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660 静かに遊ぶのって何したらいいんだろう?

 私のもう一つの作品、「魔王信者に顕現させられたようです ~面倒なので逃げてスローライフをしようと思ったらNPCが許してくれませんでした~」もよろしくお願いします。


https://book1.adouzi.eu.org/n1737jf/


 テイストは少し転生0と違いますが、基本ほのぼの路線で進みますのでよかったら読んでみてください。


 屋根の穴はふさいだし、ぺこぺこする床も直したでしょ。


 だからみんな、大喜び。


「これからは、雨が降っても遊べるね」


「でもイザベルおねえちゃんが、どんどんしちゃダメっていってたよ」


 でもね、お外と違ってお部屋の中じゃ暴れちゃダメって言われたもんだから、どうしようってお話になったんだ。


「お外だったら追いかけっことができるのにね」


「お水がお屋根から落ちてこなくなっても、雨の日はやっぱりつまんないまんま」


 せっかく雨の日でも遊べるって思ったのにって、みんなちょっぴりしょんぼりしちゃってるだもん。


 それを見た僕は、どうにかなんないかあぁって腕を組みながらこてんって頭を倒したんだ。


「どうちたの? おなかいたい、いたいなの?」


 そしたらさっき僕のまねをしたちっちゃな子が心配してくれたみたい。


 僕のお腹をなでなでしながら、どうしたのって聞いてきたんだ。


「違うよ。みんなが雨の日はつまんないって言ってるから、なんかいい方法ないかなぁって考えてるんだ」


「そっかぁ、おへや、きれいないしとか、ないもんね」


 その子はね、今日みたいに晴れた日はきれいな石を探したりして遊んでるんだって。


 でもお部屋の中だとそういう遊びはできないでしょ。


 だからお家の中でも石が拾えたらいいのになぁなんて言ってるんだよ。


「それなら、ひろったきれいな石を洗って、お部屋に持ってくればいいじゃないか」


「あのね、イザベルおねえちゃが、めっていうの」


 この子も前におんなじことを考えたらしいんだけど、イザベルさんがお部屋が汚れちゃうから持ってきちゃダメって言われたんだって。


 そっかぁ、1個か2個ならいいけど、みんなが持ってきたら困っちゃうもんね。


「それじゃあ、ダメかぁ」


「おへやにも、たのちぃいの、あればいいのに」


 その子はそう言うと、みんなとおんなじようにしょぼんとしちゃったんだよ。


 でも僕は、それを聞いて思いついちゃったんだ。


「そっか、お家の中で遊べるものがあればいいんだ!」


 すごくいい考えだと思ったから、僕はついおっきな声でそう言っちゃったんだよね。


 そしたらそれを聞いた周りの子たちが、なになにって寄ってきたんだよ。


「お家の中で遊べるものって何?」


「なんか面白いもの、持ってるの?」


「わっ、わっ!」


 その勢いがすごかったもんだから、僕、ちょっと慌てちゃったんだよ。


 そしたらそれを見たイザベルさんが、大慌てで飛んできてくれたんだ。


「みんな、何をやってるの。ルディーン君が困っているでしょ」


「そっかぁ」


「ごめんね」


「ううん。ちょっとびっくりしただけだから、大丈夫だよ」


 別に押されたとか、ぶたれたわけじゃないもん。


 だからそう言うと、みんなはほっとしたお顔をしたんだよ。


「それで、なぜこんな騒ぎになったのかな?」


「あのね、この子がお部屋の中で遊べるものがあればいいって言ったの」


「だからみんな、それなにってきいてたんだよ」


 それを聞いたイザベルさんは、僕を見ながらそうなの? って。


 だから僕、そうだよって頷いたんだ。


「みんな、お家の中で遊ぶのは楽しくないって言ってるでしょ。だからおもちゃがあればいいんじゃないかなぁって思ったんだ」


 そう言うと、イザベルさんはちょっと困ったお顔に。


「そうなのよね。でも坊やのうちと違って、この孤児院はその……お金が無いから」


 そしてちっちゃな声でそう言いながら、しょんぼりしちゃった。


 でもね、そんなにしょんぼりしなくってもいいんだよ。


「大丈夫だよ。僕が作るから」


「作るって、おもちゃを? 坊やが?」


 イザベルさんは何を言ってるのってお顔をしてるんだけど、そのお話を聞いてた周りの子たちは大喜び。


「さっき、床をうにょーんってして直してたもん」


「おんなじように、おもちゃもつくるんだよね?」


「うん、そうだよ」


 薪はいっぱいあるって、さっきイザベルさんが言ってたでしょ。


 その薪を使えば、おもちゃだって作れるはずなんだ。


