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迷宮喫茶はじめました ~退職して店を建てたら隣にダンジョンが発生したけど気にせず営業する~  作者: 結城 からく


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第65話 仲間との素晴らしい連携

 冒険者の残骸が飛び散り、店内を赤く染まった。

 破れた臓腑がテーブルの料理に降り注いで新たなトッピングになる。


 酷い有様だった。

 この街を統治する辺境伯が、住民である冒険者を惨殺したのだ。

 確かにギアレスの税制は形骸化しており、まともに機能しているとは言えない。

 冒険者達が街の発展に貢献していない部分は否めないものの、それにしても無視できないほどの暴挙であった。


 大した意味もなく命を奪っていいものだろうか。

 少なからず人間性を欠いた行動である。


(まあ、俺も客を殺してるけどな)


 自省する間もなく、辺境伯が建材を叩き込んでくる。

 俺は背後へ飛び退いた。

 眼前を通過した建材の先端が床を叩き割って爆発する。

 求婚相手に向ける威力ではなかった。


「うむうむ、良い動きじゃ」


 嬉しそうな辺境伯が建材を捨てて跳びかかってくる。

 大柄だが俊敏な動きだ。

 無防備な胴体に散弾をぶち込みたいが、相手は頭部に連射しても効かない怪物である。

 下手な迎撃がこちらの隙を晒すだけになるのは明白だった。


 俺は身体強化を用いた跳躍で天井に逃れた。

 そこでリターナを吊るす鎖を掴み、力任せに引き上げた。

 釣られて浮遊したリターナは不思議そうに俺を見る。


「随分と強引だね。愛の告白でもする気かな」


「勝手に言ってろ」


 俺は鎖を使ってリターナを振り回す。

 その先には壁をよじ登る辺境伯がいた。

 辺境伯の片手が霞み、リターナの顔を鷲掴みにする。

 そのまま果実か何かのように頭蓋を握り潰した。


 リターナの四肢が激しく痙攣する。

 頭が潰れたことで首吊り用の鎖が外れ、噴き出した鮮血が辺境伯を濡らしていく。

 俺はそこで声を発した。


「そいつを無力化したら、お前の大好きな実験を好きなだけさせてやる」


 刹那、リターナの手足が辺境伯に絡み付いた。

 首から上が潰れた状態で器用に動き、的確に窒息させにかかっている。

 辺境伯の指がリターナの背中に潜り込んで抉るも、それで力が緩まることはなかった。


 さすがは不死身だ。

 狂った言動の多い変人だが、その実力は本物である。

 研究欲を刺激された今、リターナを止められる者はいない。


 二人分の体重がかかったことで壁が剥がれ、辺境伯が落下した。

 それでもリターナは絞め技を続ける。

 辺境伯は腕を伸ばして、リターナの四肢をもぎ取ろうとしている。

 両者の壮絶な攻防が始まった。

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― 新着の感想 ―
[一言] これはひどいwww
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