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285 神様って実はいっぱいいるんだってさ


 聖印にお祈りした後は、ちょっとだけ大聖堂を見て回ってから他の神殿の見物。


「ビシュナ様のって、大聖堂だけじゃなくって神殿もあるんだね」


 僕、イーノックカウ大神殿には大聖堂があるからビシュナ様の神殿はないって思ってたんだけど、イドラ様やラクシュナ様といっしょで、ビシュナ様の神殿もちゃんとあったもんだからびっくりしちゃったんだ。


 でもね、その理由を聞いてみたら、そんなの当たり前だったんだよ。


「大聖堂はお祈りをするだけの建物だけど、神殿はその神様に仕える神官が生活する場所でもあるからね」


 お母さんに教えてもらったんだけど、さっき行った大聖堂は神様にお祈りしたり、神様のお話を司教様がみんなにしてくれる時に使う場所なんだって。


 だからお祈りするとこしかないけど、でもそんなとこしかなかったら神官さんたちが生活できないでしょ?


 そんな神官さんたちが生活する場所が神殿なんだってさ。


「そう言えば村の神殿だって、司祭様が住んでるね」


「そうよ。神殿はお祈りするところでもあるけど、神官さんたちのお家でもあるの。だからあんなに大きいのよ」


 お母さんが言う通り、ビシュナ様の神殿も、イドラ様やラクシュナ様の神殿も大聖堂よりおっきいんだよね。


 でも、あそこにいっぱい神官さんたちが住んでるって言うのなら、あれくらいないとダメだって僕も思うんだ。


「ただせっかく立派な神殿なのに、神官さんたちが生活している場所には入れないから、入り口近くしか見られないのが少し残念よね」


「仕方ないさ。俺たちだって、家の中に知らない人が入ってきたらいやだろ?」


 ただね、ビシュナ様達の神殿はとっても大きいんだけど、入れるのは入り口んとこにある祭壇の間だけなんだ。


 そこは大聖堂ほどじゃ無いけどかなり立派な造りになってて、この祭壇の間を見ただけでこの奥もきっとすごいんだろうなぁって思えるんだよね。


 だけどそこは神官さんたちが住んでるとこだから、僕たちは入っちゃダメなんだって。


 だからお母さんは、ちょっとがっかりしちゃったんだ。


「それより、小神殿を見て回らないか? このイーノックカウ大神殿には火や水の神の小神殿もあるんだし」


「そうね。行きましょう」


 でも、この大神殿には他の神様を祭ってるちっちゃな神殿もあるからそっち行こってお父さんが言ったら、お母さんはちょっと元気になったみたい。


 と言うわけで、僕たちはビシュナ様達のおっきな神殿を出て、ちっちゃな神殿に行く事にしたんだ。



 イーノックカウ大神殿にあるちっちゃな神殿は火、水、風、土の4つの神様を祭ったとこと、商売の神様を祭ったとこの5つあるんだって。


 それを聞いたキャリーナ姉ちゃんは、あれ? って顔をして、お母さんに聞いたんだよ。 


「お母さん。4つの神様って魔法の属性とおんなじだよね? だったらなんで光と闇、それに癒しの神様の神殿が無いの?」


「それはね、ラクシュナ様が光と癒しを司る神様だからよ」


 魔法の属性のうち、4元素にはそれぞれの神様がいるけど、光と癒しは豊穣の神様であるラクシュナ様がその神様に当たるんだって。


 だからその二つの神様はいないんだよって、お母さんは言うんだ。


「じゃあ闇の神様は? ビシュナ様は創造の神様だから、イドラ様がそうなの?」


「それがねぇ、闇の神様は別にいるらしいんだけど、このイーノックカウ大神殿には無いのよ」


 光の神様であるラクシュナ様は3大神のうちの一人でしょ? だから、その神殿があるとこには闇の神殿は置かれないそうなんだよね。


 なんでかって言うと、そんなとこだとラクシュナ様の光の力が強すぎちゃって闇の神様がいるとこが無いからなんだってさ。


「でも、キャリーナが言ったイドラ様が闇の神様って言うのはちょっと近いかも。だって、帝都にあるイドラ様の大神殿には闇の小神殿もあるらしいからね」


 イーノックカウにはビシュナ様の大聖堂しかないけど、帝都にはラクシュナ様やイドラ様の大聖堂もあるんだって。


 でね、その3つは別々のとこにあって、ビシュナ様んとこには商売の神様と風の神様が、ラクシュナ様んとこには水と土の神様、そしてイドラ様んとこには火と闇の神様のちっちゃな神殿があるんだってさ。


