風のダンジョン 1層 その4
それからは特に魔物を気にする必要もなくなったから、身体強化も使ってできるだけ速く移動をしていた。
その結果、魔力が四分の三くらい使い切った時までに、だいたい四分の三くらいを走破することができた。
ふうー、いい感じだね。
あ、ちなみにガリガリオークを鑑定してみたんだけど、こんな感じだった。
名前 オーク
基本情報
LV 20~30
HP 300~500
MP 0
SP 200~300
攻撃力 100~150
魔法力 0
物防力 50~100
魔防力 50~100
なんか外の魔物と真逆だな。
あの時攻撃食らったけど全然吹っ飛ばなかったのは僕のレベルが上がったのもそうなのかもしれないけど、そもそもの攻撃力が低かったんだな。
でもその割にHPが高い。
外の魔物はHPが低いけど攻撃力が異常に高かった。
だから一発でも食らったらそれだけで終了みたいな感じがしてたし。
事実、ブラッディ・ベアの攻撃を受けてた時はちゃんと剣で受けてその上後ろに飛んだのに、HPが半分くらいなくなったはずだし。
ってなると、魔物の倒し方も外とは変えた方がいいだろうし。
ここら辺はボスと戦う前にちゃんと話しておかないと。
魔力量的に危なくなってからは、身体強化を解いて歩いて進んでいた。
まあ、魔力量が少なくなっても体力はまだ余裕があったからね。
でも、とうとう体力的にもきつくなってきた。
皆肩で息をしながら歩いているけど、そろそろ休んでもいいんじゃない?
実際僕は軽装備で近接戦闘型だからまだ他の三人に比べて余裕はあるけどね。
ヒカリとシズクは魔法使いだし、アントンは結構重たそうな装備をしてるし。
まあ、だから出てきた魔物は僕が倒してるんだけどね。あ、レベルも一つ上がって40になったよ。
これは僕がそろそろ休もうと提案するべきなんだろうな。
そもそも、この中には太陽の光が入ってこないから時間がどんな感じかも想像できない。
夜なのか昼なのかもわからない。
ダンジョンの壁はどういう仕組みかは分からないけど、白く発光してるんだよね。
それが少しずつ暗くなってきているとかあったらまだよかったんだけど。
そろそろ休もうと提案しようとしたその時、
「……なあ、あれ、って、なんだ?」
アントンが前を指さしながら声を上げた。
その指の先には大きな扉があった。
「書いてきた、やつじゃ、さっきのが、最後だったんだが。
はあ、はあ、あれがボス部屋、か?」
「ちょっと見てくるよ。」
もう、3人はもういろんな面で限界だろうし。
少し早歩きで扉の方に向かっていった。
そして、扉にはこんな文字が刻まれていた。
“1層 ボス部屋 ラット族の王が待つ”
……ようやくたどり着いたのか。
もうほんとに大変だった。
一日中このダンジョンの中を移動してたんだもん。
進んでるのか、戻っているのかも分からない中で進んでいくのは精神的にきついものがあった。
「3人とも、こっち来てみて。ボス部屋着いたよー!」
「「「……おおー。」」」
あ、こりゃまずそうだな。
一応魔物が来ないか警戒しとかなきゃいけないけど、それは僕がやるべきだろうな。
「……ああ、ようやくついたな。」
「本当ですね。長かった。道筋をメモしてきた時から思ってましたが、それにしても長かった。」
「だね。もう、魔力的にも体力的にもきついよ。私はいつでも寝れるよ。」
「まあ、最初は僕が起きとくから3人は休んでていいよ。」
「いや、俺も起きとくよ。
まあ、その前に夕飯だな。準備するぞ。」
夕飯はガリガリオークとかゴブリンの魔物肉を焼いて食べた。
……うん、オークは普通においしかったけどゴブリンはちょっとないかな。
まあ味付け次第だろうけど。
さて、夕飯が終わったところで話しておかなきゃいけないことがあったね。
「ねえ、明日のボス戦なんだけどさ。戦い方とか決めようよ。
外の魔物と違うところが多かったし。」
「うん?でも時間稼ぎしたら逃げるだけでいいんだろ?
だったら、4人で密集して近づいてくる魔物だけ倒していけばいいんじゃないか?」
「いや、それがさ。なんかボス倒したほうがよさそうなんだよね。」
「そうなんですか?
でも、そのボスが神話に出てきた神々だとしたら倒さない方がいいんじゃないですか?」
「あー、その話私も聞いたよ。確か、特魔天?っていう場所でセイメイとかゆう男か女かわからないやつがそんなこと言ってた気がする。
心身統合をたくさん使っちゃったから、感情の制御っていうのができなくなってきてるって。
それは創造神様にしか治せないって。
で、感情の制御ができている間に創造神様の所にたどり着くには、ボスは全部倒しておかないと間に合わないって。」
「……なるほど。確かに俺も予想以上に感情が揺さぶられるような感覚があったがそういうことだったのか。だったら、倒すしかないな。
俺たちは4人で助け合うって村長と約束してるもんな。」
そうなんだよね。
僕もアコタル村に戻ったときにそれを思い出した。
そしてそれを破れないことも。
まあ破るつもりはないけど。
「じゃあ、寝る前に作戦会議しようか。」
次回からボス戦です。
少し長めにボス戦の枠は取るつもりです。
ただ2層目からはすこし省略するかもしれません。




