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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第98話 迷宮型ダンジョンとは!

 1日半かけてダンジョン前につくと見覚えのある小さい子が見えた。


 まぁ小さい子っても年齢じゃなくて身長の事で、片眼鏡の女性事、鑑定士フーロンその姿である。

 旅人のローブを着ており黒髪はお団子状にして後ろに回していた。



「フーロンちゃん!?」

「遅かったですね。デートでは男性の方が1時間早く来るのが礼儀と思いますけど」



 デートならね。



「デートじゃないし……それよりなんでここに」

「もちろん幼馴染をたす…………遺品の回収ですね。筋肉ババアから聞きましたよ流石私が旦那にしたいと思った男性です! 英雄とは」

「…………ナナの村の事を言ってるなら英雄じゃないからね……今度それいったら衣服破ってその辺の岩に張り付けるから」

「…………本気の目ですね」

「本気だからね」



 馬から降りてフーロンが乗ってきたであろう馬のそばに同じくつなげる。

 英雄が嫌いなわじゃない、英雄と呼ばれる事が嫌いなんだ。

 だから別にクウガとかは近寄りたくはないけど嫌いではないよ、まったくアリシアから逃げちゃってどこにいるんだが……。


 洞窟の入り口はぽっかりと開いていて中は全く見えない。



「この手のダンジョン初めて入るんだけど……書物で見た迷宮型?」

「その通りです。外見や周りを掘ってもダンジョンにたどり着かないのに入ると別空間になっているアレです。いくら周りを警備した所で意味がないし、ダンジョンから魔物が飛び出てくる事もほぼないので放置されがちのタイプですね。私の鑑定結果でもそのように情報が出ています」



 ナナの村のダンジョンとは全く違うタイプのほうだ。あっちは自然型。地面をほったらダンジョンについたりもする。

 こちらはいうなれば、迷宮もしくは別空間ダンジョンって所か。


 ゲームでも周りが砂漠なのに入った瞬間にレンガで出来た通路など整備されてるアレである。



「それよりも一緒に行くの?」

「行きますけど?。そうこれはデートです! 敵が来て私もクロウベルも瀕死。ここはダンジョンの奥、燃え上がる生存本能……さぁ抱きしめあいましょう」

「鑑定のし過ぎで頭が壊れたか……かわいそうに」



 思わず心の声が出るとフーロンは頭を振りだした。



「馬鹿にしてますか? 割と本気なんですけど」

「そもそも戦えるの……」



 そこが心配だ。

 ゲーム本編で仲間になって……あっゲストキャラでレベルめちゃくちゃ高かったな。



「こう見えても戦えます。試してみますか?」



 小さい体でムチをふるう姿は、一部の男性キャラに人気だろう。



「いや、いいや……強そうだし」

「では行きましょう」



 足取りが重いままダンジョンに入る。

 なんで重いかってそりゃ遺品回収って聞かされてウキウキするほうがおかしい。

 入った瞬間に景色が変わる。

 地上は森の中にあった大きな広場だったのに対して、城の城壁のような石壁。

 左右には誘い込むように均等にたいまつが付いている。



「さて……先ずは道なりかな」

「ですね」



 コツコツと2人の足音だけが聞こえる、少し大きなフロア前にでると目の前にハグレオークの群れが見えた。



「眼が赤いですね。おそらくは吸血タイプと思われます。以前もちこまれた牙は錬金術師の材料になるらしく高値で買い取りを行います……もっとも取れませんけど」

「説明どうも」

「いえ」



 ハグレオークは俺達に気づいているが襲ってくる気配がない、それは部屋に入っていないからだろう。

 壁からたいまつを引き抜いて部屋の中に入れるとハグレオークは一斉にたいまつに攻撃して、たいまつを粉砕する。



「なるほどね」

「見た所まだ遺品らしいのは見当たりませんね」

「案外……」

「……なんですか?」



 生きてるかもよ? と言おうとして辞めた。

 現実は非情だろうし、変に期待させても悪い。



「と。いうわけで『水竜』!」



 俺の真横でネッシー型『水竜』が現れる。

 長い首を持ち上げてフーロンへと頬ずりした。



「ひええ! な、なんですかこれは!? 水竜……え、いや……魔法使いだったんですか?」

「いや?」

「違うんです!?」



 少し新鮮な反応で嬉しい。



「魔法も使えるっていったらいいのかな。これもそれも師匠に負けないと日々特訓してやっと覚えて出したのに最初だけは驚いてくれたけど2回目からは『はいはいまた水竜で無双ですよね。はいよかったね』って目で見られて、それはそれで少し興奮するんだけど。じゃなくて――」

「あの、何言っているのか分かりませんけど……クロウベルさんはすごいですよ。これ鑑定しても?」



 俺がOKというまにフーロンの目が青く光る。

 水竜たんは水魔法なので鳴く事はできないがサイレントで鳴いているように口を開ける。



「通常の召喚魔法よりも強いですね。中の魔力濃度は大、簡単な肉であれば溶けそうです。これを唱えられるのはクロウベルさんだけみたい。唱える事によって寿命を削ってますけど大丈夫でしょうか」

「うんうん、やっと……は? 寿命!?」

「ええ……」



 いやいやいやいや。



「水竜たん一度帰って!?」



 水竜の場所が水溜りになり消えていく。

 慌ててフーロンをもう一度見る。



「くやしく!」

「くや……? 詳しく……ですよね? 鑑定の対象物が消えてしまったのでこれ以上は無理ですが、クロウベルさんの場合魔力を通り越して生命力の方を使っているようです。1時間出しっぱなしにすると寿命のほうが2日減ってる感じですかね」



 ええっと過去に俺は何度も出していて簡単に考えても4日分だしたとしたら寿命が……あーもうわかんない! わかんないよ!



