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312 なんかね、新しくできる事が増えちゃったみたい


 森の近くに着いた僕たちは入口んとこの屋台街を素通りして森の中へ入ると、そのまんま奥の方まで行くことにしたんだ。


 なんでかって言うと、レーア姉ちゃんからさっき、探索魔法で果物を探してみてって言われたでしょ?


 でもお父さんが、


「森に入ってすぐの浅い辺りは、街から果物や薬草を採りに来てるGランクの冒険者たちが殆ど採りつくしてると思うぞ」


 って言ったもんだから、もっと奥の方まで行ってから試してみようってことになったからなんだ。


 そんな訳で、僕たちは森の奥へと続く道をピクニックするみたいに歩いて行ったんだよね。


「よし。この辺りにはついこの間までポイズンフロッグがいたからな、ここまで入ってくるGランクは流石にいなかったろう」


 でね、そんな道らしい道がほとんど無くなってきたところまで来ると、お父さんがそろそろいいんじゃないか? って教えてくれたんだ。


「それじゃあ、ルディーン。魔法で調べてみて」


「うん、解ったよ」 


 それを聞いたレーア姉ちゃんからやってみてよって言われたもんだから、僕はとりあえずいつも通り探索魔法を使ってみたんだよ?


 でもね、周りにいる動物や魔物はいつもみたいに見つかったけど、木の実とか薬草とかはこの魔法じゃ見つからなかったんだ。


「レーア姉ちゃん。やっぱり魔物とかしか見つかんないよ?」


「ねぇ、ルディーン。ちょっと聞くけど、もしかしていつもやってるのと同じようにやったの?」


「うん、そうだよ。だって他のやり方、僕知らないもん」


 僕、探索魔法はいつもやってるのしか知らないもん。


 だからいつもとおんなじようにやったよって言ったんだけど、それを聞いたレーア姉ちゃんがそれじゃダメに決まってるでしょ! って言うんだよね。


 だから何で? って聞いてみたいんだけど、


「魔物じゃなくって、木の実を探そうとしなきゃダメでしょ? なのにいつもと同じようにしたらうまく行くはずないじゃないの」


 そしたら探すものが違うよって言われちゃったんだ。


 でもさ、木の実ってどうやって見つけたらいいんだろう?


 そう思った僕が頭をこてんって倒して考えてると、お母さんがこんな事を聞いてきたんだよね。


「ねぇ、ルディーン。この間、私が借りた弓の試し打ちをしたいと言った時に、森の奥の方に誰かいないか魔法で調べてくれたわよね?」


「うん、やったよ」


「一つ聞きたいんだけど、いつも魔物を探してる時は、そう言う人たちも一緒に見つかってるの?」


「どうだったかなぁ?」


 そう言えばそんな事、考えた事なかったなぁ。


 だってさ、探索魔法を使った時って魔物や動物を探してる時でしょ?


 だからそう言うのがいるとこしか見てなかったもん。


「解んないから、もういっぺん魔法、使ってみるね」


 どっちか解んなかった僕は、お母さんに言って探索魔法をかけてみたんだよね。


 そしたら森の中にいる他の人たちの反応が返ってきたから、僕はお母さんにその事を教えてあげたんだ。


「じゃあルディーンには今、近くにいる人がどこにいるのか全部その魔法で解ってるのね?」 


「うん。だから、そう言ってるじゃないか!」


「それじゃあ聞くけど、その魔法で私たちのいる位置は解ってるのかしら?」


 それを聞いた僕は、すっごくびっくりしたんだよね。


 だって今僕が探索魔法で解ってる中には、お母さんたちが入って無かったんだもん。


「あっ、魔法を使って他の人たちはみんな解ってるのに、お母さんたちは解んない!」


「そうなの? それはよかったわ。それなら果物も探せる可能性が出てきたもの」


 そう言ってコロコロ笑うお母さん。


 でも、何でみんなの反応は帰ってこなかったんだろう?


