決戦の時 その4
ポーションを一気に2本飲みこんだ。
すると、折れていたはずの左腕が思ったように動いた。
何回かこの体験したけど、やっぱり不思議だな。
ってそんなことはどうでもいいから早く動かないと。
アントンが今一人でさばいてるし。
ブラッディ・ベアの攻撃を受けて少し離れたところで合流した。
「ごめん!戻った。」
「おう。気にすんな。二人で抑えるぞ!」
ブラッディ・ベアはまだ本調子じゃないのか、思ったよりも動きも早くないのがよかったな。
でもすぐに突進してきた。
って、なんで右腕動いてるんだよ!?確かに斬ったぞ!?
もう一回やってみるか。
ドンッ!
また来た。ブラッディ・ベアの右腕をアントンが盾で受けて、また後ろに飛ばされた。
また隙ができたからもう一回斬るっ!
「はぁっ!」
ザシュッ!
うん、確かに斬れてる。でも、このままだったら……、左腕が飛んでくるよねっ!
ブオンッ!
何とか、後ろに飛んで回避した。魔力放射と感知のレベルが上がったおかげだな。
よし、いけそう。これを繰り返せば、少しづつでも削りきれるかな。
ズズズッ!
……は?なんで右腕がもう引っ付いてんの?
まさか、……。
ドンッ!
やばっ!
そう思った時にはもう目の前に右腕が見えていた。
ああ、しょうがないな。さっきと同じように、剣で受けた。
と同時に大きく後ろに飛んだ。
ゴロゴロ……。
何とか受け切ったな。うまい具合に横になれたのもよかった。両腕折れてるけど。
ゴホッ、ゴホッ!
ああ、さっきよりも大量の血が出た。HPも結構ギリギリだな。
これはハイポーションを飲んだ方がいいな。
ゴクゴク。
うえぇぇ!めっちゃまずっ!なんだこれ!?
HPは回復したし両腕も治ったけど!
もう二度と飲まん、こんなの。
じゃ、なくて急がないと。
戻る途中でシズクを見るとまだ魔法が完成していないっぽかった。
もう少し時間稼がないと。
ってアントンもHPやばいじゃん。ポーション飲めよ。
でもそんな余裕ないか。
じゃあ、一人で時間稼ぎますか。
「アントン、ポーション飲んで!」
「!?おう!少し任せた!」
その時、ヒカリの声が響いた。
「支援魔法 オールブレッシング!」
ヒカリから僕達一人一人に魔法が飛んできた。
それが当たると同時に感覚強化も発動した。
体がすごい軽くなって、視界が少しゆっくりになったような感覚がした。
多分魔力放射と感知も重なってこんな感じになってるんだろうな。
ドンッ!
同じようにブラッディ・ベアが右腕で攻撃してきた。
でも今はしっかりその動きを捕えられている。最小限の動きで躱して、右腕を切り裂いた。
そしてまた同じように左腕でも攻撃してきたので、それも回避して左腕も切り裂いた。
そのままの勢いで首筋も切りつけた。
「グルアァァァッ!!」
すると危機感を感じたのか、大きく咆哮を上げながら後退した。
でも何とかつけた傷もすぐに癒えていく。
鑑定するなら今のうちだな。
「撃てそうだったらすぐに撃って、シズク!」
一声かけてから検定をした。すると、
名称 ブラッディ・ベア
基本情報
LV ??
HP ??
MP ??
SP ??
攻撃力 ??
魔法力 ??
物防力 ??
魔防力 ??
回避力 ??
スキル ??
称号 ??
個体情報
LV 48
HP 1038/1038
MP 923/1032
SP 823/1045
攻撃力 845
魔法力 0
物防力 452
魔防力 356
回避力 205
スキル 『再生 LV5』『?? LV?』『?? LV?』『?? LV?』
称号 『魔王』『使役されるもの』
……なんだ、これ?削りきれるか?
しかもステータスがめちゃめちゃ高いだけじゃなく、スキルも称号も持ってる。
これはシズクの魔法次第だな。
「グルオォォォッ!」
おっ!明らかに僕に敵意を持ってるな。っていうことはこれで攻撃を集中させることができる。
ドンッ!
さっきよりも速いな。でもまだ、何とかなる速さだ。
またさっきと同じように躱して、両腕を切り裂いた。
でもこんなんじゃダメなんだよな。
アントンは、……もう少しだけかかりそうかな。
だったら、もうちょっとだけ頑張りますか。そろそろ使うのを控えたいけど。
ドンッ!
また来た。って、あれ?これって蹴りじゃね?
そう認識してすぐに真上にジャンプして回避した。
そして落下の勢いも利用して、全力で首筋を斬った。
ズシャッ!
結構深く斬れた。でもこれじゃ、すぐに治る。
咄嗟に切りつけた場所めがけてファイヤーボールを撃った。
「ウグオオォォォッ!?」
かなり痛かったみたいで、その場で暴れている。なんか毛に火もついてるし。
暴れているブラッディ・ベアの腕とかが当たったらまずいので、すぐに距離を取って感覚強化を切る。
危なかった。あと少しでもう一回使うことができなくなるほど消耗する頃だった。
この感じだともう1回ぐらいなら使えそうかな。
「よくやった。これからは二人で抑えるぞ。」
「うん。」
「それと、シズクの魔法が完成したようだ。」
「え?」
パッとシズクの方を見ると頭上にかなり大きな炎の槍が見えた。
「よーし、行くよ!
ファイヤーランス・10重、改め万物を燃やす槍!」
シズクが杖を振り下ろすと同時にそれが放たれた。
面白かったら、是非ブックマーク登録と評価をお願いします。




