570 熟成の違いが知りたいんだって
「どっか行くの?」
アマンダさんに、いっしょに来てくれないかな? って聞かれたでしょ。
だから僕、どこに行くの? って聞いたんだよ。
そしたらね、そのお返事が返ってくる前にディック兄ちゃんが行っちゃダメだよって言い出したんだ。
「ルディーン。今日は一日、お母さんたちに付き合うっていう話だっただろ」
「そう言えばそっか」
今日はみんなで、ニコラさんたちにいろんなお店を教えてもらう事になってるでしょ?
だからディック兄ちゃんの言う通り、僕だけが他のとこに行くなんてダメだよね。
そう思った僕は、アマンダさんに今日はダメって言おうとしたんだよ?
でもね、
「あら、ルディーンだけが行くのなら問題ないわよ」
お母さんがほっぺたに手を当てながら、僕だけならいいよって。
そしたらさ、それを聞いたディック兄ちゃんが、僕がいなくなったら困った事になるんじゃないかなぁって言うんだよ。
「でも、アマリアさんたちはルディーンが雇い主みたいなものだからお店を紹介してくれるんじゃないのか? ならそのルディーンがいなくなったら、今日の予定が変わってしまうじゃないか」
「えっ、そうなの?」
そう言いながら、頭をこてんって倒してニコラさんを見るお母さん。
「ルディーンがいなくなっても、問題ないわよね?」
「はい。お店を紹介するのは、レーアちゃんやキャリーナちゃんとの約束ですから」
でね、僕がいなくなってもいいよねって聞いたら、ニコラさんはいいよって言ってくれたんだ。
「クスクス。ほら、ルディーンが居なくても大丈夫みたいよ」
「いや。それなら俺も文句は無いんだけど……」
ディック兄ちゃん、いつもはあんまり行かないお店ばっかりだからつまんないんじゃないかなぁって思ってたんだけど、実はすっごく楽しかったみたい。
だから僕がいなくなってもニコラさんたちが帰らないって聞いて、すっごくほっとしたお顔になったんだ。
「それでは、ルディーン君をお借りしますね」
ディック兄ちゃんが許してくれたもんだから、僕はアマンダさんと一緒にお出かけする事になったんだよ。
でもね、そんな僕にキャリーナ姉ちゃんがずるいって言い出したんだ。
「ルディーンだけアマンダさんとこのお菓子を食べに行くなんて、そんなのずるい!」
「えっ? アマンダさん、僕、お菓子を食べに行くの?」
僕ね、アマンダさんとはアマショウの実のお話をしてたから、てっきりその事でお出かけすると思ってたんだよ。
でもキャリーナ姉ちゃんがお菓子屋さんに行くって言ったもんだから、僕、すっごくびっくりしてアマンダさんに聞いてみたんだ。
そしたらさ、笑いながら違うよって。
「いえ、熟成スキルについて調べたい事があるから、知り合いのお店に行こうと思っているのよ」
「アマンダさんとこじゃない、違うお菓子屋さんに行くの?」
そしたらさ、それを聞いたキャリーナ姉ちゃんが違うお菓子屋さんに行くの? って聞いたもんだから、今度はお姉ちゃんに向かってアマンダさんがどこに行くのかを教えてくれたんだ。
「私たちが行くのはね、お菓子屋さんじゃなくって切り株薬局っていう所なのよ」
「薬屋さん? お菓子屋さんじゃなくて?」
「ええ、そうよ。そこの店主さんが食べ物や薬草なんかを調べる事ができる人だから、そこに行って私とルディーン君のかけた熟成がどう違ってるのか聞こうと思ってるの」
その薬屋さんの店主さんはね、食べ物なんかを調べるのが得意なんだって。
だからアマンダさんは調べないとダメな事が出てくると、いっつもその人に相談しに行ってるそうなんだよ。
「私はあくまで料理人でしかないから、食材なんかの詳しい状態を調べる方法が無いからね。そういう知り合いがいると、とても助かるのよ」
「そっか。じゃあ、お菓子を食べに行くんじゃないんだね」
それを聞いたキャリーナ姉ちゃんは、やっと僕だけがお菓子を食べに行くわけじゃないって解ってくれたみたい。
だからね、それだったら行っていいよって言ってくれたんだ。
「キャリーナちゃんたちも、お店周りが終わったらうちの店に来て。その頃にはこっちの用事も終わっているだろうし、ルディーン君を借りたお礼にお菓子をごちそうするから」
「後でお菓子を食べられるの? やったぁ!」
それにね、後でアマンダさんのお店でお菓子を食べられるって聞いて、キャリーナ姉ちゃんは大喜び。
すっごくニコニコしたお顔で、僕たちに行ってらっしゃいしてくれたんだ。
読んで頂いてありがとうございます。
すみません、今週は書く時間があまりとれなかったのでちょと短めです。
おまけに、必死なディック兄ちゃんとキャリーナ姉ちゃん(理由は違いますが)のお話だけと言う(汗
内容が無くてすみません。