 そう思った僕は、見つからなくってよかったって言ってるお母さんに、何で? って聞いてみたんだよね。


 そしたら、こんな答えが返ってきたんだ。


「それは多分、認識の外にあるからよ」


「それ何?」


「そうねぇ、例えば何かを探していて見つからないなぁと思っていたのに、他の人から目の前にあるじゃないのって言われて初めてそこにあるのに気がつく事ってあるでしょ?」


「うん」


「それはね、そこにはないと思い込んでるからなのよ。だから見えてるはずの物が見えなくなってるの」


 お母さんはね、僕の探索魔法にもおんなじ事が起こってるんじゃないかなぁ? って言うんだよ。


 だからきちんと探すものを思い浮かべながら魔法を使えば、もしかしたら見つかるかもしれないんだってさ。


「そっか。でも、どうやったらいいの? 僕、そんなやり方、知らないよ」


「そうねぇ」


 でもやった事ないから、そう言われてもよく解んないんだよね。


 だからどうしよ? って聞いたんだけど、そしたらお母さんはちょっと考えた後に周りを見渡して、ちょっと離れたとこの木の根元に生えてた草を採って僕に見せてくれたんだ。


「ねぇ、ルディーン。この草は知ってる?」


「うん。毒消しになる薬草だよね」


「偉いわ。よく知っていたわね。じゃあ、ルディーン。この薬草を魔法で探す事はできないかしら?」


 お母さんはね、見えてないなら見えるようにすればいいんじゃないかなぁ? って言うんだよ。


 だから試しにこの薬草を使って、その練習をしてみたらって。


「そっか。木の実とかじゃなくって、これを探してみればいいんだね」


「そうよ。ルディーンの魔法は生き物なら見つけられるんですもの。きちんとこれを探すんだって意識すれば、きっとうまく行くとお母さんは思うわよ」


 僕はお母さんにそう言われて、ほんとにそうなんじゃないかなぁって思ったんだ。


 だから、目の前の薬草を一度鑑定解析でしっかりと調べてから、おんなじ薬草を探すぞ! ってしっかり思い浮かべながら探索魔法を使ってみたんだよね。


 そしたらいつも魔物を探す時とおんなじように、近くにあるその薬草の位置の反応が返ってきた。


「あっ、解る! お母さん、この薬草が生えてるとこ、解るよ」


「そう。よかったわね、ルディーン」


 僕が大喜びでお母さんにそう言うと、お母さんはニコニコしながら僕の頭をなでてくれたんだ。


「それにね。お母さん、凄いんだよ! 薬草を探したら、僕の魔法がちょっと変わっちゃったみたいなんだ」


「変わった? どんな風に」


「あのねぇ、今までは解るだけだったのに、ちゃんと見えるようになったんだ」


 そう。今までは探索魔法を使ってもその魔物がどこにいるかや、その場所の高さとかが解るだけだったでしょ?


 でも、今薬草を探そうって思いながら魔法を使ってみたら、地図みたいなのが目の前に出てそこに表示されるようになっちゃったんだ。


「見えるって、今までは見えてなかったの?」


「えっとね、今までは魔法を使うと頭の中でここにあるよって魔物とかがいるとこが見えてるって言うか浮かんでるだけだったんだ。でもね、今はちゃんと地図みたいなのが出て来てその場所がちゃんと見えるようになったんだよ」


 そう言いながら目の前に浮かんでる地図を見てたら、僕はある事に気が付いたんだ。


 これってもしかして、ドラゴン&マジック・オンラインの頃にあったマップ画面じゃない?


 そう思った僕はもしかしたらってステータス画面を開いてみたんだけど、そしたらゲームん時とおんなじ所に今いる場所のマップが見られるページが増えてたんだよね。


 でもね、これって新しい探索魔法を使ったとこしか表示されないみたい。


 だから今開いてるページには、僕を中心にした丸い地図だけが表示されてたんだ。


 読んで頂いてありがとうございます。


 一応1種類だけですが魔法で薬草を探すことができるようになりました。


 でもそれ以上に重要なのが、マップ画面の開放です。


 実を言うと、これってレンジャーのサブジョブが付いた時に半分だけ解放されていたんですよね。


 その時点で周辺地形把握ってスキルがついていたんですが(43話参照)それだけではマップは表示されませんでした。


 しかし、地形プラス周りの木などの状況が探索魔法で調べられるようになったおかげで、ステータス画面の中のマップ画面が解放されたと言うわけです。


 いやぁ、でもまさかこんなに先まで解放されないなんて、この設定を考えたころは思いもしなかったなぁw


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― 新着の感想 ―
[良い点] できることが増えてますます便利屋に近づいてしまうw 家族の言葉で気づいたり思いついたりするのも 成長物語の大事な要素ですね!
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