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人と神様の国取り合戦  作者: きりきりきりたんぽ
称号『復讐者』
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決戦の時 その2

 アナさんにギルドの裏口から送り出されてから、すぐに街の西門に向かった。

普段であれば、もっと人がたくさんいたはずの道も今はほとんどだれもいない。

多分みんな家の中かほかの門から離れたところに避難しているのだろう。


「すいません、お願いします。」


 アントンが4人分の冒険者カードを衛兵さん渡した。


「はいはい。

……Dランク以上の冒険者はギルドに招集されているはずでは?」


「僕達はギルマスと領主様に依頼されて、先に出ることになっているんです。」


「なるほど……。少々お待ちを。」


 衛兵さんが奥にある魔道具に冒険者カードを入れた。

そして、すぐに戻ってきた。


「確認できました。

通っていいいですよ。でも、気を付けてくださいね。魔物の大群が押し寄せてきてますから。」


「ありがとうございます。」


 街の外に出れた。

でもおかしいな。どうして言ったことが正しいってわかったんだろ?

冒険者カードは最近ギルマスはもちろん領主様にも渡してないのに。

まあ、それは後ででいいか。


「さあ、行くぞ。」


 アントンの声で僕達はあまりにも静かすぎる草原を歩き始めた。



「さて、あれと遭遇する前にどうやって戦うか決めておこうか。」


「僕とアントンが前に出て、後ろからヒカリとシズクが魔法で攻撃って感じでいいんじゃないの?」


「その前に見つける前のことの方が重要じゃないですか?

実際、すぐに見つけられるとは限らないですし。」


「ああ、それなら考えてあるぞ。

っていうか、オークロードの死体と引き換えた時にもらった魔道具なんだけどな。

魔物の大群が見えてきたら、この香水みたいなのをかけるぞ。」


 アイテム袋からポーションみたいな何かをアントンが取り出した。

でもポーションにしては少し赤い。


「へぇー、それでどうなるの?」


「かけたら一定時間魔物が近寄ってこなくなるらしい。

だから、これは魔物除けっていうんだとさ。

この効果が消えるまでにブラッディ・ベアは見つかるだろうよ。」


「なら、ブラッディ・ベアとの戦闘だけを考えればいいね。

私はいつだったかは忘れちゃったけど、酒場で教えてもらった魔法を使いたいんだよね。

少し時間がかかっちゃうと思うけど、威力は結構強いよ。」


「そうだったんですか。なら私は支援魔法と回復魔法に専念した方がよさそうですね。」


「となると、俺とレオで時間を稼ぎながら少し削っていって、シズクの魔法で大ダメージを狙う。その間ヒカリは俺たちに支援魔法と回復魔法で援護って感じになるか。」


「でも、攻撃って集中しますかね?多分シズクが魔法で攻撃したら、攻撃がシズクに向くと思うんですが。」


「確かに……。」


 確かに。普通攻撃してきた相手を攻撃するよな。

どうしようか。


「あ……。

そろそろ来たんじゃないですか?足音もすごいですし。」


ドコドコドコドコ………。


 確かに前の方から振動と足音が聞こえてきた。

凄いな。普段だったら地震と勘違いしてしまいそうなほどで、これだけで戦意喪失しそうだ。

誰も地震には勝てないし。特にEランク冒険者とかだと姿を見る前に腰を抜かしそうだ。

大丈夫かな。勝ったけど街がなくなっていたなんて言うことは避けてほしいな。


「よし、じゃあ今のうちに使っておくか。」


キュポン!


……なんだこの間抜けな音は。

気にする必要はないとわかっていてもなんか気になるこの感じ。


「確か頭に少し振りかける感じに使えって言ってたな。

ええと、……こんな感じか?」


 アントンが自分の頭の上でそのポーションみたいな見た目の魔物除けを振りかけた。


「よし、お前たちもかけておけ。」


3人とも頭から振りかけた。

うーん、なんか匂いはしないけど少しネチャっとしてるな。できればあんまりかけたくないな。


「……一応、戦える準備はしておくぞ。

あと鑑定はするな。領主様が言ってたからな、一応しないほうがいいだろう。」


 確かにそういうこと言ってたなあ。

確か鑑定された方はされてるってわかるんだっけ。

領主様に見られた時もすごい変な感じがしたし。

……あれ?これって使えるんじゃない?


しばらくすると、オークの大群の姿が見えてきた。

おお……。これは、やばそうじゃない?

軽く見ても200体以上はいるんだけど。

でもオーク以外の魔物はあまりいない?……いやまったくいないぞ?

これまたどうなってるんだ?


「……そろそろだな。

気を引き締めろよ。」


 アントンの言葉に首肯で答えて、体勢を整える。

剣を抜き、杖を構え、盾を向ける。


 そしてオークの大群が目の前に来て、すわ戦いかと思ったその時、僕達の目の前できれいに二手に分かれた。

ドコドコドコドコ……。

さっきよりも大きい振動と音が僕達の隣を通り過ぎていく。

……なんか不思議な体験をしているような気がする。


 10秒ほどで、オークの波をやり過ごすことができた。

うん、途中で考えを改めなくてはいけなくなった。

アレは大群ではなく波のほうが正しい。

アレが通った後は草原の植物とかが踏みつぶされて、ただの平地に変わっちゃってるし。

……いや本当にやばくない、あれ。オークの波だけで街が潰れそうなんだけど。


「……急ぐぞ。これはさっさと倒しに行かないと街がまずそうだ。

指揮個体さえ、ブラッディ・ベアさえ倒せてしまえば、まだ何とかなるだろうしな。」


 オークの波を後ろから眺めているとアントンが声をかけてきた。


「……うん、そうだね。」


 そして、その数分後アナさんにもらった魔道具が震え、近くに魔王種以上の魔物がいることを知らせてきた。

面白かったら、是非ブックマーク登録と評価をお願いします。


次回、ブラッディ・ベアと戦闘開始です。


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