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第45話:ビーチパラソルでの一幕

「これでよし……っと」


僕は須藤の叔母さんが貸してくれたビーチパラソルを砂浜に突き立てて出来た日陰に入り込んだ。

女性陣(?)はもう少し時間がかかるみたいだしのんびりと待つことにしますかね。


僕がごろごろと寝転がっている周囲には、僕らと同じように遊びに来た家族やらカップルやらが楽しそうに遊んでいる。

けっこう人多いなぁ……でも行楽シーズンだしこんなもんなのかな?


「誠一、お待たせ……」


お、来た来た。

僕は声のしたほうに目を向けると、恥ずかしそうに手で体を隠そうとしている詩遠と目が合った。

詩遠、さすがに手じゃ全く隠れないと思うよ?


「待ったってほど待ってないけどね」


「どう……かな?」


どう? どうって……銅? このビーチパラソルはたぶんスチールとかそんな感じのものであって断じて銅ではないとは思うよ。

あ、でもパラソルの部分は布製になるのか? だとするとビーチ部分がスチール?

スチール製のビーチ……う〜んシュールだ。


僕がはてなを浮かべていることに気がついたのか、少しじれたように詩遠は付け加えた。


「だからっ……水着、はどう? 似合ってる?」


「……ああ〜」


水着のことか、なるほどそういうことね。


改めて詩遠の水着に目を向ける。


……えーと、これってビキニって言うんだっけ?

淡いピンク色のそれは、プロポーションのいい詩遠にはとても似合っていた。


「うん、とても似合ってると……」


そこで僕ははた、と気がついた。

もしかして、詩遠が緊張していたのはこのことではなかろうか?

僕がはじめて見る水着だからきっと今年初めて買ったんだろう、今まで露出の少ないワンピースばかり身に着けていたから直前で恥ずかしくなったに違いない。

……おお、今回はかなりの推察能力ではなかろうか。


と、なれば僕のやるべきことはひとつ。


「詩遠」


ちょいちょいと手でおいでと伝える。


「なに?」


近づいてきた詩遠の頭にぽんと手を置いた。


「うん、よく似合ってるよ、可愛い可愛い、詩遠にあつらえたみたい、自信持っていいと思うよ」


なでなで


「あ、あううぅぅ……」


その後、須藤とハム子ちゃんが来るまで詩遠に自信が付くようにずっと褒め続けた。


詩遠がものすごい勢いで体中真っ赤になってたのが気になるけど……日焼けの前兆? でも僕ら日陰にいたしなぁ?

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