満たされないんですけどね。美味しいものは美味しいですから」

 確かにと思いながら、ナポリタンをいただく。

 俺の体がケチャップ色に染まった。


「そういえばお父様は、テイストコピーの能力を持ってましたね」

 端末の使い方を教そわったに、先生は俺の能力を見ていた。

 実はとても珍しい能力らしく、先生も他に見たことがないということだ。


《けどこの能力、使い道がありませんよ。あと、先生。俺のことは小野おのでいいです。お父様って呼ばれると、変な気分になります》

「それならお言葉に甘えて、小野さんと呼ばせていただきますね」


 名字を言えば、先生がうなずく。

 俺の横では、仁葉が夢中になってナポリタンを食べていた。

 いっぱい遊んだから、お腹が空いていたんだろう。


「使い道はとてもあると思いますよ。組み合わせ次第では、魅力的だと思います」

 先生は真顔だ。

 何に使えるっていうんだろう。


「そうだ。メインディッシュのキューブをどうぞ」

 先生がくれたのは、さいころみたいな形をした石だ。

 以前ウララちゃんがくれたやつと同じもので、色が違うやつだった。


《これ、ウララちゃんからももらったんですが、何ですか? 食べると腹がふくれるんですが》

 ずっと疑問だった。

 ウララちゃんにもスマホで聞いたけど、キューブよとしか返ってこなかったのだ。


「これはキューブといって、我々モンスターの主食です。モンスターを倒すことで手に入ります」

《それって共食いになるんじゃあ……》


 つい呟けば、にこっと先生は笑った。

 ちょっと怖い。


「地球上にはないものなので、互いに奪い合うしかないんですよ。弱肉強食というやつです。ですが安心してください。モンスターは腐るほどいます」


《でも、モンスターって元人間ですよね。それを考えると、物凄く食べづらいんですが》

 すでに1個食べたけど、あれは知らなかったからだ。

 これが何か知ってしまうと、口にしたくなくなってしまう。


「モンスターは元々、互いに争う生き物です。やらなければやられますよ?」

《いやまぁ、そうなんですけど》


 先生の思考怖いぞ。

 なぜそれができないんです?と言わんばかりに、可愛く小首を傾げていらっしゃる。

 しかも、キューブをつまんで、ぱくりと食べてしまった。


「大丈夫ですよ。モンスターだらけの状態は、いつまでも続きません。この世界を隕石が落ちる前と同じ状態に戻す方法があるんです。私達が倒したモンスターも、全て元の人間に戻ります」


《そんな方法があるんですか!?》

 食いつけば、ありますよと先生は力強く答えた。


「私達の機関では、そのための用意を以前からしていました。先回りして、人間化の概念が壊されても、すぐに復活できる仕掛けを開発していたのです」


 ならどうして、それを早く使わないのか。

 俺の疑問は、先生もわかっていたんだろう。

 大きく溜息を吐いた。


「なのに、その仕掛けを作動させる装置が行方知れずなんですよ。アヤメさんと一緒に、消えてしまったんです」

《そうなんですか!?》

 現在、研究機関もアヤメの行方を捜しているが、見つからないのだという。


「もしもアヤメさんからコンタクトがありましたら、知らせてくださいね」

《……はい》


 先生は、仁葉がアヤメと連絡を取り合っていることを知らないみたいだな。

 少し疑問に思いながら、頷く。


 仁葉は、先生に懐いているように見える。

 なのに内緒にしているのは、少し不自然に思えた。


 もしかすると、アヤメから口止めされているのかもしれないな。

 そんなことを俺は思った。

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