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548 お尻のとこがふわふわの椅子はいいよね

 久しぶりにレビューを頂き、さっそく読ませて頂きました。

 感想もそうですが、このようなものがもらえるととてもうれしいです。

 また、毎回頂ける誤字脱字報告、とても助かっています。

 皆様、本当にありがとうございます。とても励みになります。


 ストールさんに案内されて馬車が僕んちの前まで行くとね、執事の格好をした人が寄ってきてお父さんに御者を代わりますって言ってくれたんだよ。


「カールフェルト様。馬車はうちの者が責任をもって管理いたしますので、皆さまはこちらへ。あっ、荷物はメイドがお部屋に運びますのでそのままでよろしいですわ」


 でね、僕とお父さんたちは、ストールさんに案内されて僕んちの中に入ってったんだ。


「わぁ! ルディーン、とっても広いお部屋だね」


「うん、そうだね。でも、あれ? こないだ来た時と、またちょっと違ってる?」


 そしたらそこは赤い絨毯の敷いてあるおっきなお部屋だったんだけど、そこを見た時に僕、何か前と違ってるなぁって思ったんだ。


 だからストールさんになんか変わった? って聞いてみたんだけど、そしたらこんなお返事が返ってきたんだよ。


「はい。先日は少々殺風景だからと仮の家具を入れておりましたが、現在は旦那様の館に置いてあるのと同クラスの応接セットに変更いたしました」


「あっ、ほんとだ! 両側に置いてある椅子やテーブルが違うのになってる」


 前に僕がこのお部屋に入った時はね、お部屋の両側におっきな飾りが彫ってあるテーブルが置いてあって、そこの座るとこにクッションがついてる椅子が4つずつついてたんだ。


 でも今置いてあるテーブルは横っ側にきれいな飾りが彫ってあるのは前とおんなじなんだけど、上の板が前とちょっと違ってて、表面がつるつるに仕上げてあって、その上からピカピカ光るものが塗ってあるんだよ。


 それにね、椅子も背もたれの裏っ側に彫刻がしてあったり、お尻のとこだけじゃなくって背中が当たるとこにもおんなじようなクッションが付いてたんだ。


「因みに、この椅子に使われているクッションも前回置かれていたものと同じくブルーフロッグの背中の皮が使われておりますが、研究が進んだことにより前回のものよりも座り心地が格段に良くなっております」


 ストールさんが椅子の説明をしてくれたらね、それを聞いたキャリーナ姉ちゃんはすぐに椅子のとこに走ってってぴょんって座ったんだよ。


 そしたらお姉ちゃんはびっくりしたお顔になって、お母さんにこの椅子すごいよって。


「お母さん! この椅子、座るとこと背中のとこがふわふわしてるよ! 座ってみて!」


「あら、ほんと。これはいいわね」


 キャリーナ姉ちゃんに言われてお母さんもその椅子に座ってみたんだけど、そしたら思ったより柔らかかったみたいで、ちょっとびっくりしたみたい。


 一度立ち上がってから、手で背中が当たるとこや座るとこを押したりし始めたんだよ。


「いい感触。できたらうちの椅子も、これに替えたいわね」


「うん! 絶対その方がいいよ!」


 お母さんやキャリーナ姉ちゃんは、この椅子だけで大満足してるみたい。


 それをストールさんはニコニコしながら見てたんだけど、


「この奥にルディーン様のご家族を迎える場を整えてありますので、そろそろそちらに移動いたしませんか?」


 それからちょっとしたら、お母さんたちに奥のお部屋に行こうよって言ったんだ。


「ああ、すみません。年甲斐もなくはしゃいでしまって。キャリーナ、行くわよ」


「はーい」


 そしたらね、お母さんはちょっぴりほっぺたを赤くして、キャリーナ姉ちゃんと一緒に僕たちのとこに戻ってきたんだ。


「それでは、奥へと参りましょう」


 って事で僕たちはストールさんの案内で、2階に上がる二つの階段の間にあるドアを通って僕んちの奥の方に進んでったんだよ。


 そしたらさ、ストールさんは入ってすぐのとこにあるおっきな扉の前で立ち止まると、こっちの方を向いて、


「こちらでございます」


 って言いながら、その扉を開けてくれたんだよね。


 だから僕たちはみんなでそのお部屋に入ったんだけど、そしたらその中を見たとたんキャリーナ姉ちゃんが急にすっごくおっきな声を出したんだ。


「わぁ! 何このお部屋、物語に出てくるお城にあるお部屋みたい」


「本当にそうね。まるで貴族様が住んでいるお屋敷の部屋みたいに豪華だわ」


 キャリーナ姉ちゃんやお母さんの言う通り、ストールさんに連れて来てもらったお部屋はすっごいとこだったんだよ。


 でもね、ストールさんの次の言葉でお母さんはもっとびっくりする事になるんだ。


「はい。こちらは貴族が使う事を想定して整えられた応接室ですから」


「はっ?」


 お母さんもここは貴族様のお部屋みたいだねってさっき言ってたけど、本当にそうだなんて思ってるはずないでしょ?


