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避難キャンプ……そして家族再開

こんばんわ(☆∀☆)

楽しんでいただけましたら嬉しいです。

         ◆

 流体金属の層に覆われた外部が完全に遮断された中央都市。


構造的には通常コロニーの外周に強固な防護流体壁を巡らせ、循環処理系やエネルギーシステム、気密処理など一点の隙を見せない閉鎖環境系コロニー。


太陽フレアからの強力な放射線の贈り物や細菌やウイルスなど病原体など遮断のため物理的な接触を遮断。


空気や水なども高密度フィルターを何重もくぐらせ濾過。


その圧倒的な保護が安寧を約束していた反面、万が一、鉄壁の防壁が破られ、都市内部に細菌・ウイルスが蔓延すると滅亡を意味する。


「ほらぁ、無理しすぎないで――っ」


「わたくしは無理などしておりません。ティアこそアスナさまから離れて病院のベッドで死人のように大人しくねんねしていたらよろしいですわ」


「むひーっ! せんせーのことアスナさまって呼んでるーっ!」


「フフフ……蜜月ですわ! わたくしとアスナさまとは相思相愛ですもの」


「正妻はわたしなのだぁーっ!」


 とても不毛な争いだ。


 信じられないことに二人は胸元で腕を組むとむむっと眉をよせてスモーク

フィルムが貼られた統括本部事務所と書かれた窓の前で突然騒ぎ出した。


両手をあげてぷんぷん怒るティアに「チッ!」と舌打ちの音が聞こえそうなアスカ。


この二人は誠に迷惑だがやり場のない溜まりに溜まったフラストレーション

を発散させているみたいだ。


健気に仲介に入っている警備員の困った顔を見ると先生としての僕の良心が

串刺しにされた気分になる。


 金髪碧眼の圧倒的質感で盛り上がっている二つの膨らみが特徴的美少女アスカと天然素材を絵に描いたような妹系不思議っ子ティア。


アイドルグループでもセンターをはれそうな美貌の持ち主二人が喧嘩。


ここが軍事施設でもなければゴシップ雑誌の記者やアイドル事務所のスカウトなどが声をかけそうなほど絵になっている。


――と、言う訳で――


そんな二人をほっておいて僕は軍施設前のバス停からバスに乗った。


バスの運転手がサイドミラーと昇降扉を確認。


ゆっくりとバスを発進させた。


 バスの外の風景はとても戦争とは無縁。


昼前の賑やかな繁華街に自然と雑踏する人。


このひとときの平和は軍部による情報規制の賜物だろう。


分厚い資料をめくって真実を導くよりニュースを鵜呑みにして長いものにまかれる的に生きていたほうが楽。


しかし、最後に貧乏くじを引くだろう。


今は何も知らない間に長いものに巻かれた一般市民で溢れる街は活気に満ち溢れている。


 そんな駅前の大きな通りをぬけてしばらくすると昆虫などが飛んでいそうな森林と巨大コンテナが視界に飛び込んでくる。


その先に僕の目的の場所があった。


心地よく揺れるバスの車窓は少しずつ風景が変わる。


やがてたどり着く終着停留所。


バスが立ち寄る最後の停留所で降りると僕は手持ちの地図を見ながら狭い路

地をぬけて避難民が暮らす仮設住宅が鎮座する一角に足を進めた。


中央を分断する二車線道路は軍部の大型バンや四トントラック・給水車などが往来する、とても気楽な雰囲気の野外キャンプなどではない。


何処か失意が充満した仮設住宅地だった。


「……須藤先生……?」


 至近距離からありえないほどうっそりと暗黒じみた声が聴覚を捉えた。


とても聞き覚えがある生気のない家族の声。


「ひなた」


 振り返ると見慣れた顔が一つ。


僕の眼中には学校指定の赤のヨレたジャージ姿で虫かごと虫取りアミを完全装備したピンクの髪の巨乳少女が「ヨヨヨッ」など口走り、何処かの三流芸者のようにゆったりと掌を口元に当てた。


「何をしているのかな……」


「……は、はい。支給品少ないので。裏山でタンパク質の確保を……」


 虫かごをよく見てみると芋虫とイナゴが蠢いている。


「支給品が足らない? たしか家族人数分の支給だよな」


 僕は小首をかしげると軽く顎に手を添えた。


「……ううっ、わたしとゆーなは元・家なき子。住民登録されていないので支給されないのです……ううっ、同情するなら金をくれ……など言ってみましたがダメでした」


 ひなたはいかにも頼りなさげにおよおよっと寂しげな雰囲気を醸し出して残念そうに謝罪すると「ぷはぁーっ」と黒い色でもついていそうなどんより暗黒騎士団的溜息を漏らした。


その豪快な嘆息を聞くと僕は不思議と家族のもとに帰ってきたことを実感する。


何気ない会話に家族の絆を感じたのだ。


「おーい、ひなたちゃん――っ。大収穫、あっちのゴミ捨て場でこれゲット……ってあれれ、お兄ちゃんっ!」


 透徹した快活な声。


とってもちびっ子ボイスだ。 


どこから見ても10歳程度の美少女がグリーンの髪をパタパタと揺らし、煤

まみれの相好を崩し、小汚いヤカンを振り回して僕の腹部に飛びついてき

た。


屈託のない笑顔。完全にデレている。


「なになにどうしたの――っ。もう、とってもサプライズだよお兄ちゃん。帰ってくるなら帰ってくるって連絡してくれればもう少しあたしもひなたちゃんもお兄ちゃんが興奮して種付けしたくなるようなカッコしていたのにぃぃぃ」

 

 ――連絡しなくて良かったーっ!――


その鬼畜プレイ大好きでしょーっぽいお言葉はなんなのですかーっ。

避難キャンプの衆目が僕達に注がれる。


大勢の視線を一身に受けても堂のはいったゆーなの超合金の心はビクともしない。


流石にみかけは子供でも僕と同年齢の18歳はだてではない。


背の高さも歩幅も違う三人。


まわりのざわめきは徐々に大きくなる。


僕も女性の姿でありエースパイロットとして有名なことが事態に拍車をかけている。


素人離れした美貌の持ち主が三人。


類は友を呼ぶというやつだろう、日頃は気にもとめていないが僕を取り巻く女の子はアイドル級・顔面偏差値などがあれば一流大学クラスの宝石ばかりだ。


僕的には女難の相そのものだが。


「何にしても、お兄ちゃんお勤めご苦労さま。ほらほら、姉貴さんも待っているし早く帰ろーよー。今夜はいっっっっぱい労をねぎらってあげるね、キラリン☆」


「……ゆーなの言うとおりです……虫もいっぱい……夕飯奮発、いっぱい精力つける……むふふ」


「夜はゆっくり寝かせてください」


ダークな笑みをうっそりと浮かべるひなたとにぱぁっと太陽のようなほのぼのとした笑みを浮かべるゆーな。


視界の端には羨望の眼差しで見つめてくる傍観者。


 軽く眉を寄せた僕に二人は嬉々して双方の腕にがっしりと絡みつく。


まるで『もう離れたくないよ』と言っているように。


右が巨乳、左がつるぺた。


こんな積極的な二人の対極する肉体美的女神さまに先導されている僕はほんのちょっぴり苦笑いだ。


 手をバタバタさせることもなく僕は好奇の視線と羨望の視線を全身に浴びながら仮設住宅(我が家)に連行されるのであった。


いかがでしたか?

最終決戦が近づいてきています。

もう少しお付き合いをよろしくお願いします(☆∀☆)

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