ま、まじか!?
おばちゃんの所から帰った後はもう魔力がそこまで残っていなかったから、魔力循環とか剣の素振りとか魔力をほとんど使わないで済むことしかできなかった。
アントン達は、身体強化魔法の練習とかしてたけど…、
しおりの中にある暗号を見えるようにならないかなー、とか考えながら眺めていたら、突然思いついた。
そうだ、魔力切れに慣れていれば、魔物と戦う時に魔力を全部使い切ることができるんじゃないか、と。
じゃあ、早速やってみるか。それにそろそろ魔法の方にも少しだけ手を出してみようか、とか考えてたし。
空に、アナさんが撃ってたみたいなファイヤーボールを撃ってみる。
ボンッ!ボンッ!ボンッ!…ウエッ。
やばい、四分の一くらい残ってたはずなのに、3回撃ったらもう、魔力切れだ。
魔力が満タンだったとしても、12回ぐらいしか撃てないじゃん。
いや、待て。本題はそこじゃない。
この状態で普通に剣を振ることができるか、だ。
……やばい、立つのがやっとだ。この状態で戦うとか無理なんだけど。
慣れで何とかなるかな?
いや、とりあえず、剣を振ろう。剣筋と力の入れ方を意識すれば、いつも通り振れるはずだ。
「そろそろご飯の時間か。終わりにして戻るぞ。」
「えっ!?もうそんな時間?」
「あっという間でした。まだ身体強化がうまくいかないのに…。」
「そういえば二人はいつ頃魔法の練習をしてるんだ?」
「革職人のおばさんの所でたくさん使います。革を燃やさないように火力を調整するのが大変なんですよ。」
「そうだよね。少しでも強いと革が焦げちゃうから、調整するのが大変です。」
「そうなのか。俺も鍛冶屋のじーさんの所で力仕事や剣を振るのはしてるから、ここでは身体強化の練習がしっかりできる。」
「アントンも雑用の所で修行みたいなことができるんですか?ならレオもしてそうですね。」
「そうだね、ってレオは?いなくない?」
「…いや、あそこで剣を振ってるぞ。」
孤児院に近いところで剣を振ってるレオの後ろ姿をアントンが見つけた。
「…なんか、様子がおかしくないですか?全体的に力が入っていないというか…。」
「そうだね。どうしちゃったんだろ?レオは修行だからって力を抜くことはしないもんね。」
そんなことを話してるうちにレオが剣を振ってるところについた。
「レオ、大丈夫か?…ッ!おい、大丈夫か!?顔が真っ青だぞ!」
「う~ん、だいじょ、ぶ。魔力切れ、してる、だけ。」
「「「は!?」」」
「で、どうして魔力切れしてたのに、剣振ってたんだ?」
食堂に連れていかれ、夕飯を食べた後3人に問い詰められていた。
少し楽になってきたとはいえ、やっぱりまだ具合が悪いんだけどね。
「いやね、魔力切れしてる時にいつも通りに動けたらさ、戦いに魔力を全部使えるってことじゃん?
だから今のうちから慣れておこうかな、って思ったんだよ。」
「…なるほど。確かにそれは言えてますね。それができれば、倒せる魔物の数も増えますね。」
「それは、魔法使いのほうができた方がいいね。魔法以外に戦闘手段を持ってたとしても、魔力切れになってそれが使えなくなっちゃったら意味ないもんね。」
「じゃあ、時間を変えるか。例えば寝る前とかにやれば、魔力切れで動けなくなってももう寝るだけだから問題ないな。」
「「「そうしよう(ましょう)。」」」
寝る前に魔力切れまで魔力を使い切った後に普通に動けるようになる修行をすることになった。
……もうみんな寝ちゃったかな。
じゃあ、このしおりの中にある暗号を見てみようかな。せっかく満月で外が明るいんだし。
……できるようになる気配がないな。
おばちゃんはすぐにできるようになるって言ってたんだけどな。
でも、おばちゃんはいつもヒントはくれるけど答えをくれることはないんだよな。
これまでがそうだったし。
そうだとしたら、『鑑定』のスキル事態の方にカギがあるって感じだよな。
確か、ステータスとか、スキルを見れるようになるって言ってたな。
つまり、『鑑定』は冒険者カードに書かれている情報をすべて見えるようにするスキルなんじゃないか?
だとしたら、このしおりの情報を見ることを意識すればいいんじゃないか?
意識をしおりに集中させる。集中、集中、…。
「おっ!」
にらめっこして5分くらいたった時、頭の中に何かが浮かび上がってきた。
思わず声が出てしまった。
そう!とうとう、このしおりの情報を見ることができたのだ。
名称 幸運のしおり
所有者 レオ
種類 魔道具
耐久値 30
攻撃力 0
効果 所有者のHPが0になったとき、一度だけHPを半分回復させる。
また使用後この効果は失われる。
まじか…。
『鑑定』スキルも嬉しいけど、こっちもやばい。
これって、一回死んでも大丈夫ってこと?
でも、試すことはできないからもしもの時のために持っておくって感じかな。
まあ、おばちゃんがこれをくれたらだけどね。
もう寝よう。
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