やりすぎちゃってた…(後悔)
「「「すんませんっした!!!」」」
いやいや、どうしたんだこいつら。
さっきまで人の幼馴染を奪おうとしたただのクソ野郎だったじゃん。
なんだ、もしかして……
「いや、私何もやってないよ!?」
「ほんとに?シズクさっきお手玉みたいにしてたじゃん。」
「それを言ったら、レオだってアレに向かって剣を振ってたじゃん!」
「それは無理があるでしょ。剣を振っても当たらなかったら攻撃できないじゃん。」
「うっ!」
ふう、論破してしまったか。
「はあ、お前たちひどくないか?本人の話はちゃんと聞かなきゃいけないだろ。
で、なにも弁明はないのか?」
イーサンさんが4人組に声をかける。
「付け加えるとしたら、俺たちが彼女たちをモノとして見てたってことと、二人から感じた殺意が強すぎて無意識のうちに武器を構えてたってことだな。」
「なるほど。……そんなに強かったのか。だったら、こっち側じゃなくてもいいんじゃないか?
まあいい、今後のことだがどうする?
ギルドに言えば、こいつらは相応な処分を受けるが。」
「言わなくっていんじゃない?なんか目立ちそうだし。」
「まあ、そうだな。俺たちとしてはこれ以上迷惑が掛からないなら、別にギルドに言う必要はないと思います。」
「そうか、助かる。こいつらはあと少しでCランクに上がれそうでな。うちのギルドのはCランク以上の冒険者はそこまで多くないから、少しでも多くいてほしいんだ。
で、お前たちもわかったな?次彼らに何かしたら俺がギルドに直接報告するからな。」
「もう、そんなことはしないさ。だって、この4人は俺たちよりもはるかに強いからな。
正直、年齢も考慮に入れると尊敬するレベルだから、もう悪がらみをするつもりはない。
でも、ギルド内にはまだ年齢が上だからって実力も上だと思ってる輩がいるから、そいつらには気をつけろよ。
もし望むなら、俺たちがその対処をしておくが。」
は?ほんとに、どうしたんだこいつら。それも4人とも僕の方見てるし。
なんか目が怖いんだけど。
なんで僕の方を見てるんだ?やったのはシズクのだろ?
って思ってシズクの方をちらっと見ると、我関せずといった感じで空を見上げていた。
……何してんだよ。
「……じゃあ、頼むよ。」
バンッ!
痛っ!まったく人の頭を普通に叩くなよな。
「頼むよ、じゃないだろ。
お願いします、だ。」
「……オネガイシマス。」
「はあ、じゃあお願いします。
でも目立ちたくはないので、……。」
「分かっている。4人にからもうとした冒険者はそれとなく止めておく、って感じにする。
それくらいできるよな?」
「「「もちろんだ!」」」
まったく、奇妙なことになったな。
今日はもう街に帰ることにした。
といっても、もともとそのつもりだったんだけどね。
でも明日からは西側に行くことになりそう。
帰り道でイーサンさんに西側に行ってみたらどうだって勧められたし。
確かにもうウサギ肉は量が少ないから変えようとしてたけどね。
西側にはオークっていうブタの魔物がたくさんいるみたい。
どんな感じなのかな?明日が楽しみだな。
そういえば、あの4人組の名前聞いたんだけど、確かリーダー格の剣を斬っちゃった人がテオドールって言ってたな。
それ以外のメンバーは覚えてないな。あとでアントンに聞いておこうかな。
街に帰っていつも通りおばちゃんの所に行って、魔力放射と魔力感知だけで庭掃除を終わらせた。
今日はいつもよりも量が少なかったような気がする。
それとも、魔力感知の精度が上がってきたのかな。
そして、孤児院に帰ってきた。
そして、トワ達につかまった。
そして、トワ達と一緒に裏庭で修行してる。
何故?
「あ、今日はもう終わったの?」
「うん、終わったよ。」
「じゃあ、私たちにも教えてくれない?剣とか魔法の使い方。」
「え?いや、……。」
「いいよね?」
「あの、……。」
「いいよね?」
「……いいよ。」
「じゃあ、シャロたちと裏庭行って待ってるね。
なるべく早く来てね。」
「あ、うん。」
いや、確かにトワは押しが強かったような気がするけど、シャーロット達も?
ってことはジャックとルークも?
まあ、いいか。アントンの説教の時間が減るかもしれないし。
裏庭に行くと、4人が木剣を持って待っていた。
「じゃあ、まずは剣を振ってみな。」
「「「「分かった!」」」」
トワはピンクの長い髪を後ろにまとめて動きやすい恰好をしている。
……うん、型も力の入れ方もあってるけど、まだブレがあるな。
シャーロットはクリーム色の短い髪を振り乱しながら、剣を振っている。
……力みすぎかな。
ジャックは剣を振るたびに、彼の紫の髪が少し揺れる。
……型はいいんだけど、力があんまり入ってないかな。
ルークは一回一回意識して振ってるな。髪は黒いからあんまり目立たないな。
……意識はちゃんとできてるっぽいけど、まだまだかな。
……なんでこんな髪に注目してるんだ、僕は。
「よし、やめ。」
ピタッ。
「トワはこれからも続けていれば、大丈夫。
シャーロットはもっと力を抜いてやってみな。
ジャックはその逆でもう少し力を入れて。
ルークはもう少し、型の復習から。
って言っても難しいか。少し説明しながら振るから見てみて。」
ジークさんとアナさんに教えてもらったことをそのまま教えながら、剣を振る。
「こんな感じにやってみて。」
「何やってんだ?」
ひと段落ついたくらいのタイミングで、アントン達が帰ってきた。
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