Cランクになったぞ!
「さて、じゃあ冒険者カードを預かりましょうか。
Cランクに更新しますよ。」
「お願いします。」
冒険者カードをアナさんに渡した。
ギルマスも戻っていったし、酒場も騒がしくなってきたな。
「更新には時間がかかるので、少し待っていてください。
あとこれを渡しておきます。」
ジャラッ!
……え?なにこれ?
「これはブラッディ・ベアを討伐したことの報酬です。
あと、オークの討伐分も入っています。」
あー、なるほど。その報酬か。
……結構多いな。金貨だけだけど、20枚くらいあるぞ。
こんなにあったら攻撃力を強化できる魔法剣とかも買えるかもしれん。
普通の剣は耐久値とかしかないし、それ以上に攻撃力を上げてくれたりはしないもんな。
「……どうする?何に使う?」
「分からん。まあ一応アイテム袋に入れとけ。
いつ使うかわからないからな。」
「まだ使い道は思いつきませんね。
ダンジョンの情報を集めてから必要になるかもしれないので、今は使わない方がいいでしょうね。」
「んー、お腹空いた!ちょっとなんか食べようよ。少しくらいなら使っちゃっても大丈夫でしょ?」
「その油断がいけないんです。使っちゃだめですよ。」
「えー?少しなら大丈夫だって。そんなケチケチしないでもいいって。」
「だから……。」
二人が言い合いを始めちゃったよ。これは巻き込まれたら面倒くさいから少し黙っていよ。
だってどっちも間違っていないし。
「……ねえ、いいよねアントン!?」
「だめですよね、アントン?」
「お、おう……。」
おお、アントンが巻き込まれたぞ。まずいな。こっちに飛んでくるまで秒読みだ。
「4人とも、ちょっとこっち来い。」
バッっとヒカリとシズクが僕の方を見たその時、イーサンさんが声をかけてきてくれた。
あっぶな。
「今日Cランクに上がったんだろ?
ならここは俺がおごってやるよ。」
「「「「「ありがとぉぉー!!!」」」」」
「別にお前らにはおごるとは言ってねえよ。
ほら、これで好きな物頼んできな。」
イーサンさんが銀貨一枚渡してくれた。メニューの値段から4人分は買えそうかな。
ってか冒険者たちのノリいいな。面白すぎでしょ。
結局4人ともオーク肉のステーキを買った。
味は……微妙。院長先生の方がおいしかった。
ああ、一応院長先生だけには目標を話してあるよ。
全部のダンジョンを攻略するっていうやつ。
少し残念そうな顔してたけど、応援してくれた。
「そういえば、お前たちは普通にダンジョンの攻略をする予定なのか?
俺はあきらめちまったが。」
「はい、俺たちはダンジョンに行こうと思ってます。
ダンジョンってどんなところなんですか?」
「ダンジョンか……。
あそこは結構怖いところだぞ。
詳しくはダンジョン用の情報部屋に行けばわかるから簡単にな。
最初の方は弱い敵しかいないんだ。それこそ、グレイ・ラビット並みのな。
だが、それに勢いづいてどんどん先に進んでいくと強さが跳ね上がるんだ。
簡単に言うとオークロード並みだから、魔王種って呼ばれる魔物くらいの強さの魔物がゴロゴロいる。
特に定期的に現れるボスと呼ばれるのがマジで強い。
あれは別に倒す必要はないんだが、それにしても強すぎる。
お前たちが戦ったブラッディ・ベアのだいたい2倍以上の強さだ。
鑑定でも何にも見えないしな。
それに倒したら終わりじゃない。
それは通過点に過ぎないんだ。
あのダンジョンを攻略したAランク冒険者によれば、そのボス部屋が合計10個あったらしい。
そのAランクパーティーもボスは1体も倒せていないはずだぞ。」
「……なるほど。じゃあボスをどうやって突破したんですか?」
「簡単なことだ。
ボスはボス部屋の中から出ることはできないから、ボス部屋の出口から出てしまえば突破だ。
そのためにはボスの注意を引かなきゃいけないがな。
もちろんまずいと思ったら入り口から出ても大丈夫だが、そうしたら1日は入ることができない。
まあ、唯一の救いがボス部屋を突破したらそこにある転移魔法陣でダンジョンの外に帰ってこれるってことだな。
それに1回だけだがそこから始めることができる。
次のボス部屋を突破して次の転移魔法陣を起動させるまで帰ってこれないがな。
ってな感じでダンジョンは一癖も二癖もある場所なんだ。
得られるものもとてつもないが、死ぬリスクもとてつもない。
行くなら気を付けて、準備はちゃんとしていけよ。」
「はい。ありがとうございます。」
なるほどね。少し聞いただけでもとんでもないところだって分かる。
だとしたら目標にしてよかったのかな。
皆に勇気を与えるっていう3人との約束も果たせそうだし。
「アントン、レオ、ヒカリ、シズク。
冒険者カードの更新が終わりましたよ。受付に来てください。」
でも、僕はまだそこまで決心できてるわけじゃないんだけどね。
早いうちに心を決めなくちゃ。
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