7.国王を交えた話し合い
国王達との話し合いが始まります。
翌日、アンネとトーマスは城に呼び出された。アンネが公爵家に帰宅する前に、護衛の一人が城に直接赴きヴィクトルの事を報告した。その後、事実確認の為に話し合いたいと連絡を受けたアンネ達は、指定された時間に城に到着し、城の従者に案内された部屋に入室した。部屋には国王と王妃、そしてヴィクトルの3人が居た。アンネとヴィクトルの目が合うと、ヴィクトルは気不味そうにアンネから視線を外した。
「…では、話し合いを始める。昨日、テレーゼ公爵家の者から連絡を受けた。しかし、双方から平等に話を聞くべきだと判断し、ヴィクトルは昨日帰宅してから今までの間、部屋で待機するように命じておった。つまり、私と王妃はヴィクトルからは何も話は聞いていないという事を分かって欲しい。」
「…はい。」
国王の言葉に、アンネとトーマスは頷いた。
「昨日の話では、学園で公女はヴィクトルに追われていたと聞いたが、ヴィクトル、その話は本当か?」
「…はい。」
ヴィクトルは気まずそうに返事をする。
「では何故、公女を追いかけたのだ?」
「それは…私の話を聞かずにそのまま帰ろうとしたから、引き留めようと思ったのです。」
「…陛下、発言してもよろしいですか?」
アンネの言葉に、国王は頷いた。ヴィクトルは何とも言えない顔でアンネを見ている。
「ヴィクトル様の言葉に間違いはありませんが、私が逃げたのは身の危険を感じたからです。」
「だからっ! それは君の思い込みだと言っているだろうっ!!!」
「…ヴィクトル、黙りなさい。」
ヴィクトルが大声で話すと、アンネ以外の3人は驚いた様にヴィクトルを見た。しかし、すぐに無表情になった国王はヴィクトルを注意した。
「っ…、申し訳ありません。」
「陛下、順を追って説明させて頂いても宜しいでしょうか?」
アンネの言葉に国王は頷き、アンネが説明をする事になった。
一昨日の授業後ヴィクトルに呼ばれて生徒会室に行くと、マリーと一緒にヴィクトルが待っていた事。マリーを正妃にしたいから婚約破棄をしたいと言われた事。アンネは側妃になるように言われた事。アンネは自分の感情を話さずに、ただあった出来事を報告するように説明した。
説明をしていくにつれて、国王と王妃は険しい顔でヴィクトルを見るようになり、トーマスは怒りを堪えながらもヴィクトルを睨み続けた。ヴィクトルは、そんな3人の顔を見ては目線を逸らしながらも、否定する事が出来ずに渋い顔をした。
「…私は側妃の話を何度も断ったのですが、聞き入れて貰えませんでした。一日だけ返事を待つといわれたので、その間に考えましたところ…ヴィクトル様が、私を城で孤立させて、復讐しようとしているのだと思いました。何故、恨まれているのかは見当がつかないのですが…。」
「いやだから、それは違うと言っているだろうっ!?」
今まで黙っていたヴィクトルは、俯いていた顔を上げるとすぐに反論した。アンネは不安げにヴィクトルを見つめて何も答えない。そんなヴィクトルに国王は質問した。
「…ではヴィクトル、何故公女を頑なに側妃にしようとしたのだ? 公女は何度も断ったと言っているがそれは本当なのだろう?」
「それは勿論、アンネの為です。」
きっぱりと言い切るヴィクトルに、アンネ以外の3人は怪訝そうな顔をした。
「元はと言えば、僕が悪い事は分かっております…リンネ男爵令嬢を愛し、婚約解消を決めた事は酷い事です。だからせめて、アンネを側妃する事で僕の傍に居られるようにしようと思っただけです。彼女の為に側妃にすると決めたのです!」
「…巫山戯ないで頂きたい、何故側妃にする事がアンネの為になるというのですか?」
ヴィクトルを睨みつけながらトーマスが言うと、ヴィクトルは一瞬狼狽えるが声を張り上げた。
「だ、だって、アンネは僕をとても愛していると思ったからです! 愛する僕と離れる事はとても辛いでしょう。それに未来の王妃となるべく身につけた教養を無駄にさせたくなかった! 素直になれないアンネに、僕が責任をもって手を差し伸べただけです!!」
理解を求めるように、なにも間違っていないというように話すヴィクトルの声が室内に響き渡った。
「…駄目だ、これは」と誰かが小さくぼやいた…。
国王達にヴィクトルのダメっぷりが披露される回に突入します 笑 結末は大体の方が予想しているとおりになると思います。
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