 だからストールさんに、ここは本当に貴族様が来た時のために作られたお部屋なんですよって言われて固まっちゃったんだ。


 それにね、それを聞いてびっくりしたのはお父さんも一緒だったみたいで、ストールさんにそれはどういうことなの? って慌てて聞いたんだよ。


「貴族用の応接室って、そんなものがなぜルディーンの買った家にあるんですか!?」


「ああ、それはこの館が元々、準男爵の別宅として建てられたものだからですわ」


 そしたらさ、ここは元々貴族様が住むために作ったお家なんだよって教えてもらったもんだから、今度はお父さんまで固まっちゃったんだ。



「わたくし、購入資金をルディーン様のギルド預金から引き出す許可をもらえるよう冒険者ギルドが手紙を出したと聞いておりましたので、その金額からある程度の屋敷を構えたと理解していただけているものと思っていたのですが」


 ストールさんはね、僕が買ったお家の値段を言ってあるから、お父さんたちがこんなにびっくりするなんて思ってなかったんだって。


 だから何でそんなにびっくりしてるの? って聞いたんだけど、


「いや。ルディーンから、今のイーノックカウは土地の値段がかなり上がっていると聞いていたもので」


 お父さんは僕からお家の値段が高くなってるって聞いてたから、こんな凄いお家だなんて思わなかったんだよってストールさんにお話したんだ。


 そしたらね、それを聞いたストールさんは、頭を少しだけこてんって倒して僕の方を見たんだよ。


 だからね、僕、その時の事を教えてあげる事にしたんだ。


「あのね、こないだみんなでお話した時に、ここの領主様がいろんなとこのおいしいお店にお願いして引っ越して来てもらったから、今はお墓の近くとかしか安いとこが無いって言ってたでしょ? だから僕、その事をお父さんとお母さんに教えてあげたんだ」


「それに村の司祭様にも訊ねたのですが、すると治安の悪い所を買う訳にもいかないし、それ以外の場所となると時間をかけるならともかく、急いで手に入れようと思ったら足元を見られるだろうからこれより高くなるだろうとロルフさんが言っていたと教えて頂きまして」


 それにお母さんがお爺さん司祭様から聞いた事を教えてあげたもんだから、ストールさんもああそうなのかって納得してくれたみたい。


「なるほど。それでしたら驚かれるのも無理はありませんね。ですがこの屋敷の本来の売買価格から、貴族かそれに準ずるものが手放した館だとお気づきにならなかったのですか?」


 ストールさんはね、それでもこのお家のほんとの値段を知ってたらこれぐらい凄いお家なんだろうって解るんじゃないかなって、また小さく頭をこてんって倒したんだ。


 でもそれを聞いたお父さんたちは、不思議そうなお顔で何の事? って聞き返したんだよ。


「本来の売買価格?」


「私たちも錬金術ギルドのギルドマスターから安く譲ってもらったと聞いてはいるのですが、それが本来どれくらいするものなのかまでは聞いてないんですよ」


 お父さんたちはバーリマンさんが安くしてくれた事とか、どれくらいのお金を使うのかは聞いてたそうなんだよ?


 でもね、それがほんとはどれくらいするもんなのかまでは、お爺さん司祭様から聞いてないんだよってストールさんに教えてあげたんだ。


 そしたらさ、それを聞いたストールさんは、それなら仕方ないねって。


「なるほど。そうでしたか」


「それで、この屋敷は本来、どれくらい出さないと買えないものなんでしょう?」


「ああ。値段を聞けば貴族の屋敷だったと解るはずだというくらいだから、前に聞いたイーノックカウの内壁の中に建っている家が買えるという1500万近くするって事だよな?」


 お父さんたちはね、安くしてもらって聞いたからほんとは1300万くらいするお家を買ったのかなぁって思ってたんだって。


 だけど、ストールさんが貴族様のお家ってすぐに解るって言うくらいだから、もしかして貴族様が住んでるとこにあるお家とおんなじくらいするの? って聞いたんだよね。


 そしたらさ、それを聞いたストールさんはちょっと困ったようなお顔しながら、ほんとに話しちゃってもいいの? って。


「お伝えしてもよろしいのですが、聞けば驚く事になるかもしれませんよ?」


「いや、間違いなく驚くだろうけど」


「教えてもらわないと私たちは今夜、多分気になって眠れないと思いますわ」


 そしたらお父さんたちがどうしても聞きたいって言ったもんだから、ストールさんは解りましたって言ってこのお家のほんとのお値段を教えてくれたんだ。


「バーリマン様が仰るには、本来この館を誰かに譲るのならば最低でも2000万セントはもらわないといけないはずだと仰られておりました」


「にっ!?」


「2000万!?」


 お父さんたちはね、きっとすっごい金額を言われるんだろうなぁって考えてたんだと思うよ。


 でもね、ストールさんが教えてくれ金額が考えてたお値段よりもず~っと高かったもんだから、お父さんとお母さんはびっくりしたお顔で固まって、椅子に座ったまんま後ろにこてんって倒れちゃったんだ。



 読んで頂いてありがとうございます。


 普通、家電量販店で値引きしてもらったとしても、端数を切り捨てにしてくれるくらいが限界ですよね。


 この世界の値引きも同じようなものなのですが、ハンスお父さんたちは1200万と聞いて、相手はお金持ちだから奮発して100万セントくらい値引きしてくれたのかも? なんて思ってたんですよ。


 ですがストールさんから値段を聞いただけで貴族の屋敷と解ると言われたもので、もしかして300万くらい引いてくれたのかも? って身構えていたんですよね。


 ところが出てきて数字は、全く想像もしていなかった2000万セント、この物語は1セント=10円くらいという設定ですから元値は約2億円で驚愕の8000万円引きです。


 そりゃあ、お父さんたちもひっくり返りますよねw


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― 新着の感想 ―
[一言] 家の値段が2000万と聞いて驚いてますけど、家を買ったって聞いた回でお父さんは2000万くらいと予想してた描写がありましたよー
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