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ロドネア戦記、キーン・アービス -帝国の藩屏(はんぺい)-  作者: 山口遊子
第3章 王立軍学校3号生徒

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第34話 キーン、人馬を強化する2


 生徒たちを含めて全員がキーンの強化魔術の説明に驚いてしまった。これまでキーンは付属校のクリスにだけこういった説明をしたことはあったが、これほど大勢の前で自分の魔術について説明したことがなかったため、みんなの今の反応をどう受け取っていいのか分からなくなってしまった。


「要するに、普通に睡眠や食事をとれば、際限なく強化の魔術を使えるということなのか?」


「そういうことになります。ただ」


「ただ?」


「私も含めて、人に対して強化を行った場合、その効果は魔術が切れてしまえばそれまでですが、物に対して強化を行った場合、わずかですが強化が残留するようです」


「えーと、アービスは馬を強化できるのは分かったが、自分以外のも強化できるのか? あと強化が残留するとは?」


「はい。馬については今日初めてですし、他人についてはまだ試したことはありませんがおそらく可能です。物については剣とかそういった物に対して連続して強化を行うと、強化魔術が切れても効果がわずかに残るようです」


「そんなことが可能なのか?」


「はい。さらに短時間で強化をかけ続けていくと、そのもの自体が変質して元に戻らなくなります。寮に今置いている私の大剣は、元は木で作った大剣でしたが、3千回ほど強化をかけたら黒く変色して岩でも簡単に切り飛ばせるようになりました」


「3千回強化か。アービスの言う強化1回は6種の強化魔術を重ね掛けしたものなんだろ? うーん、分かったようなそうでもないような。頭が痛くなってきた。

 私の方からゲレード少佐に伝えておくから、ゲレード少佐の武術の授業の時にはその『黒い大剣』を持参してくれ。私もその時見学に行く」


「はい」


「だいたいのことは分かった。

 それではみんな、次は軽速歩けいはやあしの練習だ。全員騎乗!

 アービスは、ブラックビューティーと一緒にそこで休んでいろ」


 そう言ってランデル少佐は自分の馬に飛び乗って、生徒たちを引き連れて行ってしまった。


 何もすることのなくなったキーンが突っ立っていたら、ブラックビューティーがキーンのほほに顔をり寄せてきた。その顔をキーンがわしゃわしゃと両手でこすってやったら、ブラックビューティーは目を細めて体を震わせた。



 ランデル少佐を先頭にした生徒たちの一団は、馬の上で中腰になって、馬の動きに合わせて体を上下させていた。馬たちの動きはこれまで通り速歩はやあしなのできっと軽速歩けいはやあしなのだろうと思ってキーンはその様子を眺めていた。


 そのキーンに向かってサール中尉が、


「アービス、さっきの話だが、人には試したことがないそうだが、できれば私にその『強化』を掛けてくれないか?」


いですよ。それじゃあいきます。『強化』」


 サール中尉の体が最初白く輝き、順に赤、紫、黄、緑、青に輝いた。その光が混ざり合ってサール中尉を巡っている。


「な、なんだこれは? 体が軽いし、周りのものがはっきり認識できる。視力も良くなっている。身体強化は私もできるが、私の強化ではこんな感覚はなかった。アービス、これは本当に強化魔術なのか?」


「じいちゃん、いえ、義父ちちがそう言っていたのでそうだと思います」


「そうなんだろうが、あまりにすごいんで驚いてしまった。これはあとどれくらいもつんだ?」


「今まで他の人を強化したことはないのではっきりは分かりませんが、多分4、5時間はそのままだと思います」


「そんなにか。またとんでもないな。ということは、馬もだよな。今の時刻が14時を少し過ぎたあたりだろうからいつまでもつか調べてみるな」


「はい。どうしてもすぐに元に戻りたくなったら言ってください。解除しますから」


「そう言えばアービスは自分に掛けた強化は解除するまで続くと言っていただろ?」


「はい」


「もしかして、赤の他人が自分にかけた身体強化を解除することもできるのか? それはさすがにできないよな?」


「やったことはありませんが、おそらくできると思います」


「そうなのか? それじゃあ、いま私の強化を解除してくれるか? それから私が自分で肉体強化をかけてみるから、それを解除してみてくれ」


「分かりました。それじゃあ解除します『解除』」


 今まで、サール中尉を覆っていた6色の光が消えた。


 急に体が重く感じられ、強化が解除されたことが分かったサール中尉が、


「今から私が自分に身体強化をかける。『……肉体強化』!」


 サール中尉の体がわずかに赤く輝いている。


 それに向かって、


「それじゃあ、サール中尉の肉体強化を解除します。『解除』」


 キーンがそういうとサール中尉の強化が解除され体を覆っていたうっすらとした赤い光も消えてしまった。


「これも少佐に報告しなければならない画期的な魔術だ。敵の兵士の肉体強化を解除できればわが軍は一気に優位に立てる。

 アービス。いまの『解除』だがな、複数に対して使えないか?」


「今のところ範囲指定は考えたことがないので一度ではできませんが、目で見える範囲なら、一度に対象指定しますから、100人くらいなら、1、2秒で解除できると思います」


「私には理解できなかったが、とにかく見える範囲の人に対して解除できると考えればいいんだな?」


「そうなります。でも、よく考えたら、もし解除する相手が『敵』なら最初から適当な攻撃魔術でやっつけることができるので、あまり意味はないかと思います」


「確かにそう言えばそうだな。しかし、アービスはそのとし大賢者おとうさんを超えているんじゃないか? アービスがこの国にいてくれてほんとに良かったよ」






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