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人と神様の国取り合戦  作者: きりきりきりたんぽ
称号『復讐者』
71/125

称号 『勇者』

この話で2章完です。

 光が晴れると空には太陽が浮かんでいた。

それだけじゃない。星剣マサムネの姿もなくなっていた。

魔物の姿はもうどこにもなくなっていた。

怪我をしていたはずの冒険者たちは全快していた。

……僕は治っていなかったけど。


「……ゴハッ!?」


 代償が思ったよりも大きいな。血も大量に吐いた。

もう動けないぞ……。

 ……ああ、くそ。意識も遠くなってきた。




「いや、()()

代償はかなり大きいがそれでもいいならな。」


「あるの!?」


「ああ、これは正直あんまり教えたくはないが、仕方ないな。


お前の中にあるまだ目覚めていないものを無理やりたたき起こす。

簡単に言えば潜在能力だ。

今のお前ならギリギリ条件も満たしているだろう。」


「潜在能力?何それ?」


「ああ、鍛錬を続ければいつか使うことができるであろう能力だ。

しかも、お前のそれは創造魔法か……。私とも相性がいいな。」


「創造魔法?そんな魔法聞いたこともないんだけど。」


「当然だろう。いわゆる固有魔法というやつだ。お前以外に使いてはいない。

普通だと、ダンジョンを攻略した時に開放されるようになっているが、近道ができたみたいだな。」


 なるほど。でも問題は


「で、僕はそれが使えるの?それでブラッディ・ベアを倒せるの?」


 もっとも、使えるならたとえブラッディ・ベアを倒せないって言われても使うけどね。


「お前の能力だからな、もちろん使える。ブラッディ・ベアを倒せるかはお前が使いこなせるかによる。

使いこなすことができれば、勝つことは容易だろう。」


「使い方って教えてくれないの?」


「そんなのお前にしかわからない。ただ使い方はすぐにわかるはずだ。

皆がそうだったからな。」


「そっか。ありがとう。これで仇を討てるよ。」


「……代償については聞かないのか?」


 肩を軽くすくめながら答える。


「だって聞いても変わらないし。」


「そうか。

……ここに来たいときは心の中で私に呼びかけろ。そうすれば連れてきてやる。」


 マサムネはこれまでまったく表情を変えなかったけど、少しだけ歪んだ気がした。


「ありがとう。きっとまた来るよ。」





「……ハイヒール!ハイヒール!

どうして起きないんですか!?」


 声が遠くから聞こえる。でもそれに何かを返す余裕も、瞼を動かす余裕すらもない。


「…………まったく、何てことをしてるんだい?

いきなり神の気配を感じたから飛んで来たら、それをした人間が死にかけてるだなんて。」


「君はだれだ?どうして君のような子供がここにいるんだ?」


「はいはい、どいて。その少年には聞きたいことがあるから助けてあげるよ。」


「質問に答えろ。恩人に得体のしれないものを近づけるわけにはいかないな。」


「……ギルマス、いいです。通してあげてください。

私ではレオを助けられません。」


「……そうか。」


「恩人だっていうなら助けてあげないといけないでしょ。ちゃんと考えて。

っと、それはもういいからサクッと治しちゃうか。


―――精霊魔法 精霊の涙。」


 いきなり意識がたたき起こされた。

目を開けると右目は見えないのは変わらなかったけど、左目に光が入ってきた。


「……うっ。ここは、どこ?」


「レオッ!なんであんな無茶をしたんですか!?

いいえ、ブラッディ・ベアを倒すためであったんでしょうけど!?」


「ご、ごめん。」


「まあ、生きててよかったよ。これでようやく安心できる。」


「そうだな。結果だけ見れば大勝利だな。みんな生きてブラッディ・ベアを倒せたんだから。」


 感傷に浸りかけた時、


「……そろそろいいかな?君に聞きたいことがあるんだけど。」


そこに異質な存在があることに気づいた。

ぱっと見では緑色の髪の普通の少年だけど中身が全然違うことが直感でわかる。

一時的とはいえ神の属性を付与されていたからか、余計にその異質さが際立って見える。


「……あなたは神というものなの?」


「いや、少し違う。でもそれが直感でわかるっていうことは……、君マサムネに会ったね?

君の両手剣のスキルはレベルMAXだもんね。会っててもおかしくない。」


 これは、どう返答したらいいんだ?

マサムネは僕にとって恩人だからもし敵なら売れない。


「……だとしたら、なんだと?」


「警戒しなくていいよ。僕と彼女は同じ側だから。

でもそうか、あの能面剣姫が一人に手心を加えたのか。

君は普通にすごいやつだよ。」


「……そうなんだ?」


「そうだよ。

じゃあ用事も終わったし、僕は帰ろうかな。

……ああ、さっき使ってたやつは多分今は使えなくなっているはずだけど、ダンジョンをクリアしたらまた使えるようになるはずだよ。

あと、代償を消してあげたけど次はないから気を付けてね。」


 そう言い残し、その少年は消えていった。



「さあ、レオも起きたことだし、街に帰って宴会だぁー!!」


「「「「「おお――!!!」」」」」



 レオの冒険者カードに新しい称号がついているのに気づいたのは翌日の朝のことだった。


名前 レオ

種族 人

LV 39


~~~~~~~~~~


称号 『勇者』『剣の道を切り開くもの』『魔の道を進むもの』『復讐者』


 そして勇者を鑑定してみると、


『勇者

 絶望に立ち向かい、諸人に希望をもたらしたものの与えられる称号。

 そのものの心を折ることは何人たりともできない。

 たとえ世界が、神が、敵に回ったとしても。


 効果……スキル『神聖魔法 LV1』『裁定 LVMAX』を得る。また、全ての状態異常を無効化する。』


面白かったら是非ブックマーク登録と評価をお願いします。


3章はダンジョン攻略にする予定です。

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