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獣ヶ森でスローライフ  作者: ふーろう/風楼
第十二章

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猛暑には



 豚バラ肉をゴロゴロ大きめに切り分けて、しっかりフライパンで炒めて……火を止めて蓋をしたなら予熱で中まで火を通し、それからカレー鍋へと取り掛かる。


 まずは玉ネギ、セロリ、ニンニク、ショウガを刻んで入れて炒めて……ある程度炒めたらトマト缶を入れてブレンダーで混ぜ込みソース状にしたものをベースにする。


 ジャガイモは大きめに切って水にさらしておいて、ニンジンも大きめに。


 ベースを弱火で煮込みながらバラ肉、ジャガイモ、ニンジンを入れて……たっぷりの料理酒、少しの醤油、多めのみりんを投入し、少し煮込んだらカレールーを入れて、これまた大きめに切った玉ネギを入れる。


 追加でバター、ガラムマサラ、ウコンパウダーを入れたならまた煮込み……ゴロゴロ豚バラカレーの完成。


「まぁ、これは以前も作ったやつだね。

 自分はこれが一番かなって感じで……シンプルかつ食べ応え抜群、味もしっかり決まるから最高だよね」


 と、そんなことを言いながらコン君に大きなカレー皿を手渡し……山盛りご飯を盛り付けてあげる。


 それからカレーもたっぷり盛り付けて、いつもよりも大きいスプーンを渡して……するとコン君はカレーがこぼれないように気をつけながら満面の笑みで居間へと駆けていく。


 俺は普通のカレー皿で……だけどもしっかり掃除でお腹も空いているので大盛りで。


 飲み物はシンプルにレモン入り炭酸水にして、大きめコップを持っていって……そして二人で「いただきます!」と声を上げてカレーを口へと運ぶ。


「今日は少し辛めにしたけど……夏はやっぱり辛いくらいがちょうどだね」


 旨辛く出来上がったカレーを楽しみながらそう言うと、コン君は頬を膨らませながらコクコク頷く。


 コン君くらいの年齢だと少し辛すぎたかな? って味付けだったけども、問題ないようで……コン君も少しずつ大人になっているようだ。


「……子供の方が大人より味覚が鋭敏で、好き嫌いをしやすい理由になっていて、辛みなんかも大人よりきつく感じるらしいんだよね。

 だからまー……普段は抑えめなんだけど、たまにはこういうのも良いよね」


 更に言葉を続けると、コン君は口いっぱいのカレーをゴクンッと飲み込み……ふはぁとため息を吐き出してから言葉を返してくる。


「にーちゃんも子供の頃、好き嫌いしてたの?」


「嫌いって程じゃないんだけど、梅系のお菓子が苦手だったんだよねぇ。

 梅干しは好きなんだけど、梅味の飴もガムもスナックも苦手で……独特の風味が凄く嫌だったんだけど、大人になったら全く気にならなくなっていて驚いたかな。

 あとはまぁ辛すぎるのとか、酸っぱいのも苦手だったんだよね。

 梅干しは良いけど酢の物はダメ……みたいな、ああでも酢豚とかは好きだったなぁ」


「……思ってたより多いね!?

 作るのも食べるのも大好きな人だから、なんでも食べるのかと思ってた!」


「食べるは食べるよ、食べられない! って程じゃなくて、なんか苦手だなぁ、美味しくないなぁ、みたいな……味を楽しめないって感じだね。

 だから一人暮らしを始めたばかりの頃は、酢の物系は食べてなかったねぇ」


「なるほどー……。

 一人暮らしで一番食べてたのは?」


「カレー……と、言いたい所だけど味噌汁かな。

 適当な具材を入れれば形になって、それなりに美味しい、栄養も悪くないから……とりあえずご飯と、野菜入り味噌汁飲んでおけば悪くはないからね。

 次はカレー、最低でも週1回は食べていたと思うよ。

 忙しくて自作出来なくてもレトルトとかお店があるからねぇ、スパイスたっぷりで健康にも良いから、積極的に食べておきたいね」


「そーなんだ?

 スパイスって美味しいだけじゃなくて体にも良いんだ?」


「そう聞くねぇ。

 嘘か本当か、スパイスをたっぷり食べるインドでは脳の病気が少ないとかなんとか。

 特に血管系の病気が少ないみたいで……普段からスパイスで血行を良くしておくのは大事なことなのかもしれないね。

 ……ただ、特に我が家のカレーはだけど、カロリーも相応だから食べ過ぎには注意だね」


「うん、分かった!」


 と、そう言ってコン君は大皿を空にして、おかわりをするためか台所に駆けていく。


 ……本当に分かってくれたのだろうか?


 まぁ、まぁ……うん、今のところ体調に問題ないのだから、問題ない……はずだ。


 運動はしっかりしているしなぁ……毎日毎日鍛練をしてお手伝いもして、シャワーなんかで毛が濡れるとよく分かるのだけど、筋肉もそれなりのものだ。


 腹筋なんかは割れていてもおかしくないレベルで……そこに成長期かつ新陳代謝の激しい獣人となれば、相応のカロリーは必要なのだろう。


 なんてことを考えていると、大盛りにしたカレー皿を持って帰ってくるコン君。


 最近では俺が手伝わなくても盛り付けくらいは出来るようになっている。


 そのための台座や、柄の長いおたまやしゃもじなどなど、相応の道具は必要になってくるけども、それも用意してあるので問題なし……そう遠くないうちに料理もコン君1人で出来るようになるのかもしれないなぁ。


「そーいえばにーちゃん、冷蔵庫の中にたっぷりの梅があったけど、あれもそろそろ干すの?」


「ああ、今年の梅干し用のか、うん、干すよ。

 予報では明日からしばらく晴れ続きみたいだから明日からかなぁ……よそでは雨が少なくて渇水なんてことになっちゃっているみたいで、こっちもしばらく雨が降らないみたいだから、変に気張らなくて良いのはありがたいね。

 曇りにもならないみたいで、気温もグンッと上がる……暑い夏っていうのは熱中症とかに気をつけなければいけないから厄介だけど、梅干つくりにとっては嬉しいことで、太陽の光を吸い込んでうんと美味しくなってくれるはずだよ。

 他にも干物とかも美味しくなるはずだから、明日からはしばらく干物作りでもしてみようか……干物を作る道具はあるけども、やっぱり天日干しにはかなわないからねぇ」


「おー……じゃーしばらくは干しまくりなんだね!

 ……えっと、干物は養殖のやつ?」


「うん、あそこの魚なら美味しく仕上がるはずだよ。

 ということで食べ終わったら買い物にいくとしようか」


 と、俺がそう言うとコン君は満面の笑みを炸裂させて……そうして物凄い勢いでカレーを食べ上げて……しかしまだまだ満足出来なかったのか、まさかのおかわりを敢行、三杯目のカレーをたっぷりと盛り付けて、存分なまでに夏のカレーを楽しむのだった。



お読みいただきありがとうございました。

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必要か不必要かはおいといて 何杯も食べてて、味変とかしないのかしらん
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