第一話:地の獄
【※読者の皆様へ、とても大切なお願い】
なんと本日、『超自信作のラブコメの新連載』を始めました!
タイトル:白雪姫は甘えたい~『天才を演じる幼なじみ』を陰から支えるラブコメ~あるいは『劣等生を演じる彼』を必死に追いかける青春物語~
絶対に損はさせませんので、どうかぜひ第1話だけでも読んでみてください!(本日3話分ぐらい一気に投稿します!)
このページの一番下の方にあるタイトルをクリックすると、作品ページに飛べます!
魔術教会の総本部、その最深部にある地の獄『禁者の間』。
エレンはそこでゆっくりと意識を取り戻していく。
「う、うぅん……っ」
明滅する視界、鉛のように重い頭、湿った岩の独特なにおい、背中から伝わる固く冷たい感触。
自分は今、仰向けに寝ているのだと理解した。
「……ここは、どこだ……?」
上体を起こした直後、視界一面に飛び込んできたのは――漆黒。
果ての見えない、昏く陰鬱とした虚無の空間。
(……結界?)
よくよく目を凝らせば、自身を囲うようにして、立方体の封印術式が張られていた。
(いったい何が……?)
不可解極まりない現状に不信感と焦燥感を覚えた彼は、未だボーッとする頭を捻って記憶の川を辿っていく。
(確か……そうだ。大魔聖祭の話があって、みんなで強化合宿に行って、千年樹林で魔獣狩りをして、それから…………駄目だ、まったく思い出せない)
エレンは小さくため息をつき、キョロキョロと周囲を見回す。
(……よくわからないけど、ここはなんだか不気味な感じがする。どこか別の場所へ移動しよう)
両足に力を込めたところで、ようやく自分の状態に気付いた。
「……なんだ、これ?」
妙な布で両手両足を縛られており、頭から箱のようなものをかぶせられている。
聖浄布で四肢を拘束し、禁鍵縛視で両の瞳を封印――魔術教会が『特一級犯罪者』を拘束する際の手法だ。
「……邪魔だな」
エレンが僅かな不快感を滲ませた次の瞬間――禁鍵縛視はバラバラに崩れ、四肢を縛る聖浄布も普通の布切れのように解けてしまった。
(なんだこれ……子どもの悪戯か?)
最上級の封印魔具をいとも容易く破壊し、体の自由を取り戻したエレンが、不思議そうに小首を傾げていると――上層の方から、男の怒鳴り声が聞こえてきた。
「だーかーらー! 何度も言ってんだろうが! 俺はこの件の関係者だっつの!」
「それは承知しております。ですが、禁者の間へ入るには、特別な許可証が必要でして……っ」
「うっせぇ、馬鹿野郎! この胸に燃ゆる『ド根性』が見えねぇのか!? これ以上の許可証はねぇだろうが!」
直後、扉を蹴り破る荒々しい音が響き、「おじゃま!」という大きな声が暗闇に轟いた。
「あぁもう、なんて人だ……」
「やめとけやめとけ。あの馬……あの方は理屈が通じるタイプじゃない。見て見ぬフリしてやり過ごすのが最善なんだよ」
新人と古株の看守が対照的な反応を示す中、ガッガッガッと階段を慌ただしく駆け下りる音が響く。
(……誰か、来る……?)
エレンが警戒しながら、その場で待機していると――見るからに元気溌溂とした男が現れた。
「――よぅエレン、元気そうで何よりだ!」
「……あなたは……?」
「俺は魔術教会所属のA級魔術師、殲滅部隊三番隊隊長、バン・ライトニング! 世界一根性の入った『漢の中の漢』だ! よろしくな!」
バン・ライトニング、22歳。
杏子色のくせっ毛を掻き上げた、アップバングのヘア。身長は175センチ。大きくてキリッとした瞳と豪快な笑顔が特徴的な『漢』。黒い学生服を派手に改造した、独特な衣装を身に纏っている。
「せ、殲滅部隊の隊長が、どうしてここに……? というか、そもそもここはどこなんですか?」
「あ゛ー、こりゃ記憶の混濁……魔眼の副作用か。まぁ難しいことはどうでもいい。『本題』へ入る前に、まずはエレンの置かれている現状をズバッと説明してやるよ」
バンはそう言って、どっかりとその場に座り込んだ。
「で、どこまで覚えてんだ?」
「記憶にある中で一番新しいものは……王立第三魔術学園のみんなで千年樹林へ行き、魔獣狩りをしていたところです」
「なるほどなるほど、戦闘時の記憶が丸っと飛んでるわけか。まっ、そうだろうな」
彼は納得したように頷いた後、要点を掻い摘まんで説明していく。
「エレンは魔獣狩りの最中、仮面の魔人グリオラ・ゲーテスと遭遇。魔眼の力を解放し、これを殲滅した。同時刻、千年樹林で超強力な魔力反応を感知した俺ら三番隊は、すぐさま現場へ急行。王立第三魔術学園の生徒と瀕死の重傷を負ったダール・オーガストを保護し――途轍もない大破壊の中心で、意識を失ったお前を発見した」
「仮面……魔人……グリオラ……ッ」
エレンの脳裏に当時の記憶が蘇っていく。
「いやしかし、あんときゃさすがに驚いたぜ? まさかあの『史上最悪の魔眼』が現存して、しかもそれが安定状態にあるなんてな……。こりゃ相当に根性の入ったデケぇ案件だ」
バンは両腕を大きく広げ、さらに話を続けた。
「ブツがブツだけに、本来なら『即処分』すべきなんだが……。殲滅部隊の英雄ダール・オーガストが、それに待ったを掛けてな。あのおっさんは、紛れもなく『漢』だ。そして当然この俺は、漢の頼みを聞けねぇような根性なしじゃねぇ。頭の固い上層部はぴーこらぴーこら騒いでいたが、そんなもんは全部無視して、エレンをこの地下牢に『保管』した。それが今、この現状だ」
「ダール先生は、クラスのみんなは無事なんですか!?」
「心配無用。三番隊には根性の入った回復魔術師がいるからな。当然、死者はゼロだ」
「よ、よかった……」
エレンがホッと安堵の息をつくと同時、バンはバシンと両手を打ち鳴らした。
「これが過去の話、そんでこっからが未来の話。――お前の生死に関わる大事な話だ。心して聴いてくれや」
彼はドスの利いた声を発し、真剣な瞳を真っ直ぐにぶつけるのだった。
【※読者の皆様へ、本当に大切なお知らせ】
第2章、執筆決定!
そしてなんと本日、『超自信作のラブコメの新連載』を始めました!
タイトル:白雪姫は甘えたい~『天才を演じる幼なじみ』を陰から支えるラブコメ~あるいは『劣等生を演じる彼』を必死に追いかける青春物語~
絶対に損はさせませんので、どうかぜひ第1話だけでも読んでみてください!(本日3話分ぐらい一気に投稿します!)
↓にあるタイトルをクリックすると、作品ページに飛べます!




