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人と神様の国取り合戦  作者: きりきりきりたんぽ
称号『復讐者』
70/125

決戦の時 その9

今回も長いです。

 シャララーン。


 目の前には道場が広がっていた。

かなり年期が入っているようで、それでも古臭いというイメージを与えさえないという絶妙な雰囲気を醸し出している。

剣による傷がいたるところにあるのもどことなく風情を感じさせる。


「ここは……?」


「ここはすべての剣士が目指す一つの到達点。

 端的に言うと剣のスキルが一つ以上レベルMAXに至ったということだ。」


 声のした方を見てみると、そこには白髪赤目の少女が立っていた。

年齢は12歳ほどだが、真っ白い肌と髪の中で少し釣り目の赤い目が映えている。

着ている服も見たことがないほど複雑な形状をしているが、そこからのぞかせる手足は妖艶さも感じさせる。

見た目通りの年齢ではないことは明らかだろう。


「私は剣の道の管理者、マサムネだ。」




「で、今はどういった状況なので?」


「お前の剣のスキルがレベルMAXになったから、こちらに招待できるようになった。

いつでも呼び出せたが、死にかけていたのでこちらに呼び寄せたということよ。

こちらに来れる資格があるものは最近少ないからな。」


「いや、だからブラッディ・ベアとかの方。」


「……口調は改めないのか。

まあいいだろう。あちらの時間は今止まっている。

だから、お前が吹き飛ばされてから時間は変わってない。

つまり、ブラッディ・ベアとやらはまだ生きているということだな。」


「口調はほっといてください。」


 なるほど。っていうことは少し安心できるかな。

いや、でももう心身統合時間切れだろうし、もう一回は使えなさそう。

っていうことは倒す手段がなくなったと?


「お前は何か私に聞きたいこととかはないのか?」


「え?あるけど答えてくれるの?」


「かまわない。当然だが答えられないのも存在するがな。」


「じゃあ、さっき剣聖技?っていうのを使ったこともないのに使えたんだけど、あれってどういうこと?」


 確か、剣聖技 夢幻一閃とかって言ってたはずだし。

あんなの使ったことないんだけど、確かに体が動いたんだよね。


「あれは私が少しだけ剣を動かしてやっただけだ。

お前もすぐに使えるようになるだろう。」


「そんなことができるの?剣を動かすとか。」


「称号に剣の道とあっただろう?不思議に思わなかったか?

何故道なのかと。それ以外にも表現の仕方があるのではないかと。」


 そんなこと考えたことなかったよ。


「……剣は道と在り方が同じだ。

一人の人間が剣を振るのは道を歩くのと同義であり、必ずどこかにつながっている。

途中の到達点であるこここそ共通だが、それ以外の所では交差したり、離れて行ったりを繰り返している。交差しているときは互いに影響を与えあうことができる。

だからここに近いところを歩いていれば、私も影響を与えやすいということだ。

お前は私が実際に剣を動かせるほど近くを歩いていたということだ。」


 なるほど……。

今普通に心を読まれた気がする。


「そんなことはしてない。」


「してるじゃん!」


「お前は顔に出やすいだけだ。」


 ……そういわれると否定はできないかも。

いやその前に聞きたいことがあるんだった。


「剣聖技でブラッディ・ベアを倒せる?」


「……難しいだろうな。あれには少し神の気配も感じる。

殺しきるにはお前もそれが必要になるだろう。

もしくは先ほどのように威力が高ければ何とかなるかもな。」


「神?ってこの世界を作ったっていう?」


「そうだろう。

だが、それ以外の神を私は知らないからあるいはあるかもしれん。」


「でももうさっきにはできないんだけど……。」


「知っている。見ていたからな。」


「じゃあ、もう方法はないの?」


 だとしたら皆殺しにされるな。

うーん。やばいな。


「いや、()()

代償はかなり大きいがそれでもいいならな。」






 ふう、戻ってきた。

でも、体はすごいことになってるな。左腕はもう完全になくなっちゃってるし右目も潰れてる。

お?まだ心身統合がギリギリ残ってる。


『いいな。ちゃんと言った通りに声を出すんだぞ。』


ーーわかってるよ。でもその前に。


 アリスがブラッディ・ベアに立ち向かってるのが見えた。

凄いな。僕が同じ立場だったら立てるかわからないぞ。冷静さは『復讐者』のおかげだし。


「――バーニングフレア。」


 突如アリスが突き刺した短剣から光が漏れた。

あのブラッディ・ベアの様子からダメージになったのかな。

でもまずそうだから助けますか。


 っ!?何だ!?これは、アリスの声!?

そう、でも


「それは直接教えてよ。あいつを倒した後でね。」


ブラッディベアを蹴り飛ばした。

アリスは意識を失ってしまったみたいだ。誰かに預けようにも人がいない。

アントン達はオークと戦ってるし。……うわ、あれやばそう。


「マダイキテイタノカ!?ダッタラゼンリョクデオマエヲコロシテヤロウ!

