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531 お醤油を搾ろう


 道具のお掃除が終わったから、早速お醤油を搾る事に。


「この筒のようなものが出ている所の下に、しょうゆを入れるかめを置けばいいのね?」


「うん」


 搾ったお醤油がこぼれちゃわないように、お母さんが置いたかめの位置を確認。


 大丈夫だって解ったから、今度は搾る入れもんの中にさっき洗った麻の袋を入れてもらったんだ。


「ルディーン。この中にもろみってのを入れたら、下からおしょうゆってのがでてくるの?」


「そうだよ、キャリーナ姉ちゃん」


 でね、早速お母さんに入れた麻袋の中に熟成が終わったもろみをどばぁって入れてもらったんだよ。


 そしたら麻袋で濾されたお醤油が、ちょろちょろって下から出て来たんだ。


「わぁ、ほんとに黒いのが出て来た!」


 それを見たキャリーナ姉ちゃんは、ほんとに出て来たよって大喜び。


 でもね、これで終わりじゃないんだよ。


「えっと、後は麻袋の上を縛って、その上から重しを乗せればいいのね?」


「うん。そしたらその重さでお醤油が搾れるんだ」


 お母さんの言う通り、上に重しを乗っけないともろみの中にあるお醤油が全部搾れないんだよね。


 だからもろみを入れた麻の袋の口を縛ってもらってからその上に木でできたお鍋の蓋をのっけてもらって、さらにその上から更にクリエイト魔法で作ってからウォッシュで洗った何個かのおっきな石をお母さんに置いてってもらったんだ。 


「ねえ、ルディーン。これ、どれくらいで全部出てくるの?」


 そしたらさっきよりもいっぱいお醤油が出てくるようにはなったんだけど、それでも出てくるのがあんまり多くなかったもんだから、それを見たキャリーナ姉ちゃんがどれくらいで全部搾れるの? って聞いてきたんだ。


「う~ん、解んない」


「えぇ~。じゃあさ、じゃあさ、このおしょうゆってので作ったお料理、いつになったら食べられるの!?」


 でもさ、そんなの解んないでしょ?


 だから僕、解んないよって教えてあげたんだけど、そしたらキャリーナ姉ちゃんがいつになったら食べられるの? って怒っちゃったんだよね。


「大丈夫だよ、キャリーナ姉ちゃん。全部搾れるのはいつになるか解んないけど、もうちょっとしたらおっきめのおさじでも掬えるくらい溜まるもん。そしたらそれでなんか作ろ」


「もうすぐ食べられるの? やったぁ!」


 だけどね、全部搾るまで待たなくって、かめの中からちょびっとだけ掬っただけでもお醤油のお料理は作れるでしょ?


 だから僕、もうちょっと溜まったらそこからちょびっとだけ出して、お醤油を使ったお料理を作る事にしたんだ。



 搾ったお醤油ってほんとは何日かかめの中に入れといて、下に沈んだちっちゃなカスとか上に浮いてる油とかをとってから火にかけるんだって。


 でも今はちょびっとだけ使うだけでしょ?


 だからちょっとくらいそんなのが入っててもいいからって、かめからすくったお醤油をそのまんま使う事にしたんだ。


「ルディーン、何作るの? おかし?」


「ううん。お菓子はね、すっごく時間がかかるから、今日はすぐできるお料理を作ろっかなぁって思ってるんだ」


 僕もね、最初はお芋の餅で作ったみたらしっぽいお菓子を作ろうって思ってたんだよ?


 でも、お芋の餅って作るのに結構時間がかかっちゃうんだよね。


 だからそれはちゃんとお醤油が完成からのお楽しみにするって事で、今日は簡単で、それなのに美味しいお料理を作る事にしたんだ。


「お母さん。ブラックボアのお肉、ある?」


「ええ、あるわよ」


「じゃあさ、葉っぱのお野菜は? 生でも食べられるやつ」


「生で食べる葉野菜? ええ、あるけど」


 お母さんに聞いたらね、僕が作ろうって思ってるお料理の材料はそろってるみたいなんだよ。


 でももう一個だけ、多分あると思うけど無いと困っちゃうもんの事も聞いてみたんだ。


「じゃあさ、じゃあさ、朝食べた柔らかいパンは?」


「ええ、残ってるけど……何に使うの?」


「だから、醤油を使うお料理を作るって言ってるでしょ!」


 もぉ~! お母さん、なんで解んないかなぁ。


 僕はちょっとだけぷんぷんしながら、でも全部の材料があったからさっそくお料理を作る準備を始めたんだ。


「お母さん。ブラックボアのお肉、出して」


「ええ、いいわよ」


 僕はお母さんからブラックボアのお肉を受け取るとね、それをちょっとだけ厚めの薄切りにしてったんだよ。


 だからお母さんたちは、このブラックボアの薄切りを使ったお料理を作るって思ったみたい。


 でもね、


「ルディーン! 何をするの!?」


「食べ物で遊んじゃダメなんだよ!」


 そのお肉をさらに細かく切って、その上2本のナイフで叩き始めちゃったもんだから、お母さんとキャリーナ姉ちゃんはすっごくびっくりしたお顔になって僕を止めようとしたんだ。


