な、なんだってー!?
「えっと?どういうことですか?
このオーク倒した時は普通のオークみたいな体型だったんですが。」
あれ?誰も答えてくれないぞ。
みんななんか固まってるし。
「アナさーん、おーい。」
「はっ!?すいませんボーっとしてました。
えっとですね、これはただのオークではなく、群れの長ですね。
またはギルドではほかの群れの長と区別するためにオークロードと呼んでいます。」
「「「「え?」」」」
オークロード?
オークの王様ってこと?
だとしたらなんでそんな危険な魔物があんな街の近くにいたんだ?
「その特徴は、異常なステータス上昇にあります。
だいたい弱くても攻撃力は700を超えています。防御力も軒並み高く、こちらの攻撃がほとんど入りません。
しかし、もちろん代償があってその間は少しずつHPが減っていくということです。
なので基本的に、盾役の冒険者がHPポーションをたくさん使って耐久戦の末に討伐されます。
もちろん、ステータス上昇後の防御力相手に攻撃が通るほどの攻撃力を持っている高ランクの冒険者は普通に倒せるようですが、だいたいBランク以上になります。
ソロでCランクの実力があっても荷が重いでしょう。」
「なるほど……。」
「そして、この魔物は死後、脂肪分が蒸発してこのように小さくなります。
素材としてはダンジョン産を除くとかなり高位なものになります。
丸々売ったらだいたい金貨4,5枚になります。
まあ、贅沢をしなければこれからの生活は困らないでしょうね。」
「そ、そんなにですか?」
「そうですね。ここまできれいな死体は見たことがありませんよ。
お肉は食用にすれば、最高級品になります。
内臓はハイポーションの素材になります。中には最高級のマスターポーションの素材にもなるらしいです。
骨は武具に、皮は防具になります。どちらもダンジョン産を除くと最高級品になります。」
「……。」
なんか理解が追い付かないな。アントンも固まっちゃったし。
まずポーションってなんだ?
売ったら金貨ってのもおかしくないか?
金貨って確か銀貨10枚と同じだよね。まだ銀貨すら持ったことないんだけど。
僕達はみんな固まっていた。でも周りはそうでもないらしく
「「「「「うおおぉぉぉぉーー!!!!」」」」」
「やりやがったぜ!あんな新人がよ!」
「そうだな!ありゃめちゃくちゃ強くなるぞ!期待の星だ!」
「でも俺たちできなかったんだけどな!畜生!今日は飲むしかないぜ!!」
「お前はあれがなくても飲むだろうが!」
「言えてるな!わはははは!酒が進むぜ!」
「それよりも売るのかしら。売るなら食べてみたいわ。」
「そうだな。滅多にないからな。」
「今からでも、パーティーの勧誘行ってみるか?」
「ムリムリ!あのパーティーはもう完璧でしょ。前衛のタンクにアタッカー、後衛のアタッカーとサポーターってもう崩す理由がないしな。」
「そうだ!お前たちもこっちに飯食おうぜ!」
「そうよ。今日ぐらいしかこんな冒険者が集まることはないでしょうね。」
めちゃくちゃ騒いでいる。で、なぜか最後の方のは僕達に呼びかけていると。
「……なんか誘われてない?」
「そうだな。一応悪意は感じないし、行ってもいいとは思うぞ。」
「行った方がいいでしょうね。これからも依頼で一緒になることも多いでしょうし。」
「だよねー。仕方ないんじゃない?」
「じゃあ、行くか。」
「お酒は飲まないでくださいね。まだ成人してないので。」
アナさんの忠告を聞いてから、酒場に入ると
「おー、来た来た!こっち来い、真ん中の方にな!主役はお前たちだ!」
「そうそう!いろいろ話聞かせてよ!」
「もちろん俺たちも聞かれたことは話すぜ!」
と酒場の真ん中まで通された。ご丁寧にも椅子まで4人分空けてくれた。
ここまでされたらそこに座るしかないよね。
できればあんまり目立ちたくなかったんだけど。
それに目の前に座ってるお姉さんたちの服装がきわどい…。
「今日は全部ギルドがお金出してくれるからね。好きに食べて飲んでいっちゃって!」
「ありがとうございます。」
「どんな感じに戦ってたんだ?あんな化け物と。」
「レオと俺で時間を稼ぎながら、シズクの魔法で削っていきました。
最後はレオが首を剣で突き刺して止めを刺しましたね。」
「もー、そんなかしこまらないで。もっとくだけだ感じでいいから。ね?」
「え?分かりました、じゃなくて分かったよ。」
「うん、そうそう。それと3人も喋って喋って。」
え?こっちにも飛んできた?
ど、どうしよう?こういう時はアントン任せなんだけど。
「アントン。ちょっとこっちに来てください。このオークロードをどうするか話しましょう。」
「あ、わかりました。ちょっと行ってくる。」
「え?ちょっ……。」
「はーい、3人はお姉さんたちと話そうか。」
「ま、まじか。」
そうして、僕達は3人組につかまった。
僕の前に座っていて剣を持ってる女性がエマさん。赤い髪を短くそろえている。
杖を持ってる二人がアリアさんとミラさん。
アリアさんは緑色の長い髪をそのまま伸ばしている。ミラさんは桃色の髪をポニーテールにしている。
3人ともかなり服を着崩していて、目のやり場に困ってしまう。それに多分酔ってる。
こういう時どうすればいいんだ?
「ん?少年、確かレオだっけ?どこ見てるのかな?」
「どこも見てないけど?」
ちなみに本当にどこも見ていない。だって目を合わせてるんだもん。
「そっかー、レオもそういう年なの?気になっちゃうの?」
「いやだから、何に?」
「ちょっとだけ、脱いであげようか?」
「は?」
「しょうがな「バカ!」痛っ!」
エマさんが杖でひっぱたかれた。一回り背が小さい少女に。
……いやほんと怖かった。話通じないとかほんとやめてくれ。
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