グルアァァァッ!」


 ブラッディ・ベアに向かってオークが4体ほど走り出した。

そして、そのオークたちの()()()()()()


「グルアァァァッ、グルアァァァッ!!」


 あー、この感じレベルアップしたのか。

前と同じ感じがする。

でもまあ大丈夫かな。


――マサムネ様。お願い。


『では行くぞ。』


『「それは誰もが夢想する幻想の剣。万物を斬り、万物を斬らぬ最古の星剣。

ここに来たれ、創造魔法 星剣マサムネ!」』


 え?マサムネってあの人の名前じゃん。

そう思ったけど、足元に円や三角形が複雑に組み合わさった何かが広がった。

そして、それが中心に集まっていき剣を形作るように組みあがっていく。

円や三角形が動かなくなった瞬間、直視出来合い程強く輝いた。


 目を開けると、僕の手には一振りの剣が収まっていた。

片刃で、少し反りがあるが、見ているだけで惚れ惚れするほどの剣だ。


『それは私が打った剣のうちの一振りだ。それの所有者には神の属性が付与される。

 時間制限付きだが、今ならそれも倒せるはずだ。使いこなしてみろ。』


――はい。


 持っただけですごい全能感だ。ここら辺一帯を目で見なくても何があるのかわかる。

それこそ、ブラッディ・ベアやオークだけでなく草木の一本一本までも正確に把握できる。

魔力感知とはまた一線を画すほどの感知力。

これが神の領域。


「デハ、イクゾ。」


「ここで仇は討たせてもらう。」


 星剣マサムネから目を離すと、そこには二回りほど大きくなっているブラッディ・ベアが立っていた。

軽く鑑定してみると、ステータスがすごいことになっていた。


名称 ブラッディ・ベア

LV 51

HP 2106/2106

MP 2094/2094

SP 1020/1020

攻撃力 1200

魔法力 0

物防力 0

魔防力 0

回避力 1700


スキル『再生 LV7』『魔物支配 LVMAX』『ステータス変換 LVMAX』『魔境生成 LV1』

称号『魔王』『神の眷属』


 ブラッディ・ベアが大きく足を踏み込んだ。僕は剣を構えてそれに応えた。


「グルアァァァッ!!」


 僕の方にとてつもない速さで飛んできた。それと同時に右腕を振りかぶった。

まったく、攻撃はワンパターンしかないのか?

……いや、この感じは右腕はブラフだな。左腕の方に右腕以上の力がこもっている。

だったら、どちらも斬っちゃえばいいか。


 小さく一歩下がって右腕を躱しそのまま上段から振り下ろし、右腕を切断した。

でもそれは予想のうちだったようで、特に反応を示さずに左腕を振るってきた。

体のひねりも入ってるから威力はとんでもないことになってるだろうな。

まあ、それも当たらないんだけど。

今度は大きく一歩下がって左腕を躱した。


バァン!!


 空ぶったのに、ものすごい音がした。

その左腕を返す剣で斬り落とした。


「グルアァァァッ!?」


 どちらも斬り落とさるとは思っていなかったのか、叫びながら両腕から血を流しながら後ろに大きく飛んだ。

 でも逃げてもしょうがないんだけどね。


「神域生成 神々の運命(ラグナロク)。」


 ブラッディ・ベアによって作られた夜が壊れ、空は夕暮れ時のまだ赤さが残る空に変わった。

しかし、ただの夕暮れ時ではなくその場に満ちる空気からも神の属性を感じる。

……最初にかなりのエネルギーが抜けた気がするけど、それ以上抜けない?

っていうことは最初に出したものを循環させているのか?

これは魔力放射の方にも使えそうかな。


「ナ、ナンナノダ、コレハ!?ナゼココマデ、ノウミツナカミノチカラガ!?

ソレニ、キサマモダ!ヒトノミデアリナガラカミノケハイヲハナツナド、アリエヌ!!」


「……どうでもいいよ。もう終わりにしよう。

―――星剣、共鳴。

ここに運命の裁定を。フェイタル・ジャッジメント。」


 星剣マサムネの中に光が集まっていく。5秒ほどで限界まで集まった。

その瞬間剣から光が周囲に放たれた。


「グオアァァァ…………。」


 光に飲み込まれたブラッディ・ベアから苦悶の声が聞こえた。

オークも冒険者も、みんなまとめて光が飲み込んでいく。

叫び声がたくさん聞こえてくるけど安心してほしいな。

魔物かそれに類するものにしかこれは効かないから。

そして、神域を光が満たしきった。

面白かったら是非ブックマーク登録と評価をお願いします。


次回2章最終回です。

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