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628 ルルモアさんも知らなかったんだね

 ルルモアさんが小麦粉屋さんを知ってるって言ってたでしょ。


 だから僕、すぐにお米を食べられるって思ってたんだ。


 でもね。


「流石に、すぐは無理かな」


 ルルモアさんがこんなこと言うんだよ。


 だから僕、なんでなのさって聞いたんだ。


「え~、なんで? 道具は貸してもらえるんでしょ?」


「ええ。イーノックカウの畑で採れる麦はもう少したたないと収穫できないから、今はあいていると思うわよ」


 道具はあいてるのに、すぐお米にできないの?


 そう思った僕は、よく解んないってお顔で頭をこてんって倒したんだよ。


 そしたらルルモアさんが、なんですぐお米にできないのかを教えてくれたんだ。


「さっきルディーン君も言ってたじゃない。乾かしてからじゃないと、脱穀はできないのよ」


「あっ、そっか」


 お米って稲から取る前に、おひさまに当てて乾かさなきゃダメなんだった。


「畑で採れる小麦でも、乾かすのに数日かかるもの。これは池の中に生えているんでしょ。それなら小麦以上に水分を含んでいるでしょうから、乾かすのにそれよりかかるんじゃないかしら?」


 ルルモアさんのいう通り、エリィライスは池の中に生えてたからお水をいっぱい吸って見た目より重たいんだよね。


 だからこれを僕の知ってくるくらいまでお日様で乾かそうと思ったら、すっごく時間がかかっちゃうと思う。


 でもね、僕はいいやり方を知ってるんだ。


「大丈夫だよ。だって魔法で乾かせばいいんだもん」


「魔法で? そんなことできるの?」


 これを聞いたルルモアさんは、すっごくびっくりしたお顔になってるんだけど……。


「ルルモアさん、切ったばっかりの木を薪にする魔法、知ってる?」


「ええ、、ドライでしょ。知ってるわよ」


「そっか、やっぱりルルモアさんも知らなかったんだね」


 僕のお返事を聞いて、不思議そうなお顔をするルルモアさん。


「私もって、一体何の話をしているのかな?」


「あのね、どのドライって魔法は薪にする魔法じゃなくって濡れてるものを乾かす魔法なんだよ。前にロルフさんにそのことを教えてあげたら、ルルモアさんとおんなじでびっくりしてたんだ」


 この世界の人たちって、ドライのことを薪を作る魔法だって勘違いしてるんだって。


 ロルフさんに教えてあげたからもう知ってる人もいると思うんだけど、ルルモアさんは魔法が使えないもん。


 だから知らなくっても仕方が無いよね。


「なるほど、その魔法で乾かそうっていうのね」


「うん。それならすぐに食べられるようにできるでしょ」


 他のみんながお米を食べる時はおひさまに干せばいいと思うけど、僕はすぐに食べたいもん。


 だから今日採ってきた分は、みんな魔法で乾かしちゃおうって思ってるんだ。



「わしは流石にここを離れられんぞ」


 魔法でエリィライスを乾かすのは小麦粉屋さんでやろうってことになって、みんなでお出かけしようと思ったんだよ。


 でもギルドマスターのお爺さんは、お仕事があるから一緒に行けないよって。


「それにだ、そもそもこの話は冒険者ギルドの管轄ではない」


「確かにそうですね」


「この話を持ってきたのがルディーン君と言うのも何かの縁であろう。フランセン老のところに人をやって、誰か担当になるものを寄こすようにと伝えるのがよかろう」


 新しい食べ物が見つかったっていうのは、どっちかっていうとお貴族様やお金持ちのお話なんだって。


 だからロルフさんに、誰かそのお話をできる人を連れて来てって言いに行くんだってさ。


「それじゃあ行きましょうか」


 ロルフさんのところへは冒険者ギルドの職員さんに行ってもらうことにして、僕たちは小麦粉屋さんに向かって出発!


 そしたらルルモアさんが僕んちの方に歩き出したもんだからびっくりしたんだ。


「あれ? 僕んちの方へ行くの?」


「目的地は商業地区の端にあるからね」


 小麦を脱穀したり、粉にしようと思ったらどうしてもほこりが出ちゃうでしょ。


 だからお店屋さんの近くじゃできないってことで、目的の小麦粉屋さんは僕んちがある商業地区の端っこにあるんだって。


 それを聞いたお父さんたちが、僕に言ってきたんだよ。


「なぁ、ルディーン。そこまで歩くならこの草の束、お前の魔法で運んでくれないか」


「地味に重い上に、かさばって歩きにくいのよね」


 僕やキャリーナ姉ちゃんはちょっとだけしか抱えてないんだけど、お父さんたちはなるべくいっぱいあった方がいいだろうって持てるだけ採って来ちゃったんだよね。


 だから遠くまで歩くんだったら、魔法で運んで欲しいなぁって言うんだ。


「うん、いいよ。お母さん、のっける絨毯出して」


「ああ、そういえばこれがあったわね」


 ホントだったら僕とキャリーナ姉ちゃんが乗っかるはずだった、引っ張るひも付きの絨毯。


 それにひもで縛ったエリィライスの束をのっけると、僕はフロートボードの魔法をかけて浮かびあがらせたんだ。


「おお、やっと楽になった」


「これなら初めから、こうやって運べばよかったわね」


 お父さんたちは思った以上に大変だったみたい。


 二人で楽になったねって言いながらニコニコしてるんだもん。


 だからなのかなぁ?


「大変なら、もっと早く言えばよかったのに」


 それを見たキャリーナ姉ちゃんは、ちょっとあきれたお顔でお父さんたちにそう言ったんだ。

 読んで頂いてありがとうございます。


 えっと、今回はいつもよりも短めです。


 キリがいいというのもありますが、これは私がちょっとしたミスをしたためだったりします。


 と言うのも日曜日の昼過ぎ、ちょっと眠いなぁと感じたので1時間ほど仮眠をとる事にしたんですよ。


 いつも書き上げるのには3時間ほどかかるので、その程度の仮眠なら問題はないだろうと考えたんで。


 ところが、目が覚めたらもう6時近く。プロットはできあがっているものの、この時点でまだ1文字もかけていません。


 大慌てで書きはしたのですが、プロットの最後まで書こうと思うとこの倍はあるのでキリがいい所でしめることにしました。


 ただ、一つ問題が。実を言うと今週は久しぶりの泊り出張のため、金曜日更新分を書く時間が取れないんですよ。


 なのでいつもよりも短いうえに、申し訳ないのですが次回更新は来週の月曜日になります。


 最後に。


 活動報告への投稿で教えてもらったのですが、2巻の予約がもう始まっているようです。


 発売日は6月14日ごろ、表紙はまだラフを見せてもらっただけの段階でしかないのでお見せすることができないのですが、われらがヒロイン、スティナちゃんが載っています。


 高瀬コウ先生の手によってかなりかわいいイラストに仕上がっているので、お楽しみに。


 挿絵(By みてみん)

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