表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人と神様の国取り合戦  作者: きりきりきりたんぽ
ダンジョン攻略
95/125

風のダンジョン 1層 その2

ステータスの攻撃力などは最大値なので、常にその分にダメージが出るわけではありません。

それ以上出すことはできません。

 その後もすいすい進んでいった。道がめちゃくちゃ複雑なだけで出てくる魔物は弱いし。

そして、どれくらいの曲がり角を曲がったかわからなくなってきた時、魔物の集団の気配を感知した。


「多分ゴブリンの集団がいるよ。ちょっとシズク来てくれない?」


「いいよ。危なそうだったら魔法で援助してあげるよ。」


 ということで、さっさと倒していきますか。

曲がり角の先には感知した通りに、僕達の腰当たりまでしか身長がない緑色の肌をした魔物が10匹ほど固まっていた。

一体の時はめちゃくちゃ弱かったけど、集団でも多分大丈夫でしょ。

……一応身体強化だけはしておこうかな。


「じゃあ、ちょっと行ってくるね。」


「うん。頑張れ。」


 角から飛び出して、ゴブリンの方に走り出す。

そして手前の2匹の首を両方とも斬れるように剣を振り下ろす。


「ふっ!」


 確かな手ごたえがあった。ちらっと見ると、ゴブリンの死体が何かを残して消滅していった。


「「「グギャアア!」」」


 他のゴブリンたちもさすがに僕に気づいたようで、こちらに向かって駆け寄ってくる。

よし、じゃあ全部一撃で倒してみるか。首は一撃で斬れるってわかったし。

でもどうやっても難しそうなときは躱したり剣の柄で殴ったりしてやり過ごしていた。

 そんな中途半端なことしていたからからかな、気が付いたら残りのゴブリンが僕を囲うように立っていた。

……やっちまったかも。数は7匹か。

まあ、ならアレの練習しちゃいますか。


「「「グギャアア!」」」


 大きな声を上げて同時に全方向から僕の方にとびかかってきた。

ゴブリンが近づいてくる気配を感じながらも、僕は軽く目を閉じた。

 意識を集中させろ。

 冷静になれ、感情を動かすな。

 剣の動きを想像しろ。

 7匹全部の首を斬ることを想像しろ。

 剣が首に入る感覚を、斬る感覚を、もっと細かく想像しろ。

 そうしたら体が自然に動くから、それに任せる。


「……剣聖技 夢幻一閃。」


「「「グギャッ!?」」」


 一閃で7匹全部の首を斬った。想像した通りに。

何かを残して、それ以外のすべてが消えていった。

前の時は魔物肉か皮だったけどね。


「ふう、何とかうまくいったかな。」


「ふう、じゃないよ!危なかったじゃん!」


 シズクがこちらに向かってきながら、少し怒っている。

いや、確かに危なかったけどまあ、うまくいったら全部作戦通りだから。


「いや、作戦通りだよ。剣聖技の練習もしておきたかったし。」


「嘘つかない!囲まれてることに気づいたとき少し背筋張ってたよ!」


 なんでそんなとこ見てんのさ。

だったら、ちょっと何が残ってるのか気になるから見に行ってみるか。

話を逸らすつもりはないけどね。


「そういえば、今回は何が残ってるかな?ちょっと拾ってくるよ。」


「あ、話そらした。」


「そらしてないよ。

僕が拾ってくるから、その間アントンとヒカリ呼んできてくれない?」


「分かったよ。次危ないと思ったらすぐに魔法撃つからね。」


 そう言い残して、アントン達の方に小走りで向かっていった。


……ふう、剣聖技うまくできてほんとによかったわ。

あれめちゃくちゃ練習してるのに全然成功しないんだよね。

正直今回も運がよかっただけだし。

特剣天だったらもう少しうまくできるんだけどなんでかな?




 イースターを出る前日、特剣天にて。


「いい?剣聖技 夢幻一閃は簡単に言えば、思った通りに剣を動かせる技なの。

だから、1回剣を振るだけで複数の斬撃を放つことができるのよ。

例えばこんな感じ。」


 ヒナが軽く剣を振ると、空気中に5本の斬撃が浮かんだ。

いや本当に、なんか空気が歪んでるんだよ。


「ね?レオもいつかこんなこともできるようになるからね。しっかり練習するんだよ。

コツはね、とにかく細かい部分まで想像すること。

で、それには感情が邪魔だから、できるだけ感情を動かさないようにしてみてね。

 まあ欠点は攻撃力の最大値以上の威力は出ないってとこなんだけどね。

これは今気にしないでいいよ。」


「なるほど。じゃあちょっとやってみるよ。」


「うん、やってみなさい!ここじゃ時間も体力も心配する必要がないんだから。」


「……いや、そろそろ寝たいから帰ってほしいんだが……。」


 マサムネの声が聞こえた気がした。

ま、まあ聞こえないふりすればいいかな。

そんなことより早速やってみよう。


 ……30分後。


「まだまだねー。全然想像できてないわよ。」


「いや、むずすぎ、ない?感情を、動かさない、ようにって、さあ。」


「……ああ、そういえばレオはこれまで真逆のことしてきたんだっけ?

だったら少し難しいかもしれないわね。なら外の方がやりやすいのかしら?

『復讐者』で感情を制御できるはずだし。」


「それはできないぞ。やったらもっとタイムリミットが短くなるからな。」


 ああ、そうか。感情が上手く制御できてないっていうのに『復讐者』で感情を集めすぎるのはまずいか。


「そうなんだー。だったらどうするべきかしら?

私は普通にできたから困るようなこともなかったんだけど。」


「……はあ、なら私が少しコツを教えてやる。


とにかく集中して、その時の感触まで想像してやってみるといい。」


 感触まで、か。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