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迷宮喫茶はじめました ~退職して店を建てたら隣にダンジョンが発生したけど気にせず営業する~  作者: 結城 からく


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第41話 人を挑発するのは良くない

 室内の騎士が小声で指示を飛ばし合っている。

 外もまだ騒がしい。

 あとどれくらいの人数が残っているのだろうか。

 魔術師なら感知できるが、生憎とそういった器用なことはできない。

 だから状況から予測することになる。


(ここまでに死んだ奴と事前情報を踏まえると……あと二十人くらいか)


 少なくとも三十は下回っている。

 奴らは迷宮調査の先遣隊だ。

 探索の結果を王都に報告し、それから本格的な行動に移っていく。

 だからそこまでの人数が必要ない。

 精々、ギアレスでの居場所を作るための暴力があれば十分であった。

 まさか喫茶店を相手に大損害を出すとは思わなかったに違いない。


 そろそろ連中は撤退を考えている頃だろう。

 これだけ人員が死んでているのだ。

 仮に勝利したところで得られるものなどない。

 まったく無意味な戦いである。


 俺としても、さっさとこの無駄な時間を終わらせたかった。

 そのためにも決定的な一撃を与えたい。

 すなわちここで駄目押しだ。

 絶対に敵わないと教え込んでやれば、騎士団も報復を躊躇うだろう。

 誰だって死にたくないのだから、諦めざるを得ないように促せばいい。


 俺は隣に座るリターナに声をかける。


「ちょっと殺されてこい。囮になってくれ」


「やれやれ、もう少し人命の尊さを学ぶべきだと思うね」


「お前に言われたくねえよ」


 リターナほど倫理の類を放棄した人間はいないだろう。

 彼女は何事かを思案した後、意地悪そうな笑みを浮かべて言う。


「君も命を懸けたらどうだね。元傭兵なんだろう? それとも白兵戦は苦手なのかな」


「……上等だ」


 俺は片手に散弾銃を握り、もう一方の手でリターナの首を掴んだ。

 彼女を引きずりながら厨房裏を移動し、攻めあぐねる騎士達の様子を窺う。

 リターナは困惑した様子で抗議する。


「これはちょっとおかしくないかな」


「黙れ。傭兵の戦い方を見せてやるよ」


 俺はリターナを盾にして飛び出した。

 そのまま強引に騎士達のもとへ突っ込んでいく。


 当然ながら弾が撃ち込まれるも、すべてリターナに命中した。

 大半の弾は貫通せずに体内で止まり、俺を傷付けることはない。

 騎士達が使うのは、取り回しの良さが長所の短銃だ。

 代わりに威力不足で、適切な距離で使わないと貫通力が落ちてしまう。

 だから人間の盾でも防げるのである。

 もし貫通して俺に当たっても、身体強化を使っておけば重傷には至らない。

 覚悟さえ決めれば問題ないのだ。


 俺は一気に距離を詰めながら散弾銃を撃つ。

 散弾を食らった騎士は顔面を破裂させて即死した。

 奴らの短銃と違って、散弾銃は至近距離でこそ殺傷力を発揮する。

 狙いが大まかでも構わない点も乱戦に向いていた。


 叩き込んだ散弾が室内の騎士を耕す。

 彼らは顔や胴体を引き裂かれて死ぬか、中途半端に悶え苦しんで行動不能に陥る。

 ささやかな反撃はすべてリターナの盾で遮れば解決だ。

 彼女の要望通り、俺は傭兵らしい戦い方を披露していた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] リターナの使い所が間違っている様で全く問題無い使い方に拍手喝采! [気になる点] 全くありません。 [一言] 読むごとにヒトとして大切な何かが失われていく感じがするが、めっちゃ面白いのでこ…
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