アリスとの約束
「「「「……すいませんでした。」」」」
……はあ、もういいや。どうせまたそんなことできるはずがないとか嘘だとか思ってんだろうし。
でもアリスに絡まれると困るな。どうしたらいいか考えないと。
ガチャッ。
そんな時アリスとオリビアさんが入ってきた。
アリスは涙の後も消えて、すっかりいつも通りに戻っている。
「謝る必要はありませんよ。そんな気がないのにそんなことされても困るだけですし。
だから謝りたいと思った時に謝りに来てくれればいいです。」
……そうなの?ならいいけど。
「ふざけんなよ!なんでお前に上から言われきゃいけないんだよ!」
「そうだ!この卑怯者め!」
「金にものを言わせて汚いことしてるくせに!」
「恥ずかしくないの!?どうせ道具がなくなったらめちゃくちゃ弱いくせに!」
はあ、こいつらも懲りないな。もうどうでもいいけど。
でも一人だったらまた絡まれるだろうな。誰かいないかな?
「だから謝る必要はないといってるでしょう。さっさと帰ってください。
私はあなたたちと話に来たわけではありません。
連れて行ってください。」
扉の外に向かって声をかけると、男性の店員が5人ほど入ってきて4人を連れて出ていった。
「ふう、静かになりましたね。すいませんでした。
いきなり泣いてしまっただけでなく、アレに巻き込んでしまって。」
「気にしない。そんなことよりも良かったの?あのままにして。」
「そうだ。よかったのか?ここで何も買わせなくすることくらいならできるが。」
エドガーさんも心配そうだ。でもそんなことできるのか。
でも逆効果になりそう。
だってアリスに絡んだから売らないってなったら、自然とアリスが何かやってしまったっていう噂がつくし。
「いいんです。私にとってあんなのよりも大切なことがありますから。」
そうなんだ……。ならいいんだけど。
「レオ、アントン、ヒカリ、シズク。あなたたちに伝えたいことがあります。」
おお、どうしたんだ?いきなりそんなにかしこまって。
「あなたたちがいなかったら私はもう生きていなかったかもしれません。
あなたたちがどんどん強くなっていると聞いたこと。
たまたま会った時に普通に話してくれたこと。
この街に魔物の襲撃があった時に街のために命がけで戦ってくれたこと。
それだけでなく、私を守ってくれたこと。
これらが一つでも欠けていたら私はもう生きていませんでした。
―――だから、本当にありがとうございました。」
……なるほど。それが伝えたいことだったのか。
エドガーさんとオリビアさんの目には涙が浮かんでいる。
きっと、妹の成長ぶりを見て感激してるのかな?
僕達が孤児院の子供達を見る目に似ている。
でもね、
「だから気にしないでいいって。当然のことをしただけなんだから。
僕達って友達でしょ?」
「そうだな。当然のことをしたのに感謝されてもむず痒いというか。」
「そうです。
アリスが喜ぶなら何度でも話しましょう。
これからは街のためにだって戦いましょう。
だから、安心してください。」
「それに、前回私たちは自分のためにしか戦ってなかったしね。
だから、感謝なんてしないでほしいな。壁ができたみたいだよ。」
そう。僕達は当然のことをしただけなんだよ。
まあ、その当然のことができるっていうのが涙が出るほど嬉しいっていうのもわかるんだけどさ。
僕達は死んでいないし死ぬつもりもないんだよね。だから本当に気にしないでほしいんだよね。
「……本当ですか?また私と仲良くしてくれるんですか??」
「「「「当然だって(ですよ)」」」」
「だったら、約束してください。
ダンジョンに行ってもきっと帰ってくると。また生きて会えると。」
「「「「もちろん!」」」」
これで少しは安心できそうかな。あともう一つあったらいいんだけど。
なんかないかなぁ。……ああ、カミラさんとトワ達に会わせてみようかな。
仲良くなってくれればうれしいけど。
「レオ君たちはダンジョンに行くのか?初めて聞いたんだが。」
エドガーさんが少しめを丸くさせながらこちらを見てくる。
そういえば言ってなかったっけ?
「そうなんだ。Cランクに上がったし一つ目の目標も達成できたから、次の目標のために行ってみようと思ってさ。」
「そうなのか、気をつけろよ。あそこの生存率はかなり低かったはずだ。特にほとんどの弱い冒険者が入れないから、強い冒険者しかいないのにも関わらずな。」
えっ?そうなの?まあそうであっても行くのは変わらないんだけど。
「それと一つ目の目標ってのは何だったんだ?」
「ああ、それはブラッディ・ベアの討伐だよ。てっきり知ってると思ったんだけど。」
「……ああ、そういえば確か西側の村がたくさんブラッディ・ベアに滅ぼされたって聞いたことがあったな。つまり、その被害者だったってわけか。」
「そうだね。だから討伐したんだ。
……あ、そういえば神聖魔法って知ってる?」
「ああ、知ってるぞ。確か聖都に聖騎士が使う属性だったな。
なんでだ?」
「ああ、それを使えるようになったんだよね。だから使い方とかの本があったら買いたいなって思ってさ。」
「「「……は?」」」
エドガーさんとオリビアさんとアリスの目が驚きで見開かれてる。
なんか変なこと言ったかな?
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