「僕、遊んでるんじゃないよ。こういうお料理だもん」


「料理? せっかくの肉をそんな風にぐちゃぐちゃにするのが料理なの?」


「うん。今から作るのはね、こんな風にしないとダメなお料理なんだ」


 でも僕がこういうお料理なんだよって教えてあげるとね、変なお顔をしてるんだけど一応納得してくれたみたい。


 だから僕は残ったお肉もぐちゃぐちゃに叩いてからそれにお塩とちょびっとの小麦粉を入れて、それをうんしょうんしょってこねはじめたんだ。


「ルディーン、ほんとにお料理なの? 遊んでるんじゃなくて?」


「うんそうだよ、キャリーナ姉ちゃん。これはね、ぐちゃぐちゃにしないとダメなお料理なんだよ」


 僕はそう言うとね、粘りが出てきたお肉をおててで掬って丸めてから、まな板の上に置いて上からびたんって叩いたんだ。


「ルディーン、やっぱり遊んでる!」


「だから違うってば」


 ホントはね、これって両手の間てパンパンってぶつけあわないとダメなんだよね。


 でも僕、まだおててがちっさいからそんなのできないでしょ?


 だから今はこうして、丸めたお肉を上からびたんって叩いて中の空気を出すようにしたんだ。


 でね、それを3枚作った僕は、お母さんにびたんって叩いて平ペッたくなったお肉を指さして、


「これ、焼いて。その間に、お醤油の準備するから」


 お母さんに、そのお肉を焼いてって頼んだんだ。



 お母さんがかまどの火を起こしてお肉を焼く準備をしてる間に、僕はお醤油で作るたれの準備。


 って言っても、お醤油の中にお砂糖とちょびっとのお水をを入れて溶かすだけなんだけどね。


「ほんとはお水じゃなくってお酒を入れた方がおいしいんだろうけど、今日は作ってみるだけだからなぁ」


 僕はそんな事を言いながら、お醤油をかき混ぜてお砂糖を溶かしてったんだ。


 そしたらかまどの火が起こったみたいで、お肉の焼けるジュウって言う音が聞こえてきたんだよ。


「お母さん。そのお肉をひっくり返して、反対側も焼けたら、これを入れて」


「これって、おしょうゆ?」


「うん。お醤油にお砂糖を混ぜたやつ。あっ、お水をちょびっと入れたけど、それでもすぐに焦げちゃうから気を付けてね」


 だから僕、お母さんにお砂糖を溶かしたお醤油を焼けたら入れてねって渡したんだ。


 そしたらそれを受け取ったお母さんは3枚のお肉が焼けたのを確認すると、そのたれをフライパンの中へ。


「わぁ、すっごくいいにおい」


「すっごく美味しいそうなにおいだね、キャリーナ姉ちゃん」


 その瞬間、すっごくいいにおいがしたもんだから、僕とキャリーナ姉ちゃんは二人してにっこり。


 でね、そのたれがお肉に十分絡まったところで、お母さんはフライパンを火からおろしたんだ。


「ルディーン。さっきパンが残ってるかどうか聞いたって事は、これをパンにはさむのね?」


「うん。その時、生で食べる葉っぱのお野菜も一緒に挟んでね」


 僕がそう言うとお母さんは柔らかいパンを持って来て、その横っ側からナイフを入れて半分に切ったんだよ。


 でね、そのパンに焼けたお肉と葉っぱのお野菜を挟んでくれたんだ。


「なんかよくわんないけど、おいしそう。ルディーン食べていい?」


「うん。いいよ!」


 キャリーナ姉ちゃんはそう言うとね、早速お肉を挟んだパンをパクリ。


「わぁ、ルディーン。これ、すっごく美味しいよ」


 そしたらとってもおいしかったみたいで、キャリーナ姉ちゃんはそのままパクパクと食べ始めたんだ。


「お母さん。僕のも早く、早く!」


「ええ、すぐに作るわね」


 それを見た僕は我慢できなくなって、お母さんに早く僕のも作ってって。


 そしたらすぐに作ってくれてもんだから、僕もすぐにかぶりついたんだ。


「うん、すっごく美味しい!」


「あら、ほんとに美味しいわね。このたれ、しょっぱいのにお砂糖を入れたから少し甘くって。それにとてもいい香り」


 切ったパンにはさむだけだから、僕がかぶりついてる間にお母さんは自分の分も作ったみたい。


「それに、ルディーンがなぜ肉をあれほど細かくしたのが解ったわ。この柔らかいパンにはさむなら、薄切り肉よりもこっちの方がいいもの」


 お母さんは食べながら、このお料理が何でこんなに美味しいのかを考えてるみたいなんだよね。


「そうなの、ルディーン?」


「うん。薄切りのお肉だと、食べた時にうまく噛みきれないとベロンって出ちゃうでしょ? でもこれだったらパンとおんなじように噛みきれるもん」


「そっか。お肉がベロンって出ちゃったら、後はパンしか残んないもんね」


 僕のお話を聞いて、にこにこしながら残りのパンを食べてくキャリーナ姉ちゃん。


 それがすっごく幸せそうなお顔だったから、僕はすっごく嬉しくなって、


「美味しいね」


 って言って、にこにこしながら簡易版てりやきバーガーを食べたんだ。



 読んで頂いてありがとうございます。


 確かてりやきバーガーって、牛肉じゃなくて豚肉のハンバーグを使っていましたよね?


 当初は鶏肉の照り焼きを作るつもりだったのですが、それを思い出したので急遽てりやきバーガーに変更しました。


 こっちの方が料理を作ったって感じがしていいですしね。


 さて、悲しい事に出張はまだまだ続いています。


 ですから今週も時間が取れないので金曜日の更新ができず、誠にすみませんが次回の更新は次の月曜日になります。


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