サバイバーズ・ゲーム (1) ──「次は、私たちが処刑される番です」
「──────!」
エントランスホールに居た篠巻拓弥は、顔を上げた。
二度目の爆発音。
それから断続的にサブマシンガンの銃声が続いて、やがて、何も聞こえなくなった。
「倒したの……かな」
篠巻は支柱の陰に半身を隠しながら、搭乗ホールの方角の様子を伺う。
「……相討ちか、全滅したか、どちらかでしょうね」
篠巻の真後ろで天城は、にべも無い回答をする。
「まさか……あれだけの人数の武装した警官隊が居たのに?」
「聞きましたよね。尋常じゃない数の銃声。多分、搭乗ホールに出向いたSATと機動隊の全員が発砲したんだと思います。それだけの銃弾が必要だったということは、敵の戦力は彼らと同等か、それ以上に強力なものだったということです」
「日本の警察だって、馬鹿じゃない。犠牲者は出たかもしれないけど……勝ったはずだ」
「そうだと良いんですがね。ただ、日本の警察は『先手必勝』ではなく『やられたら、やり返す』方式なので、最初の敵の攻撃で致命的な先手を取られたら、やり返せる間もなく沈められるでしょうね」
篠巻は頭を抱え、低く呻く。
「この状況で、縁起でもないことを言わないでほしいな……。既に、ワケのわからないことが沢山起きてるんだ。これ以上悪くなったら、どうなる」
「もし私が黙っていれば状況が好転すると言うのなら、いくらでも黙りましょう。ですが……」
天城と篠巻は、背後を振り返った。
「……オイ、さっさと他の出口を教えろ!! 出られねえんだぞ!!」
利用客たちの怒号が飛び交い、職員の一人が思い切り殴られて、吹っ飛ばされた。
他の職員や、この場に残った僅かばかりのSATと銃器対策部隊の隊員が止めに入るが、利用客の数のほうが圧倒的に多く、収まることのない怒気の中に飲み込まれ揉みくちゃにされてしまう。
激しい怒号の中で、幼い女の子の泣き声が響く。親とはぐれたのか、エントランスホールの隅で一人きりで泣き叫んでいた。
天城はそんな光景を、憐憫の情を含めた瞳で見やりながら、言う。
「もし、搭乗ホールに出動した警官隊が、敵に敗北し全滅していたら………………次は、私たちが処刑される番です」