「そっか、じゃあ火と闇の神様はイドラ様のとこの神様なんだね」


「多分そう言う事になるんだと思うわよ」


 実はね、神様って言うのはいっぱいいるんだって。


 その神様たちはそれぞれビシュナ様達に仕えてるんだけど、そのいっぱいいる神様をまとめてるのが火とか水の神様なんだよってお母さんが教えてくれたんだ。


「解りやすい所で言うと、ラクシュナ様は豊穣の神様よね。だから作物を育てるのに必要な光を司り、水や土の神様を従えてるの。そしてその水や土の神様にもそれぞれ従えてる神様がいて、その神様たちが雨を降らしたりして私たちに恵みを与えてくれてるのよ」


 この世界ではいろんなところに神様の魔力が満ち溢れてるんだよって、お母さんは言うんだ。


 でね、その魔力のおかげでみんなが作ってるお野菜がいっぱい取れたり、森に果物のなる木や薬草が生えたりするんだって。


 それに動物や魔物をいっぱい狩ってもいなくならないのは、神様がちゃんとお空から見ててくれて、いなくならないようにしてくれてるからなんだってさ。


「でも、たまに神様の加護が強すぎる場所が生まれるのが困りものではあるんだけどね」


「神様の加護が強すぎる場所なんてのがあるの?」


「ええ。うちの村の近くにも魔力溜まりってのがあるでしょ? あれは神様がこの世界に魔力を与えている場所という説があるのよ。だから生き物がいないところには魔力溜まりができないんだって言われているんだけど、たまに神様の力が強くなりすぎて活性化してしまう事があるのよね」


 そう言えば前にお父さんが魔力溜まりはどこにでもあるけど、生き物のいないとこにはできないって言ってたっけ。


 その時はそれがなんでかなのかはいろんな説があるって言ってたけど、神様が魔力を与えてる場所だからって言ってる人もいるんだね。


「明日お母さんたちが冒険者ギルドに行くことになってるでしょ? あれもこのイーノックカウの森の魔力溜まりが活性化したからなのよ」


「そうなんだ。じゃあ、魔力溜まりが活性化ってのをしたら、魔物が強くなるのね?」


「ええ。それもあるけど、たまに活性化しすぎてダンジョン化してしまったりする所もあるのよ」


 この話にはお母さんとお話してたキャリーナ姉ちゃんだけじゃなくって、僕やお兄ちゃんたち、それにレーア姉ちゃんもびっくり。


 だってまさかダンジョンがそんな風に生まれるなんて思ってなかったんだもん。


「ダンジョンが生まれるの!?」


「ええ。流石にイーノックカウやうちの近くにある森くらいの魔力溜まりでは、いくら活性化してもダンジョンにはならないわよ? でも中にはもっと強い魔力があるところもあって、そこが活性化するとダンジョンができたり、闇の世界から魔獣や幻獣があふれ出すことがあるらしいわ」


 昔勇者様が封印した魔王も、すっごく強い魔力溜まりが活性化したせいで出てきちゃったんだって。


 でね、その他にも本当ならこの世界にはいないはずのドラゴンとかの魔獣や幻獣も、そんな活性化した魔力だまりにできた穴からこの世界に来たんだってさ。


「ドラゴンって、ほんとにいるの?」


「ええ、いるわよ。ただドラゴンはあまり数がいないから、まず出会う事は無いんだけどね」


「それにドラゴンほどの幻獣となると、人よりも頭がいいからな。無駄な争いは好まないと言う話だ」


 強い魔獣や幻獣が通れるほどおっきな穴が開く事はほとんどないから、いることはいるけどあんまりいないんだって。


 それに、そのドラゴンとかも別に人と戦う必要もないからって、こっちから何かしなければ向こうから人の街に来る事もないそうなんだ。


「そっか。もしドラゴンが襲ってきたらどうしようって思っちゃった」


 お話に出てくるドラゴンがほんといるって聞いてびっくりしてたキャリーナ姉ちゃんだけど、お父さんとお母さんのお話を聞いて、ほっとした顔になったんだ。


 読んで頂いてありがとうございます


 魔王がこの世界に来たのって、実はこの世界の元になったドラゴン&マジック・オンラインのストーリーに沿って創造神ビシュナ様がわざとやった事なんですが、流石にこの世界の人たちはまさか神様がそんな事をやったなんて思ってもいないのでこんな風に考えられています。

 まぁ実際、魔王をこの世界に呼んだ方法が魔力溜まりの活性化でできた大穴なので、間違ってはいないんですけど。


 でも考えてみると自分で災厄を招き入れておいて、その災厄を自分で勇者に力を与えて封印したんですからひどい話ですよね。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 神関係の詳しい話。 こうやって世界観を知っていく過程も物語の中に組み込まれてて、説明臭くないのがいいですね! たくさん神がいて賑やかそうw [一言] あとがきで暴露される神のマッチポンプが…
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