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恋って…何?  作者: み〜さん


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39/41

しばらく頭ポンポンともお別れです。

「……何だか、娘を嫁に出す気分を体感したみたい。お父さんがいなくてよかったわぁ…。」


 ホームで電車を待っている間、ベンチに座った母が溜息とともに呟いた。


「それは、まだ先になると思いますが、約束できる自信があります。」


 胸に手を当てて、ニッコリ笑う佐藤くん……佐藤くん?どこの会社のまわし者⁈ CMなんかで見るセリフだよね?それにどこの騎士様ですか?よくできますねっ!見てるコッチが恥ずかしいです!


「あら!」


 母、顔が赤いけど、何で?そこ違うでしょ?


「ーー高く伸びた鼻をへし折ってやる。」


 横で瑠美ちゃんが悪い顔で呟きましたっ‼︎ 怖いです!


 とにかく今のこの空気を何とかしないと!


「佐藤くんも部活?」


「ああ、今日練習試合なんだーー佳奈恵、それ……」


「佳奈恵?」


 瑠美ちゃんが剣呑な声を出して、佐藤くんに詰め寄りました!


「……早々に呼び捨て?お前は何様だっ!」


 瑠美ちゃん!般若全開です!背後で焔が噴き上がってます!佐藤くんも後ずさって、身構えてます!触るな

 危険です!


「瑠美ちゃん!私は気にして無いと言うか、佐藤くんにそう呼ばれることが嫌じゃ無いから!お願いだから威嚇しないでっっ!」


 私は瑠美ちゃんの手を掴んで、ブンブン振ってみた。意味は無いけど、これでいつもの瑠美ちゃんに戻ってくれればっ!


「でも、コイツ図に乗ってるっ!チョームカつく‼︎ 」


「ーーーいやぁ、図に乗ってるって言われても、俺、佳奈恵の彼氏だし。それって、軍曹のやっかみーーー」


「もう!佐藤くんも余計なこと言わ無いでっ!」


 何でこんなに瑠美ちゃん怒ってるの?それに佐藤くんも煽ってるみたいに見えるし!


「二人とも!私、今日でしばらく会え無いんだけれどっ!最後にこんなの酷いよ!」


 すると二人同時にハッとした表情で、私を見て来た。


「ごめん、そうだったわ。この問題は後日改めるは。」


 瑠美ちゃん!まだやる気なんですか?そんなに気に入らないんですか?佐藤くん、ナニやらかしたの!


「佳奈恵、ごめん。」


 佐藤くんが屈んで私と目を合わせると、なぜかウサギの縫いぐるみの頭をポンポンと叩いた。なぜ?


 首を傾げて佐藤くんを見る。今日もイケメンさんですね。


「コレ、一緒に連れて行ってくれるのか?」


「うん。だって、佐藤くんから貰った大事なウサギの縫いぐるみだもん。ホラ見て、ここに貰った初心者マーク貼ったの。」


 すると、佐藤くんが頭をガリガリと搔きながら、


「ーーありがとう。なんか照れ臭いけど。」


 顔を少し赤くして言った。何だか私も照れてしまう。


「ふっ、似た者同士か?」


 瑠美ちゃんの皮肉なんて聞こえません。


 そんなことをしていると、電車が到着すると言うアナウンスが流れ、しばらくすると、電車がホームに滑り込んで来た。




 見慣れた景色を眺めていると、佐藤くんが私の頭に手をのせてポンポンと叩いて来た。


 見上げると、眉毛を下げた佐藤くんが私を見ていた。


「どうしたの?」


「ーー昨日、俺が言ったこと、忘れるな。」


「うん。忘れるわけないでしょ?すっごく嬉しかったんだから。」


 私がそう言うと、佐藤くんの顔が赤くなった!もう!だから私も照れちゃうじゃない!ううう!顔が熱くなってる!


「なんでこんなにーー」


 何かを我慢するように、電車の壁に付いた手を握り込んで、顔を背けた。……?どうした?


 しばらく悶えて?いた佐藤くんが、ジャージのポケットに手を突っ込み、握った拳を私の前に出して来た。


「ナニ?」


 佐藤くんが拳を返して目の前でゆっくりと開ける。?


 大きな手の平にあったのは、華奢な造りのネックレス。


「えっ?」


 私がびっくりした表情で、佐藤くんの顔と手の平のネックレスを何度も見回していると、クスッと笑いを漏らした。


「やっぱりさぁ、初心者マークじゃ様になんないからコレ、渡そうと思って。」


 それは、昨日行ったショッピングモールの中にあった、アクセサリーのお店に売っていたネックレスだった。


 お店の照明で、キラキラとしていたそのネックレスを、ウットリ見ていた私に、佐藤くんは気が付いていたの?


「コレ……買うために、また行ったの?あのお店に?」


 どうしょう。すっごく嬉しい。嬉しくて、佐藤くんの顔が滲んできた。


「うん。本当は迷ったんだ。重い奴って思われるのもやだなぁって。でも後々、軍曹に知られてぐちぐち言われたくないし。で、結局佳奈恵の嬉しい顔が見たくて行ってきた。恥ずかしくって、包装までは頼めなかったけど……手、出して。」


 手を差し出すと、その上にネックレスが載せられた。


 佐藤くんの熱がほんのりこもったネックレス。


「コレ、今度デートする時に付けて来て。今付けたりすると、また軍曹が煩いから。なっ。」


 私はなんて幸せ者なんだろ。


 手の平にのせられたネックレスを見つめて、手を握り締めると、顔を縫いぐるみに押し付けた。


「ーーーあ、ありがぁ…とぉーーー」


 縫いぐるみ越しのありがとうの言葉は、ちゃんと佐藤くんに聞こえただろうか?でも、今佐藤くんの顔を見ちゃうと確実に泣ける自信があるから。


 私の状況を分かってくれたのか、佐藤くんが頭をポンポンと叩いてくれた。





残り1、2話となりました。( 多分…。)

もう少しお付き合い下さいませ。


読んで下さりありがとうございます。

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