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迷宮喫茶はじめました ~退職して店を建てたら隣にダンジョンが発生したけど気にせず営業する~  作者: 結城 からく


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第96話 ネガティブは人を強くする

 リターナが鎖をソグの首に巻き付けて、一気に絞め上げる。

 そのまま背中に組み付いた。

 締め技が得意な彼女ならではの奇襲だ。


「ぐおっ!?」


 ソグが苦痛に声を上げる。

 そこにメルが追撃のナイフを振るう。

 喉を切り裂こうとする刃に対し、ソグはガントレットを割り込ませることで防いだ。

 もう一方の手で鎖を掴み、どうにか窒息に抵抗している。


 ソグは二人からの攻撃をなんとか耐えていた。

 素人ならばとっくに死んでいるだろう。

 少なくとも体術に関しては一級の力量を有しているようだ。


 そのうちソグがリターナを投げ飛ばし、正面のメルにぶつけた。

 俺は拳銃で隙を狙うも、唐突に発生した突風が弾丸を逸らす。

 突風はソグを中心に渦巻いていた。

 彼が剣を往復させると、リターナの四肢が切断されて、首や胴体も遅れて割れる。


(風の刃か)


 切りかかろうとしたメルにも突風が襲いかかった。

 メルは何度かナイフで防御するも、不意に転倒して店の端まで吹き飛ばされる。

 一瞬で彼女の全身に切り傷ができていた。

 リターナのように切断まで至っていないのは、直撃を避けたからだろう。


 ふらついたメルは片膝をつく。

 無表情だが顔色が悪い。

 致命傷ではないが、万全に動けない状態だった。


「まったく最低な日だ。どうしてこんなにも上手くいかないのだ」


 嘆くソグが剣をリターナの肉片に突き刺す。

 リターナの肉と骨が細かく切り刻まれていく。

 絶えず破壊されているため、再生には相当な時間がかかるだろう。


 髪を掻き上げたソグは、追加の突風をメルに浴びせながら愚痴る。


「やれやれ、信じられるのは己の力だけだ。他人に任せるとすぐに失敗する」


 突如、強烈な風の刃が放たれた。

 メルの立つ箇所が床ごとめくれ上がり、壁や天井を巻き込みながら外へ飛ばされた。

 店が大きく傾くが、サズが枝を素早く伸ばして補強することで倒壊を免れる。


 室内が軋む中、ソグは昏い瞳で語る。


「私は風の精霊と契約している。風属性の魔術武器と相性が良いのだが、連続で使用すると魂を損耗してしまう。なるべく頼りたくなかったが、そうも言っていられないようだ」


「力の出し惜しみで窮地に陥るなんて間抜けだな。いかにも小物って感じだ」


 俺の挑発を聞いたソグが真顔になる。

 そして、身に纏う風の勢いをさらに強めた。


「……貴様だけは絶対に殺す」


「いや、死ぬのはお前だ」


 俺は倉庫から持ち出した連射銃に手をかける。

 ソグが動き出すと同時に、引き金にかけた指に力を込めた。

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