ダンジョンのボスは……?
シャララーン。
「待っていたわよ、レオ!今日も剣振っていきましょうか。」
また、行きたいとマサムネに言ってないのに特剣天に呼び出された。
いや、ここで剣を振るのはいいんだけどさ、
「いや、明日からダンジョンに向かうから今日はちょっとやめとくよ。」
さすがにね。それでぶっ倒れたらお話にならないし。
「あら?そうなの?明日からダンジョン攻略なの?」
「いや、攻略じゃなくてダンジョンに向かうってだけだけど。」
「なら大丈夫ね。ダンジョンは途中まで雑魚しかいないからね。
それにボスを倒すためにはこれだけじゃ足りないよ?」
「いや、倒すつもりないけど?」
「「倒すつもりないの(か)!?」」
マサムネとヒナの二人に驚かれた。っていうかマサムネさっきまでなんも喋ってなかったな。
普段ならマサムネから話しかけてくるのに昨日もだけどどうしたんだ?
いやそんなことはどうでもよくて、どうして倒さないってことで驚かれてるんだ?
「ボスは倒さなきゃダメだ。じゃないとダンジョンを攻略しきることはできないし、お前の場合間に合わなくなる。」
「そうだよ。ボスは倒さなくっちゃ。強くなれないし。って、間に合わないって何に?」
「ああ、レオにはタイムリミットがあるってだけだ。で、それをどうにかするためには創造神の所まで行かなきゃいけないってだけだ。」
「ええ!?そうなの!?私が手伝ってあげようか?そうした方が確実に間に合うでしょ?」
「だめだ。ヒナ、お前がレオに手助けできることはここで剣を教えることくらいだ。
それ以外の干渉は許可しない。」
ヒナがマサムネの服を軽くつかんだ。なんでも二人が着ている服は着物というらしい。
今はどうでもいいけど。
でも、ヒナがマサムネにつかみかかるとはね。嬉しいけど、落ち着いてほしいかな。
アントン達と4人で行くつもりだからね。約束してるわけでは無いけど。
「どうしてですか!?そのタイムリミットってのが何なのか知らないけど、全部のダンジョンを攻略しきった後の最後のダンジョンの最奥にいるっていう創造神しか治せないってことはかなり危ないことになってるんですよね!?」
「違うんだ。お前でも私でも無理なんだ。これでわかってくれ。」
その言葉を聞いてすぐ、何かを理解したのかはっとした顔をしたヒナは
「……そういうこと、ですか。ごめんなさい、マサムネ様。取り乱しました。」
「気にするな。私もここにまともな状態でたどり着いたレオには頑張ってほしいと思ってるんだ。
だからお前の気持ちもわかる。
だからこそ、ここでレオに剣を教えてやれ。そうすれば間に合う確率が上がるからな。」
「うん。そうですね。任せてください、マサムネ様。
さあレオ、剣を出して。」
ちょっ!
「いや、ちょっと待って。その前に質問に答えてよ。
だってギルドで集めた情報からすると……。」
「ああ、ちなみにお前の認識は間違ってるぞ。
いや全部間違ってるわけでは無いのか……?
まあいい、お前たちはギルドのボスがお前たちのいう神話に出てくる神々だと思ってるんだろう?だがそれは――――。」
えっ?
「マサムネ?今なんて言ったの?」
途中からマサムネが何を言ってるのか全く聞き取れなくなったんだけど。
いや音は届いてるんだけど、何を言ってるのかが理解できないっていう感じかな。
ヒナも首をかしげてるっていうことは聞こえてないのかな。
その当のマサムネは少し顔をしかめると、
「これ以上は話せないっていうことか。ならボスと対面したその時にどうするかを決めろ。
倒すべきか倒さないべきか。ただ言えることはボスを倒さないと、ほぼ確実にお前は間に合わなくなるってことだな。」
「そうなの?」
「ああ、ボスを倒してレベルを上げないと1年で全部のダンジョンを攻略するのはかなり大変だろう。
休みなく行動してようやく間に合うかどうかって感じだな。
まったく、だれがそんなことを……。」
「まあボスを倒すにしろ倒さないにしろダンジョンに行くなら強いことに越したことはないよね。
だから手っ取り早く剣聖技について今日はやろうか。
正しく素振りが、そうだなーじゃあ、100本できた後に。」
ウッ。またあの地獄の素振りをするのか……。
しかも100本。無理でしょ。昨日意識がなくなるまでやってようやく150回とかだったんだよ?
繰り返すけど、無理でしょ。
「違う違う。型にとらわれすぎだよ!もう少し自由に!そうすれば体が柔らかく動くようになるから。」
「ほら!力が入りすぎだよ!剣を振るとき最低限の力だけ入れてればいいの!それに力が入ると固くなるでしょ!」
「おっ!よくなってきたじゃない!その調子、その調子!」
「……ほう。この3日とかでそこまで振れるようになるか。まだまだだがな。」
「……うん。合格!じゃあ少し休憩したら剣聖技の技について教えてあげよう。」
「はぁ、はぁ、……あ、ありがとう。」
無理すぎでしょ!もう少し優しく!




