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異世界から来た奴がモテモテチート過ぎてウザい  作者: 痛瀬河 病
第三章 祭りに群がる者たち
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闇、光明

「おーい、ルークさん、面倒なことになったぜ」


 来訪者はセブンズが一人ゴローだった。

 無精髭をじょりじょりと指で撫で、心底面倒そうに入室してきた。

 ルークは『パンプキン祭』の開催するために色々と計画を詰め始めたのか、各所に連絡の準備をしていたが、やや間が空いて顔を上げた。


「ゴローか、参謀室に入るときはノックをしろといつも言っているだろう」

「悪い悪い、だけどそうも言ってられないんだわ」

「どういうことだ?」


 ルークは怪訝な表情でゴローに問うた。

 ゴローは一瞬言い辛そうに、目線を反らしてた。だが、それでも伝令の役目は全うしなくてはならない。


「ミックスがやられた。部屋で意識不明の状態で見つかったらしい」

「なに!」


 思わず席を立ち、目を見開くルーク。

 その興奮が冷めやらぬままつかつかと靴音を鳴らし、ゴローに詰め寄る。


「誰だ。誰にやられた」

「わからん、兵士たちが部屋に入った時にはミックスしかいなかったらしい。そのミックスも今は重体だ。目覚めるのを待つしかないな」

「無事なのか?」

「刺し傷による出血が酷いが、命に別状はないらしい。このまま回復を待つしかないな」


 そこまで聞くと、やや冷静さの戻って来たルークは敵の目的を考える。

 セブンズを狙ったのか、ミックス個人を狙ったのか、それとも無差別か。情報の少ない今明確な答えは出ない。


「争った形跡は?」

「部屋はめちゃくちゃになっていたらしい」

「となると、かなりの手練れだな。不意打ちなら争いの痕跡はほとんど残らない。だが、戦闘になったのなら、その戦闘音で直ぐに部屋の外にいた巡回中の兵士たちが気が付くはずだ。となると、兵士たちがミックスの部屋に駆け付けるまでの僅かな時間でミックスを倒したことになる。言わずもがな、ミックスはうちの国の中でも最上位に位置する実力者だ。それを速攻片付けられたとすると、獣族や亜人族の可能性が高いかもな」


 不確定要素が多いため仕方ないが、ルークの予想は大きく外れていた。この予想もミックスが意識を取り戻せばすぐに修正されることではあるが、その意識の戻る正確な目途が立っていない事によって、その間闇雲に間違った方向に人員を割かれるのは痛い。

 ルークの推測を聞いていたゴローは、少し首をひねりルークに助言した。


「なぁ、ルークさん、これは勘なんだが、俺はどうもこれは内部の犯行のような気がするぜ」

「根拠は?」

「だから、勘だって言ったろ。長年やって来た傭兵の勘だよ」

「つまり裏切り者がいると?」

「どうも外から敵にしちゃあ、ピンポイント過ぎるとも思うんだがな」


 その言葉にルークも一理あると、口元に手をやる。

 だが、だとしたら誰だ?

 ミックスを瞬殺に近い形で倒せる人間なんて神崎か強華ぐらいしかいない。同格の他のセブンズでもこうはいかないだろう。

 もしくは地下の……。

 ルークは思考を切り上げ、部屋の人間すべてに言い含めるように伝えた。


「わかった。造反の可能性も考慮に入れるが、無駄な混乱は招きたくない。ここにいる人間と、神崎、もしかしたらセブンズ自体が狙われている可能性もあるから、ここにいない他のセブンズ、その数人だけにこの話をしておこう。ゴロー、伝令の伝令で悪いが、他のセブンズに伝えておいてくれ。神崎には俺から伝える」

「わかった、それじゃ、邪魔したな」


 ゴローはルークの話に頷き、あっさりと部屋を後にした。

 強華はルークの難しい顔に、長いまつ毛が陰りを見せ、不安げに声を掛ける。


「ルーク、大丈夫?」

「あぁ、無理なペースで変化を求め続けてきたツケだ。こんなこともあるさ」


 言葉とは裏腹にルークの声は落ち込んでいた。

 先ほどの会議でニアリスと決別に近い形になったのだ。その上、内部に裏切り者がいるかもしれないとなっては気も落ちて当然と言えば当然だった。

 自身のやり方が間違っているとは思わない。寧ろ、間違いや正解の存在しないものに今挑んでいると言う自覚がある。だから、ルーク迷わない。だが、それと感情は少し違う位置にあるのだ。


―コンコン


 明るいノックの後に入室してきたのは、神崎だった。


「ルーク~、トライの奴が肉が食いたいってうるさいんだけど」


 全く場にそぐわないテンションだった神崎にそこにいる者たちの肩の力が抜けていく。

 そして、一番効果があったのはルークの様だった。頬を少し緩ませ、口ずさむように罵倒する。


「まったく、あほめ」


 ルークは顔を上げて、神崎に裏切り者の可能性を説明した。張り詰めていても仕方ない。今出来ることを積み上げようと、ルークは考え直す。

 そこに先ほどまでの暗さは薄れていた。


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