表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/29

第一話:地の獄

【※読者の皆様へ、とても大切なお願い】


なんと本日、『超自信作のラブコメの新連載』を始めました!


タイトル:白雪姫は甘えたい~『天才を演じる幼なじみ』を陰から支えるラブコメ~あるいは『劣等生を演じる彼』を必死に追いかける青春物語~


絶対に損はさせませんので、どうかぜひ第1話だけでも読んでみてください!(本日3話分ぐらい一気に投稿します!)


このページの一番下の方にあるタイトルをクリックすると、作品ページに飛べます!


 魔術教会の総本部、その最深部にある()(ごく)禁者(きんじゃ)()』。

 エレンはそこでゆっくりと意識を取り戻していく。


「う、うぅん……っ」


 明滅する視界、(なまり)のように重い頭、湿(しめ)った岩の独特なにおい、背中から伝わる固く冷たい感触。

 自分は今、仰向けに寝ているのだと理解した。


「……ここは、どこだ……?」


 上体を起こした直後、視界一面に飛び込んできたのは――漆黒。

 果ての見えない、(くら)陰鬱(いんうつ)とした虚無の空間。


(……結界?)


 よくよく目を()らせば、自身を囲うようにして、立方体の封印術式が張られていた。


(いったい何が……?)


 不可解極まりない現状に不信感と焦燥感(しょうそうかん)を覚えた彼は、(いま)だボーッとする頭を(ひね)って記憶の川を辿っていく。


(確か……そうだ。大魔聖祭の話があって、みんなで強化合宿に行って、千年樹林で魔獣狩りをして、それから…………駄目だ、まったく思い出せない)


 エレンは小さくため息をつき、キョロキョロと周囲を見回す。


(……よくわからないけど、ここ(・・)はなんだか不気味な感じがする。どこか別の場所へ移動しよう)


 両足に力を込めたところで、ようやく自分の状態(・・・・・)に気付いた。


「……なんだ、これ?」


 妙な布で両手両足を縛られており、頭から箱のようなものをかぶせられている。 


 聖浄布(せいじょうふ)四肢(しし)を拘束し、禁鍵縛視(きんじょうばくし)で両の瞳を封印――魔術教会が『特一級犯罪者』を拘束する際の手法だ。


「……邪魔だな」


 エレンが(わず)かな不快感を(にじ)ませた次の瞬間――禁鍵縛視(きんじょうばくし)はバラバラに崩れ、四肢を縛る聖浄布(せいじょうふ)も普通の布切れのように(ほど)けてしまった。


(なんだこれ……子どもの悪戯(いたずら)か?)


 最上級の封印魔具をいとも容易く破壊し、体の自由を取り戻したエレンが、不思議そうに小首を傾げていると――上層の方から、男の怒鳴り声が聞こえてきた。


「だーかーらー! 何度も言ってんだろうが! 俺はこの件(・・・)の関係者だっつの!」


「それは承知しております。ですが、禁者(きんじゃ)()へ入るには、特別な許可証が必要でして……っ」


「うっせぇ、馬鹿野郎! この胸に燃ゆる『ド根性』が見えねぇのか!? これ以上の許可証はねぇだろうが!」


 直後、扉を蹴り破る荒々しい音が響き、「おじゃま!」という大きな声が暗闇に(とどろ)いた。


「あぁもう、なんて人だ……」


「やめとけやめとけ。あの()……あの方は理屈が通じるタイプじゃない。見て見ぬフリしてやり過ごすのが最善(ベスト)なんだよ」


 新人と古株(ふるかぶ)の看守が対照的な反応を示す中、ガッガッガッと階段を慌ただしく駆け下りる音が響く。


(……誰か、来る……?)