「4日分で?」

「そうですね、192日ほどと」

「ま、まだセーフ!」



 これ以上水竜たんに頼るのはよそう。



「とりあえず。俺が先にいくから危なかったら逃げて」



 アンジェの剣を抜いて一気に広間に入る。

 ハグレオークが襲ってくるのを目で確認して、その首を強引に跳ねた。

 残り2体。



「水槍……連!」



 ウォーターシャベリンで残った2体を串刺しに心臓部分を貫く。

 ハグレオークの体液が水槍に滴り床に血だまりを作っていった。

 俺が一息するとハグレオークの体が消え魔石だけが床に落ちた。



「あれ?」

「中々いい魔石ですね」

「フーロンちゃん。魔物ってか死体消えたんだけど?」

「迷宮型ですし消えますよ? 宝箱や魔石以外ダンジョンから持ち出せませんし。常識のはずですが……さきほど牙は取れないって言いましたけど?」



 そうなの!?

 そんな常識初めて聞いたんだけど、だから放置され気味なのか。



「逆に迷宮ダンジョン型で死んだ場合、装備などがダンジョンに飲まれ強化され宝箱として出る場合もあります。人気のダンジョンは人が多くいくぶん宝もすごいとか……まぁ7割の冒険者は死にますけどね」

「そう」



 身もふたもない意見を貰って先に進む。

 なんていうか、本当にゲームだ。


 地下3層までついた。


 吸血スライムの群れが見えた。

 例によって部屋から出てこなく俺達はその先にいかないといけない。



「ではここは私が」

「フーロンちゃん鑑定」

「では鑑定します!『吸血スライムの群れ。弱点は火・光 ヒットポイント200、衣服を溶かす技に気をつけろ』だそうです」

「そこまで出るのか……あっ!」

「どうなされました?」

「いや、何でもない」



 フーロンがはぁ。と声を出している。

 この鑑定で師匠を見て貰いたい。

 すごく気になる……スリーサイズや好きな物と嫌いな物とか出たら面白いし。わんちゃん性感帯とかも知っておきたい。



「男前な顔をしてますね」

「え? ああ、俺。考え事をしてただけで……火や光もまったくないので物理で押し切るよ。右半分は頼んだ。左側は俺も行くよ」

「なるほどです。では」



 俺とフーロンは同時に部屋に入ると、ねちゃねちゃとスライムがよってくる。斬りごたえはないが何度も斬っていると消滅していくし、右側をみるとフーロンが鞭を八方に振り回し円形の技を使ってる。


 うわぁつええ……ってかあれだけ強かったら遺品回収も俺いらなくない? と思わせるほどだ。


 あらかた倒すとスライムは消えて小さい魔石がいくつが地面にへと転がった。



「これだけ小さいと価値はないですね……取りますか?」

「いや放置して次に行こう。エールの手かかりはまだ何もないから先に」

「……そうですね。地下に進みましょう」



 大きな階段を抜けて2層目。また魔物を蹴散らして3層目、やっと4層目を抜けるとたき火が見えた。



「エール!」



 突然叫んだフーロンは走りだす。



「馬鹿ッ! 敵だったら……」

「フーロン!」



 酷くやつれた青髪の女性はフーロンと抱き合った。

 考えすぎか。

 よくある話で《《味方と思ったのが敵だった》》。とか漫画で見た。


 俺がエールと呼ばれた女性に近づこうとすると背後から気配が感じた。

 剣を抜き振り返る、カンッと音が聞こえると無表情の男は俺と距離を取って消えていった。

 ほうクウガの顔そっくりだ!

 他人の空似ってこうもあるんだ……いや本当に空似か? 本人にしかみえなかったぞ。



「は?」

「そこの人。急いでこちらの結界の中にっ!」

「クロウベルさんエールの言う事を聞いて!」

「え、いやだって……」



 止まっていると、早く! とフーロンが怒るのでエールがいる場所に入った。

 近くにいくとわかったが丸い結界内というのがわかる。



「とりあえず挨拶は後にしたい。今襲ってきたのは《《クウガ》》だよね?」

「お知り合いなんですか!? ええっとはい、臨時メンバーのクウガさん《《でした》》……今ではヴァンパイア王の眷属けんぞくに」



 んんんんん

 何だか面倒そうな事になってきたぞ!





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