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人と神様の国取り合戦  作者: きりきりきりたんぽ
ダンジョン攻略
83/125

アリスの境遇

 ポロポロと涙を流しているアリスを前に思考停止してしまう2人。

なお、アントンはテントに入ったっきり出てこない。何してんだよ。


「えっと、どうしたの、アリス?」


「な、なにか私たちしてしまいましたか?」


 それに対し、アリスはうずくまりながらいやいやと頭を振っている。

何か伝えたいことがあるっていうのが本当のことだったとしても、それが何かは分からないんだけど。

……こういう時どうすればいいんだっけ?孤児院だったら……


ナデナデ、ナデナデ


「どうしたの?なんでも話してみなよ。聞いておいてあげるから。」


頭をなでながら目線を合わせて、ゆっくり丁寧に話しかける。

 ……やばい本当に恥ずかしい。ヒカリとシズクの視線も冷たいし。

何より近くにあるアリスの驚きで見開かれている目とばっちり合ってるのもものすごい気まずい。

でも、ここでやめたら本当にただの変態になりかねない。

最後までやりきらないと。


「ほら、ゆっくりでいいから話してみて?なにがあったの?」


「……グスッ、やっと、できたと思ったのに、友達が。

なのに、なのに、いなくなっちゃうの。」


 よかった、話し始めてくれた。でも……。


「うん、うん。」


「まだ、なにも、言えてないのに。

離れ離れに、なっちゃう。」


「うん、うん。」


「そうすれば、私は、また、一人、ぼっちに、なっちゃう。」


「うん、うん。」


「うわあぁぁぁ!」


「ああ、ほら。汚れちゃうからこれで拭いて。」


 ポケットからハンカチを取り出して目元に当ててあげる。

これは僕達がこの街からいなくなるからだろうな。


「……オリビアさんかエドガーさんを呼んできてもらえる?」


「うん。」「任せてください。」「任せろ。」


 3人が駆け出していくのを見送って、アリスの横に腰を下ろした。その方が安心できるからね。

ちなみにアントンはアリスの話が始まったときに出てきていた。

 小さく震えているアリスを見守っていると誰かが来たようだ。

でもそれは足音に数からアントン達じゃない。


「お、こんなところで泣いてんじゃん。犯罪者の娘が。」

「ほんとだ。なんで泣いてんの?泣きたいのはお前以外にもいるっていうのに。」

「しかも冒険者学校で殺人未遂までしたって噂じゃん。」

「じゃあ、ただの犯罪者じゃん。なんでこんなとこいんの?店員呼んでこよっか?」


 そこには男3人女1人のパーティーが立っていた。しかもアリスに少なからず悪感情を持っている。


「っ!?」


 ……ああ、せっかく落ち着いてきたっていうのに。どうしてくれようかね、ゴミ共め。

でも、こんなのに毎日耐えてきたのか、アリスは。


「おい、さっさとそこどいてくんない?邪魔なんだけど。」

「ちゃんと掃除しておけよ。犯罪者がいた場所なんて汚いからな。」

「いや、それだけじゃダメでしょ。弁償もしないとじゃね?」

「さっさと体でも売って金稼いだら?だれも払ってくれないだろうけど。」


「……おい。黙れよ、ゴミ共。」


 そろそろ我慢の限界かな。それに僕が隣にいるって気づいてないのかね?

それにしてもアントン達遅いな。手加減はできなさそうなんだけど。

でもちょっとくらいなら殺気出しても大丈夫そう。

 いやーね、ブラッディ・ベアを倒してから感情の制御が難しくなってる気がするんだよね。

『復讐者』との併用でありえないくらいの感情の力を使ったからかもしれないけど。

だから、少しでも制御ミスったら本当に大変なことになる。

レベルが上がってからは使ってないから具体的には分からないけど。


「な、なんだよ、お前は。」

「お前には言ってないだろ。」

「そうだよ。犯罪者の味方するのか?」

「っていうか普通にうざいんだけど。あんたもそれと一緒にボコボコにしてあげようか?」


 やっぱ弱すぎるか……。少し怯んだくらいにしかなってない。

じゃあ、やりたくはないけどしょうがないよね。

もうちょっとだけ強めに当ててあげよう。

 ……あ、ミスった。


ズンッ。


 店の中でとてつもない殺意が威圧となって吹き荒れた。

しかしそんな中でも気絶した人が店内にいなかった。

店内にいたのがほとんど冒険者だったのが幸運だったのかもしれない。

でも不運だったのはアリスに絡んできた4人だった。


「ひっ!」

「な、ななな……。」

「う、うわああ!」

「う、うそっ!」


 やっちまった。ここまでやるつもりはなかったのに。

急いで引っ込めないと。倒れる人がいるかもしれない。

なんとか4人に集中させることができたけど、完璧じゃないし。

でも今のうちにこいつらだけでもやっておかないと。


「……で?なんで僕の大切な友達にそんなこと言うのかな?

ちゃんと答えてくれるよね?」


 少しずつ殺意をしまい込みながら聞いてみる。


「だ、だって……。」

「しょうがないじゃん。俺だって……。」

「ずるいんだもん。……。」

「わざわざ高度な魔法を撃ったのが……。」


 おいおい、いきなり話し始めるなよ。

何言ってんのかわかんないでしょ。


ドタドタッ。


「……間に合わなかったか。

まあいいか。レオ君久しぶりだね。」

「アリス!大丈夫!?お姉ちゃんがいるからね、大丈夫だよ!?」


アントン達とエドガーさんとオリビアさんがやってきた。

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