初めてのオーク戦 その1
今回は短めです。
「今日はイーサンさんに言われた通りに西側に来たわけだが…。
情報は集めたか?」
昨日とは反対側の西側に出てきた。
東側よりも少し緑が少ないな。その方が動きやすいからいいけど。
でもこっち側には小さい道はあるけど、街道みたいな大きい整備された道はないな。
「前行ったときに少しは見たけど、それだけかな。
でも、今日はそこまで深くまで行かないから大丈夫じゃない?」
「そうだよ。
私たちなら大丈夫でしょ。一体だけを狙えば負けないと思うんだけど。」
「そうですね。
一体を狙うことができれば安全でしょうね。
……オークは集団行動してることが多いんですけどね(ボソッ)」
「じゃあ、行くか。」
「ねえ、なんか数多くない?」
「……そうだな。」
大き目な道を少したどってみると、すぐにオークの姿を見つけた。
5体で一緒に行動している。
幸運なことに何かを食べているのかずっと地面の方を見ていて、こっちには見向きもしない。
「どうする?奇襲仕掛けちゃう?
いつでも魔法なら撃てるけど。」
「今のうちに支援魔法もかけておきますね。」
僕達の体がうっすらと様々な色に光った。
「さて、じゃあまずシズクが全力で魔法をやつらの中心に打ち込む。
そこからは俺が近いやつの攻撃を受けてそこをレオが攻撃。
シズクとヒカリは遠いほうの敵から魔法で攻撃って感じにするか。」
「「「了解。」」」
「じゃあ、早速やっちゃうよ。
……できた。火属性魔法 ファイヤーランス・5連!」
手をまっすぐ上にあげているシズクのさらにその上に5本の火でできた槍が浮かび上がった。
「行けーっ!」
シズクが手を振り下ろすと同時に火の槍がオークに向かって真っすぐ飛んで行って、……
当たった!
「「「「「ブモオォォォォ!?!?!?」」」」」
当たった瞬間こちらを5匹が同時に見てきた。
明らかに大けがっぽいけど、普通に目には敵意が浮かんでる。
だって5匹中2匹はお腹に当たったのかそこが焦げてるんだもん。
これはもう勝ったかな。とか思ってたら、驚くような行動をオークが起こした。
「「た、立った!?」」
僕とシズクの声が上がった。
そうオークは5匹とも二足歩行でこっちに向かって走ってきているのだ。
しかもでかい。なんか2メートルくらいありそう。
「オークは2足歩行だろ?
なんでそんな驚いてんだ、って、……ああ、お前らまた知らなかったのか。
って話はあとだ。来るぞ!」
一番前のオークは結構近くまで走ってきていた。
「ファイヤーボール・連撃。」
「ウォーターランス!」
ヒカリとシズクが魔法を後ろの方に向かって撃つ。
それを見届けてから、
「レオ、今だッ!」
アントンが殴ろうと前足を振り下ろしたオークの前足を盾で受け流した。
その結果体勢を崩して、首が十分狙える高さまで落ちているオークの出来上がり。
オークの首を身体強化を武器強化全開で全力で切りつけた。
ザシュッ!
斬れた。けど、まだ浅いな。
「ブモオォォォォ!!」
首から血を流したオークがその目に敵意だけじゃなく殺気も込めてにらんできた。
これはもう少し時間がかかるかな。
「アントンっ。時間稼ぎ頼む!」
目ではオークを見ながら、アントンに声をかける。
「っ!おう、任せろ。」
こちらをちらっと見ただけで状況を把握したアントンが返事を返してくれる。
あっちは3人いれば大丈夫かな。
そこから僕対オークの戦いが始まった。
魔力放射と魔力感知も総動員させて、目だけでなく魔力からも相手の動きを把握する。
ちなみに感覚強化は使っていない。
……動きが素早いな。
前足の攻撃も後ろ足の蹴りも、どちらも躱したり受け流したりするのでやっとだ。
でも首の傷は浅くはないはずだからすぐに動きもゆっくりになるはず。
それまでは耐えることを考えよう。
……ん?だんだん動きが目で見えるようになってきたぞ。そろそろ反撃を始めるか。
右前足の攻撃は体を後ろに引いてギリギリで躱して、オークの右肩あたりを斬りつける。
結構深く斬れたな。
ってことはもう右前足の攻撃はない。
そして多分この体勢からは、
後ろ脚の蹴りが飛んでくるっ!
ジャンプしてオークが蹴りをする前に回避する。
実際にオークが蹴りをしてきた時には、すでに僕はオークの首筋近くまでジャンプで飛んでいた。
思いっきりからぶったオークの目は驚きで見開かれていた。
「ふっ!」
ザシュッ!
空中で剣を振るのは初めてだったから、うまくいくかどうかはわからなかったけどうまく斬れたみたいだ。
少し離れると、頭を失ったオークの体がどしんと音を立てて倒れた。
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