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18話「魔女、正体を明かす」ざまぁ

その場にいた全員が化け物でも見たような顔をしている。


「き、貴様は……いったい?」


二分後、侯爵が震えた声で尋ねてきた。


侯爵、侯爵の母親、執事長(気絶)、メイド長、料理長にその他の使用人……お仕置きをする対象がほぼ全員揃ってるわね。


ローザがいないのが残念だけど、まぁいいわ。


私は顔に手を当てその場で一回転した。


茶色の髪の小柄な少女の姿から、真紅の髪に紅玉色の瞳の本来の自分の姿に戻る。


皆が唖然としている。


目の前にいた華奢な少女が消え、いきなり赤い髪の女が現れたのだ、それは驚くだろう。


「私は魔女よ」


「「「「「…………っっ!!」」」」」


私の正体を知りその場にいた全員が絶句した。


「みんな顔色が悪いわね、青白い顔をして死人みたいよ」


皆目の端に涙を浮かべ、歯をガチガチと鳴らしている。


「魔女を怒らせたら恐ろしいことが起きる……それぐらいは理解しているようね」


魔女を怒らせたら魔物がスタンピードを起こすより恐ろしいと言われている。この世界の常識だ。


「ま、ままま……魔女、様が……な、何故ここに……?」


侯爵の母親が問う。


「そこにいるバカ侯爵が、私の可愛いエミリーと無理矢理結婚しようとしたから邪魔しにきたのよ」


私が睨みつけると侯爵の体がビクリと震えた。


「む、無理矢理だなんてそんな……エミリーも快く同意して……」


「あらそれなら何故エミリーは泣いていたのかしら?」


「それは……マリッジブルー」


「はぁ?!」


侯爵をねめつけると、侯爵はがだがたと震え額から脂汗を流していた。


「私を怒らせたいの? 正直に話さないならこの家を住人ごと燃やすわよ、原形をとどめないぐらいまっ黒にね」


人の頭ぐらいの大きさの炎の玉を作って見せる。


「ヒィィィィっっ!!」


侯爵が悲鳴を上げ、後退る。


「し、正直に話します! だから……い、命だけはお助けを……!」


「よろしい」


私は炎を消す。


「子爵家を脅し、エミリーと無理矢理結婚しようとしたことを認めるわね?」


「はいっ! 認めます!」


「理由は?」


「エミリーのことが、すっ、好きだったから……です!」


「ふざけてるの?」


指先に豆粒程の炎を作り侯爵めがけて飛ばす、炎の弾丸は侯爵の頬をかすり床に命中、弾丸は床を突き抜け床に小さな穴を作った。


侯爵の頬から血がだらりと流れる。


「今度は脳天を撃ち抜くわよ」


これははったり、こんなクズでも自分のせいで人が死んだと知ればエミリーが悲しむ。


それに殺すならあっさり殺さない、逆さ吊りにして爪を一枚ずつ剥がしていき、ナイフで皮膚をそいでやる。それぐらいやらなければ気がすまない。


「ひぇっ……! すっ、すみません! ざっ、財産目あてです!」


「最初から素直に話せばいいのよ」


余計な手間をかけさせないでほしいわ。


「もう一つ聞くけど、侯爵が好きなのはあんたの幼馴染のローザでいいのよね?」


「はっ、はいっ! ローザを愛しています!」


「侯爵に良い報告があるわ、喜んで」


「良い報告……とは?」


「侯爵とローザ、二人の婚姻届を出して上げたわ」


「ほげっ??」


侯爵の間抜けな声がリビングに響いた。



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