1.婚約解消と側妃の提案
婚約解消/破棄騒動であるあるの、ダメ王子と被害者ヒロインのお話です。もし宜しければ暇つぶしにでも読んで下さると幸いです!
誤字脱字、貴族制度の矛盾などがあると思いますが、素人の文章ですので広い心でどうかお許し下さい 笑
「アンネ、僕はマリーを愛してしまった。すまないが僕との婚約を解消させて貰う。」
第一王子のヴィクトルは隣に座るマリー・リンネ男爵令嬢の肩を抱き寄せながら、向かい側に座るアンネ・テレーゼ公爵令嬢にそう言った。
アンネ・テレーゼは物心ついた頃からヴィクトルの婚約者に選ばれており、王子の婚約者として、未来の王妃となるべく教育を受けてきた。アンネの両親もヴィクトルの両親である国王と王妃、そして周りの貴族達もアンネの人柄と佇まいは王子の婚約者に相応しいと評価していた。
アンネとヴィクトルの仲も良好であり、このまま何の問題もなく2人は結婚するのだと周りも、そしてアンネ自身もそう思っていた。
しかし、アンネとヴィクトルが高等部の学園に通い出した頃から不穏な空気が漂い始めた。ヴィクトルとマリーの距離が近く、仲睦まじい様子が度々見られるようになったのだ。アンネがヴィクトルにその事を指摘すると、嫉妬しているのかと言われて笑われてしまった。その後もアンネは何度か注意したがヴィクトルが態度を改める事はなかった。
勿論、ヴィクトルだけでなくマリーにも注意をしたのだが、男爵令嬢だからといって王子と仲良くしてはいけないのかと、まるで被害者であるかのように言い返してきて泣いたのだった。マリーの態度を問題視し、注意をしてくれたアンネの友人や生徒達は大勢いたのだが、結局マリーは聞き入れなかった。さらにヴィクトルがマリーの泣く姿を見て周りに怒りを向けてきた。マリーは大切な友人であり、友人と仲良くする事の何が悪いのだと言い放った。
そんなヴィクトルの態度に、アンネは決められていた婚約とはいえ、無意識に芽生えていた彼への愛情が無くなってしまった。しかし貴族の婚約は愛情だけで決められるモノではない。それに未来の王妃となるべく努力してきた今までの自分を無駄にしたくはなかったし、そんな事は許せなかった。
それでもヴィクトルがアンネに冷たい態度を取ったり、マリーの事ばかり優先するようであれば婚約解消を考えたかもしれない。しかしヴィクトルは休日にはアンネとお茶を共にしたり、学園で会えばにこやかに挨拶をしたりと、マリーとの距離感が近すぎる事以外には何も問題はなかったのだ。これ以上注意をしても2人は聞き入れないだろうし、正直面倒だなと思っていたアンネは卒業するまでの間だけ辛抱すれば良いと考え、ヴィクトルとマリーの事で何かを言うのは止めた。そんなアンネを見て、アンネの友人や生徒達もヴィクトルとマリーについて何も言わなくなっていった。
…それが良くなかったのか、いやそもそも初めから何をしても意味がなかったのだろうか…。1週間後に卒業を迎える本日、アンネは授業後に生徒会室に来るようにヴィクトルに呼び出されて扉を開けると、ヴィクトルとマリーが待っていた。そして婚約解消を言い渡されてしまった。
「っな、何故ですか…?」
心臓がバクバクと嫌な音を立てるのを感じながらアンネは状況を理解しようとヴィクトルを見た。
「…すまない、本当に。僕はマリーを愛してしまったんだ」
「ごめんなさい! テレーゼ公女様!!」
ヴィクトルは申し訳無さそうに謝罪し、マリーは自身を引き寄せるヴィクトルの手に自身の手を重ね、涙ぐみながらアンネに頭を下げた。そんな2人の様子に、アンネの表情は険しくなっていった。
「…ヴィクトル様、リンネ嬢。私は何度かお二人の距離の近さに口を挟んだ事がありました。その時お二人は友人として近くにいるのだと言っておりましたよね?」
「い、いや、それは違う!!」
嘘をついて、浮気をしていたのか? 最後まで言わずとも伝わるアンネの問いかけに、ヴィクトルは少し慌てたように答えた。
「あの時は本当に、マリーの事は友人だと思っていたんだ! でも、一緒に過ごすうちに段々と彼女に惹かれていったんだよ。本当だ、信じてくれ!」
「そ、そうです! 私も昔は、ヴィクトル様を大切なご友人だと思っておりました! でも、ずっと傍にいるようになってから…その、本当にごめんなさい!!」
アンネが注意をしなくなってから好きになったという事なのだろうか。アンネには2人が本当の事を言っているのかどうかも分からないが、本当だとしてもこの状況を変えられるモノではない。そして、それだけが理由とも限らないのだ。
「…私に何か問題があった訳では無いのですか?」
アンネ自身には全く身に覚えはない。しかし確認は必要だった。もしアンネに非があるならばそれ相応の謝罪が必要であるからだ。
「も、勿論だよ。アンネは悪くないさ! 僕がただ、マリーの明るさや優しさに惚れてしまっただけだよ。マリーと出会うまでは、アンネと結婚して未来の王と王妃として共に過ごす、当然のように思っていたんだからね。」
アンネに非はなかった。その事実はアンネの心を和らげる事はなく、どんどん虚しくさせていった。ヴィクトルは浮気をする人だった事に少なからずショックを受けたけれど、アンネに問題がないというのならばもうどうにもならない。
王妃となるべくしてきた努力が意味を失くしてしまうけれど、アンネは、もう、どうでも良くなっていた。ヴィクトルの行いは愛情が無くなるどころか嫌悪感をもたらし、むしろアンネ自身も婚約解消したいと思ってしまった。
「ですがヴィクトル様、私たちの婚約は王家とテレーゼ公爵家の元で結ばれたモノです。私達の意思だけでは解消出来ませんよ。どうするのですか?」
ヴィクトルとアンネが良くても、王家は反対するだろう。ヴィクトルが未来の王となるならば当然王妃となるのはマリーだ。しかしマリーは貴族位が一番低い男爵家だ。その上彼女の成績は中の下、芸術面においても秀でた存在ではない。未来の王に愛されているからという理由だけで未来の王妃は認められない。そんな事はヴィクトルだって理解している筈だ。
「アンネ、君は僕をとても愛してくれているのに本当にすまない…。 だが、もう僕はマリーと共にこの国を良くしていきたいと思っている。だから、嫉妬されても応えられないんだ!」
「…はい?」
この人は何を言っているのだ? と、アンネは思った。ヴィクトルとマリーが結婚するのは難しい事だがどうするのか、と聞いたつもりだったのだが…。
「…あの、ヴィクトル様がリンネ嬢と結婚したいと言うのは構いませんが、陛下達にはどのようにして説得されるつもりなのですか?」
「本当にすまない、アンネ。でも聞いて欲しい、僕はマリーを愛しているが、君の気持ちも無下にしたくないんだよ。」
会話が成り立たない…。困惑するアンネにヴィクトルはにこやかに微笑んだ。
「アンネ、君を僕の側妃にするよ!」
読んで下さりありがとうございました!これから徐々に更新していきます。よろしくお願いします(*^^*)
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