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東京バトルフィールド <東京を奪還せよ。異世界の魔法使いの手から>  作者: 相山タツヤ
STAGE:02 THE GATEWAY OF HELL 「地獄のゲートウェイ」 ── 異世界の使者と対峙せよ。
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ようこそ、地獄へ  ──「静かに」


 ドアを静かに押し開いた。


 小野寺はサイリュームの細い光を頼りに、KSGを構える。


 深い暗闇の奥から、異様な生暖かい湿気が流れ込んでくる。


 小野寺は思わず顔をしかめた。



 ……これは、血の臭いだ。



 何も見えない闇の向こうへ、誰か居ないかと呼び掛けようとした……が、思い止まる。

 


 ここで声を出すのは、危険だ。



 そんな予感がした。


 脳がひっきりなしに、警告を鳴らしている。



 後続の三人へ振り返って、『静かに』とジェスチャーを送ってから、開いたドアをゆっくりと跨ぐ。



 踏み込んだ足が、妙なぬかるみに触れた。


 びちゃり、と粘り気のある水音が響く。



 これは何だ。


 水道が壊れたのか。



 足元に、黒い水が溜まっている。


 この緑のサイリュームの光では、その正体がよく分からない。



 それにしても、静かだ。

 乗客はどこへ行ったのだろうか。



 小野寺は、ゆっくりと頭上を見上げる。



 ────!!



 後方に居た綾継が、持っていた複数の赤色サイリュームを点灯させ、部屋の奥に向かってふわりと一斉に放り投げた。


 西生と加座が、短い悲鳴を上げる。


 その赤く照らし上げられた光景を見て、小野寺は絶句する。



 乗客は、そこに居た。


 全員、『天井』に固定された座席に、静かに座っている。


 男性、女性、老人、子供……百人近い乗客たち。


 シートベルトを着けて、静かに座っている。



 ……だが、首がない。



 全員、頭部が無いのだ。


 切断された赤黒い頸の断面から、血が滴り落ちている。


 乗客の血液が一斉に、ぽたぽたと。


 

 小野寺は、水浸しになった足元を見下ろす。


 これは、乗客から流れ落ちた、大量の血。


 血の海。



 背後で、西生が悲痛に嘔吐を始めた。


 信じ難い光景に思考が焼きついた小野寺は、血の海の中で、立ち竦む。



 後ろで綾継が叫んだ。

 しかし小野寺は、聞き逃した。



 急に、目の前の床の血溜まりが、パシッと飛沫を上げた。


 一瞬、強烈な風が迫ってくるのを感じた。


 

 小野寺は反射的に、KSGの引き金を引いた。


 火薬の爆発音。


 銃口から噴き上がる白い発砲炎が、空気を焼きながら、周囲を照らし上げる。


 その先に、女の顔が浮かび上がった。


 白い髪の女。


 赤い唇が、笑っている。


 

 肉を叩き切る音が鳴って、小野寺の視界は闇に覆われた。


 くるくると宙を舞う感覚。


 そしてすぐに、血生臭い海にべしゃりと沈む。



 意識が途切れる寸前。

 小野寺は今ここで、自分が死ぬことを悟った。


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