 でもイザベルさんはなんでか、そんなのダメって言うんだよ。


「そんなの、ダメよ」


「えー、なんで作っちゃダメなの?」


「おもちゃって言うと、あれでしょ。木彫りの動物とか人形とか。でもこの子たちが遊べるほど多く作られても、置き場所なんてないもの」


 イザベルさんに言われて初めて知ったんだけど、子供のおもちゃって普通は木で彫った馬とか、陶器でできたお人形さんのことを言うんだって。


 でも僕はそんなものを作る気が全くなかったから、すっごくびっくりしたんだよ。


「僕、そんなの作らないよ」


「えっ、そうなの?」


「うん。みんなで遊べるのを作ろうって思ってるんだ」


 お人形さんだと、一人か二人でしか遊べないもん。


 僕、みんなで遊べるおもちゃを作ろうって思ってるんだ。


「だからふっとい薪、もっともらってもいい?」


「いいけど、何を作るつもりなの?」


 そう言われた僕は、なにがいいかなぁって頭をこてんって倒したんだ。


 そしたらそれがおもしろかったのか、さっきのまねっ子ちゃんが隣に来ておんなじように頭をこてんって倒しながら大笑い。


「あはははっ」


「頭倒すの、おもしろい?」


「うん、たのちぃ」


 その姿が本当に楽しそうだったもんだから、最初のおもちゃはこの子が遊べるものを作ろうと思ったんだ。


「最初は、積み木を作ろっと」


「つみき?」


「ちゅみき?」


 積み木を知らないのか、不思議そうなお顔のイザベルさんとまねっ子ちゃん。


 そのお顔を見ながら、僕はさっき床を直した時に残った薪のところに行ったんだ。


「積み木だけだったら、これ一本でいいかな」


 割る前のふっとい薪を一本取ると、それをクリエイト魔法で小分けにしていく。


「わぁ、ちっちゃくなった」


「これが、つみきなの?


「ちがうよ。ここから積み木を作ってくんだ」


 僕は小分けした薪の山を何個かに分けてさらにちっちゃく、まねっこちゃんでも片手で持てるくらいの大きさまでちっちゃくしてったんだ。


 それが終わると、小分けした山ごとに三角、四角、長方形、円柱の形に変えていく。


 その時、忘れちゃダメなのが表面と角っこの処理。


 表面はつるつるにしてふちと角っこを、ぶつけてもおケガをしないように丸く仕上げたらできあがりだ。


「ほら、これが積み木だよ」


「わぁ、イザベルおねちゃ、いろんなのがいっぱい」


「ええ。でも、これはどうやって遊ぶものなの?」


 三角形の積み木を持ち上げてそう聞いてくるイザベルさん。


 う~ん、見ただけじゃ解んないか。


「あのね、これはこんな風に積んで遊ぶんだよ」


 僕はそう言うと、いろんな形の積み木を組み合わせて簡単なお城を作ったんだ。


「ほら、お城ができたでしょ」


「ほんとだ!」


「なるほど、いろいろなものが作れるように、これだけの種類を作ったのね」


 感心したようなお顔のイザベルさんと、キラキラしたお目めですぐに遊びたいってお顔のまねっこちゃん。


「これでもうできあがりだから、遊んでもいいよ」


「わぁ~い!」


 僕がそう言うと、大喜びで積み木に突撃するまねっこちゃん。


「あっ、私もやる」


「ぼくも!」


 それを合図に、周りにいたちっちゃな子たちも積み木で遊び始めたんだ。


「わぁ。みんなで遊ぶなら、もっと作らないとダメかなぁ」


「そうね。できたら薪をもう一本くらい使って、同じものを作って欲しいかな」


 その勢いがあまりにすごかったもんだから、それを見た僕とイザベルさんはこんなことを言いながら笑ったんだ。

 読んで頂いてありがとうございます。


 イザベルさんは知りませんでしたが、実を言うとこの世界にも積み木はあります。


 それはそうですよね、木彫りの馬や陶器製のビスクドールよりもかなり簡単に作れますから。


 ただ、それを持っているのは貴族階級かお金持ちしかいません。


 ルディーン君はクリエイト魔法を使ったので簡単にできましたが、手作業でこれを作ろうと思ったら切り出しからやすり掛けまでかなりの手間と時間がかかりますからね。


挿絵(By みてみん)


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― 新着の感想 ―
貴族や金持ちしか持っていない玩具を作ったら、本当に貴族と誤解されるでしょう。 ルディーン自体は一言も「自分は貴族」なんて言っていないのに、相手が誤解したことで『貴族詐称罪』にされなければいいですね。 …
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