 エレンが警戒しながら、その場で待機していると――見るからに元気溌溂(はつらつ)とした男が現れた。


「――よぅエレン、元気そうで何よりだ!」


「……あなたは……?」


「俺は魔術教会所属のA級魔術師、殲滅部隊三番隊隊長、バン・ライトニング! 世界一根性の入った『(おとこ)の中の漢』だ! よろしくな!」


 バン・ライトニング、22歳。

 杏子(あんず)色のくせっ()を掻き上げた、アップバングのヘア。身長は175センチ。大きくてキリッとした瞳と豪快な笑顔が特徴的な『漢』。黒い学生服を派手に改造した、独特な衣装を身に(まと)っている。


「せ、殲滅部隊の隊長が、どうしてここに……? というか、そもそもここはどこなんですか?」


「あ゛ー、こりゃ記憶の混濁(こんだく)……魔眼の副作用か。まぁ難しいことはどうでもいい。『本題』へ入る前に、まずはエレンの置かれている現状をズバッと説明してやるよ」


 バンはそう言って、どっかりとその場に座り込んだ。


「で、どこまで覚えてんだ?」


「記憶にある中で一番新しいものは……王立第三魔術学園のみんなで千年樹林へ行き、魔獣狩りをしていたところです」


「なるほどなるほど、戦闘時の記憶が丸っと飛んでるわけか。まっ、そうだろうな」


 彼は納得したように頷いた後、要点を()()まんで説明していく。


「エレンは魔獣狩りの最中、仮面の魔人グリオラ・ゲーテスと遭遇。魔眼の力を解放し、これを殲滅した。同時刻、千年樹林で超強力な魔力反応を感知した俺ら三番隊は、すぐさま現場へ急行。王立第三魔術学園の生徒と瀕死の重傷を負ったダール・オーガストを保護し――途轍(とてつ)もない大破壊の中心で、意識を失ったお前を発見した」


「仮面……魔人……グリオラ……ッ」


 エレンの脳裏に当時の記憶が蘇っていく。


「いやしかし、あんときゃさすがに驚いたぜ? まさかあの(・・)『史上最悪の魔眼』が現存して、しかもそれが安定状態にあるなんてな……。こりゃ相当に根性の入ったデケぇ案件だ」


 バンは両腕を大きく広げ、さらに話を続けた。


「ブツがブツだけに、本来なら『即処分』すべきなんだが……。殲滅部隊の英雄(・・)ダール・オーガストが、それに待ったを掛けてな。あのおっさんは、紛れもなく『漢』だ。そして当然この俺は、漢の頼みを聞けねぇような根性なしじゃねぇ。頭の固い上層部はぴーこらぴーこら騒いでいたが、そんなもんは全部無視して、エレンをこの地下牢に『保管』した。それが今、この現状だ」


「ダール先生は、クラスのみんなは無事なんですか!?」


「心配無用。三番隊(うち)には根性の入った回復魔術師がいるからな。当然、死者はゼロだ」


「よ、よかった……」


 エレンがホッと安堵の息をつくと同時、バンはバシンと両手を打ち鳴らした。


「これが過去の話、そんでこっからが未来(さき)の話。――お前の(・・・)生死に(・・・)関わる(・・・)大事な話だ(・・・・・)。心して聴いてくれや」


 彼はドスの()いた声を発し、真剣な瞳を真っ直ぐにぶつけるのだった。

【※読者の皆様へ、本当に大切なお知らせ】

第2章、執筆決定!


そしてなんと本日、『超自信作のラブコメの新連載』を始めました!


タイトル:白雪姫は甘えたい~『天才を演じる幼なじみ』を陰から支えるラブコメ~あるいは『劣等生を演じる彼』を必死に追いかける青春物語~


絶対に損はさせませんので、どうかぜひ第1話だけでも読んでみてください!(本日3話分ぐらい一気に投稿します!)

↓にあるタイトルをクリックすると、作品ページに飛べます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 某鬼の次は廻戦してそうな展開になってきた。 面白いから続けて欲しいな〜
[良い点] 面白いよ。。 [一言] まーた新作書いてるよ
[良い点] 2章楽しみです
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