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異世界から来た奴がモテモテチート過ぎてウザい  作者: 痛瀬河 病
第三章 祭りに群がる者たち
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奥の手、誰の手

「あっぶな~。お腹かすめちゃいましたよ」


 バサギは辛うじて二発の弾丸を交わしていた。それぞれ、脇腹と右足の腿をかすめただけだった。右足の腿に至っては、体毛を僅かにそぎ落としただけで出血すらない。


「それ銃って言うんでしょ? 初めて見ましたよ。それうちの国でとれるトリニティを大量に消費するから貴重なんじゃないんでしたっけ?」


 余裕の表情のバサギに二人は歯噛みする。


「くそ、この至近距離で避けられるなんて」

「いやー、確かに速いですし、背中から打たれたら私も流石に避けられないかもしれませんけど、正面からだとあなた達が構えている時間が長すぎますよ」


 長いといっても、ほんの数秒の話だ。

 だが、バサギにとってそのほんの数秒あれば、避ける準備ができる。身構えることができる。


「自棄射ちは危険か」

「お互い残り六発。使いどころは考えたほうがいいですね」


 二人はひそやかな声で相談しあう。


「そんな玩具より、私二人のスキルってのが見たいんですよ。人間や亜人のお得意の小細工。あれ、私、結構好きなんです」


 バサギは挑発する。好きだという言葉に嘘はない。単純に好奇心として、どんなものがあるのかを知りたいのは本当だ。

 それと同時に相手の手札のすべてを知っておきたい。

 これも戦闘における当然の欲求。


(下手に初見殺しのスキルなんて持たれてても困りますしね)


 ここで披露させておけば、あとは嬲り殺すだけか、もしくはバサギの匂いで昏倒させるだけの簡単な作業。


(おっ、イケメンのほうが動いた)


 ナナキがバサギの視界から左方へ走る。


―パァン


 視界から外れそうなギリギリの距離で発砲。


(自分たちが言ってたくせに、さっそく無駄遣いですか)


 バサギは今度は地面に固定された靴を脱いで、悠々と弾を交わす。


―パァン


(はいはい、君が右へ移動してたのも気付いてますよ)


 ナナキの発砲からワンテンポ遅れて、ムッツリは右方へ移動しバサギへ発砲したが、これも交わされる。


(見えない位置から撃てば、私も避けられないみたいなことを言ったから、試してる感じかな? それはあくまで来るとわかっていなければって意味なんですけどね。それにしても即興で打ち合わせもなしによくやるな)


 ナナキとムッツリが会話をあまり交わさないのは、バサギの地獄耳で事前に策を全て無効化されることを恐れてのことだ。

 

【能力名】

 一方的(アリガ・)(タメイワク)

【LEVEL】

 LEVEL4

 ~次のLEVELまで、十二回の恋が必要。

【スキル詳細】

 自身の考えていることをイメージとして任意の相手一人に伝える事ができる。

 ただし、対象は一度以上会話を交わしたことのある相手のみ。

 距離、場所は関係ない。

 相手の考えは読めない。

 距離が離れるごとに伝わるまでの到達時間も比例して伸びる。


 幼少の頃、ムッツリが一方的にこのスキルを使用し、好きになった女の子に愛をささやきまくった結果、当然の拒絶の連続に歪み、悪名高い下着泥棒になってしまったとかなんとか。

 距離を無視した意思の伝達はかなり便利な部類のスキルだが、如何せん一方通行。ナナキはムッツリの考えた策に強制的に従うほかない。


【右、お願いします】

【左】

【撃ちます。避けて】

【距離をとってください】

【前】

【撃ってください】


 単純な指示だが、刹那の戦闘中にはムッツリもそれが精一杯だった。ナナキもその指示に従順に従うが、成果は得られない。

 だが、ムッツリのスキルの詳細を知らないバサギは感心する。


「あなた達、凄いコンビネーションですね。合図とか決めてるんですか?」


 この余裕の表情を何とか崩したい。

 意思の疎通などしなくても、二人の共通の認識だった。


【そろそろ体も温まってきましたか?】

「あぁ」


 ナナキはムッツリのメッセージについ無意識に返事をする。

 そして、身に着けていた籠手や防具の留め具を外し始めた。


「あれ? もしかして命乞いのストリップショーですか? 仕方ないですね。私も鬼じゃないので、それなら半殺しで勘弁してあげますよ」

「なに、少々厚着が過ぎたようだ」


 ナナキは上半身の防具を全て脱ぎ捨て、袖をまくり、一度置いた剣を再び手に取った。


「ふぅ、これで身軽になった」

「どうせなら、僕はあの獣族の女のストリップショーが見たいです。勿論パンツは拾って永久保存しておきます」

「うるさい」


 二人は額に汗を滴らせながら、バサギを相対する準備を整えた。


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